過去~3
「ごめんなさい、
全然覚えてないです」
目を覚ましてすぐ舎羅登様に凄く質問攻めにされている
ここは、舎羅登様がやっているお薬処かな…
「えー、嘘だろ?
お前実丸を助けたんだって」
「それは覚えてるんですけど
無我夢中で」
「あれは鑑原家の術韻か?」
「多分…誰かに教えてもらったと思うんですけど、小さい頃の記憶あんまり無くて」
苦笑いをしながら妃乃瑠ちゃんは俺を見つめた
「それで、その瞳孔開くの。
犬憑きか?」
「犬憑き?だと思うんですけど…」
「おいおい、自分の事知らなすぎだろ」
笑いながら舎羅登さんはタバコに火をつけた
「妃乃瑠ちゃんのその力は多分犬を憑依?ってか犬の力と契約してるんだと思うんだ」
「そんな話はちゃんと聞いたこと無かったです
お腹の中にいる時に決まったとは覚えてるんですけど…」
「そうか、ならその勉強もした方がいいな」
「…勉強ですか?」
「ああ、見た感じと、妃乃瑠ちゃんの気の流れを読むと色々と憑かれやすいと思うんだ
憑依なら実丸に教えて貰えばいい」
「え?実丸さんも何か憑いてるんですか?」
「あー実丸は」
ガチャンと勢いよくドアが開いて
驚いて出かけてた言葉が戻ってくる
「うおっ!びっくりした!」
「舎羅登さん個人情報漏らさないでもらえますか」
「噂をすれば。
個人情報って程でもないだろ?」
「一応口外禁止令でてます」
「そりゃ悪かったな」
「実丸!それより早くお礼」
阿兎がそう諭しこっちを見つめるその子を見た
「ありがとう」
ドンっとお腹に肘打ちをくらう
「痛っ」
「愛想よくできないの!?」
「命の恩人だろ」
阿兎と和兎に再び諭される
「あの…全然いいんです」
「いや、本当にありがとう」
実丸さんが私を見つめてる…
それだけで幸せな気持ちになった
そして私の中の八雲が異常なほど反応している
「良かったです…生きててくれて」
「なになに?
妃乃瑠ちゃんもしかして実丸のファン?」
和兎がそう言うとぶァっと顔が赤くなる
「え…あの…その…」
「えっ?図星!」
「和兎、デリカシー無さすぎ」
「こいつがモテない理由が解るわ」
阿兎と舎羅登さんにそう言われ妃乃瑠ちゃんを恐る恐る見ると涙目で俺を睨んでいた
「いや、そのごめん
実丸、実丸、ありがたいな」
実丸に助けを求めると
「ああ、そうだな」
っと今まで見たことない優し笑顔に全員が見惚れた
「実丸が…」
「笑ってる」
阿兎と和兎がそう言いながら俺の両脇に立ちニヤニヤしてる
「んだよ…」
「凄いな、妃乃瑠ちゃんは。
実丸を救って、その上見るからにコミュニケーション不適合者の笑顔引き出すなんて」
舎羅登さんが笑いながら妃乃瑠ちゃんの頭を撫でた
「誰がコミュニケーション不適合者っすか?」
「実丸しかいないでしょ」
「っつか、実丸もっとしっかりお礼言えよ
治るとはいえ女の子の顔に傷ついたんだぞ
それに…」
舎羅登さんは言いにくそうに口ごもる
「妃乃瑠ちゃん」
俺がそう呼べば視線が交わる
舎羅登さんに言われ妃乃瑠ちゃんに近づこうとした
「あ、ああああの!!」
「え?」
「大丈夫です。大丈夫なんであまり近づかないで下さい!」
「…」
実丸は意味が分からない表情をして
足を止めた
「あーそうか、そうだな。そうなるわな」
舎羅登さんはそう言いながら
術韻を唱え手を妃乃瑠ちゃんの頭にかざした
「とりあえず眠っとけ。
実丸達もまた改めて会いに来てやって」
「妃乃瑠ちゃん大丈夫なんですか?」
眠っていく妃乃瑠ちゃんを見つめ
阿兎はそう問いかけた
「大丈夫、大丈夫。
今興奮してるからさ、犬憑きの力使ったし、実丸の匂いにやられてんだよ」
「…あー…そういうことっすか」
「えーなんなの?二人して!
犬憑いてたらなんで実丸の匂いダメなんだよ」
「和兎には教えてやんない」
実丸はそう言って
「寝るわ」
っと部屋を後にしようとした
「おい、実丸」
舎羅登さんに呼び止められ
手でこっち来いと呼ばれる
「これがお前を救った代償」
そう言われ背中に赤く色づく呪いを目にやる
「うわ…」
和兎は目をそらし
「これは酷いですね」
阿兎も目を背けた
「阿兎、和兎、ごめん
ちょっと席外してくれないか?」
実丸にそう言われ2人で薬処を出る
「舎羅登さん」
舎羅登さんをまっすぐ見つめた
「俺のワガママ聞いてくれませんか?」
「面倒事は嫌いだぞ」
____
「あれ?実丸もう帰ったんですか?」
阿兎と和兎が、しばらくして戻ってきた
「ああ、2階で寝てる」
「2階?」
阿兎は目線を2階に向けた後俺に戻し、
「それより妃乃瑠ちゃんの反応って何かあるんですか?」
っと続けた
「ヒエラルキーってやつだな」
舎羅登さんは優しく妃乃瑠ちゃんに布団をかけた
「ヒエラルキー…って階級?」
阿兎は何かを考えた
「なんだよ、ヒエ、ヒレ?」
和兎は訳が分からない言葉により頭を悩ました
「まあ、そういう事だ
後々解るよ」
これがみんなの仲を深めるきっかけの事件だった




