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愛しき姫は異世界に  作者: janky
第4章
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犬憑き




「ねぇ龍様見て」


そう言いながら莉心は俺の前に手を差し出した


「四葉のクローバーあったんだよ?」

「そうか

良かったな」


「これでお願い事叶うといいな」



少しずつ回復して笑顔も出るようになった莉心に安心したのも束の間で、今は別の問題に頭を悩まされている


「願い事?」

「うん。

妃乃瑠ちゃんが早く良くなりますように

ってお願いするの」

「妃乃瑠の事?

自分の事じゃないんだ」

「私は元気になってきたから」


無邪気に笑う莉心に、本当驚いた

こんな状況でも他人を思いやれるその心に感心していた


「妃乃瑠ちゃん大丈夫かな?」

「大丈夫だといいな」


四葉のクローバーは莉心たっての希望で

妃乃瑠のお見舞いにと積みに来ていた


「もう二週間になるんだよね…」

「体調が戻らず大変みたいだからな」


二週間前に体調を崩した妃乃瑠はしばらく休養期間に入った


誰も会えず藩登様が決めたことだから

みんな何も言わず妃乃瑠の帰りを待っていた


「あっ実丸君だ…」


声をかけようとする莉心の腕をつかむ


「え?」

「ソッとしておいてやれ」

「実丸辛そうだね」

「実丸も会えてないんだな」


扉に手をかけるが開くことはしない実丸はしばらくすると任務があるのか高専の方へ消えていった



「実丸絡みだろうな」

「そうなの?」

「ああ」

「妃乃瑠ちゃん大好きだもんね。実丸君の事」

「姉様が言ってたけど、実丸も妃乃瑠に対して特別な感情があるって」

「姉様?」

「そう、俺3人姉弟なんだ

五つ上の姉様と四つ下の妹が居てる

今度ちゃんと紹介するよ」

「うん、絶対2人とも綺麗だろうな…

龍様も美形だもん」

「全然似てないよ…俺たち」


そう龍様は切なく笑ったように見えた


「妃乃瑠と実丸は特殊なんだよ」

「特殊?」


莉心は心配そうに花束を扉の前に置きながら

そう問いかけてくる


「またそれも勉強しなくちゃな

とりあえず部屋に帰ろう」


「うん、2人仲良く戻れたらいいね」

「そうだな」



やっぱりこの世界は私の想像を超えていく


2人が特殊だと気づくのは私はまだ先のこと…




__________






犬憑()きって大変なんだな」


和兎はそう言いながら私を見つめる


「妃乃瑠ちゃんにしかそれは解らないけど、(たましい)(たましい)がくっついてるからどっちかが悪くなれば2倍に感じるって舎羅登さんが言ってたわ」


「鑑原家の血筋はみんなそうなのか?

じゃあ実丸はどうなんの?」


「実丸が何を憑けてて、どうしてそうなったかは知らないけど。

妃乃瑠ちゃんの家系は有名な(たましい)憑依(ひょうい)型一族だよね」


「妃乃瑠は小さい頃の事とか家系のこと知らねぇみたいだけどな…

んで、妃乃瑠が犬だろ?

そういや、高専の時さ、実丸、舎羅登さんに言われてたよな?

あれは犬だから気をつけてやれって」


「そうね

それを聞いた時の実丸の顔、何とも言えない顔してたけど…

体調早く戻せる方法とかないのかな?」


「さあな

実丸もあんな態度取るくせに、妃乃瑠の事になると冷静で居れないくせに本当にこじらせてんな」


2人でまた仕事を始めれば

妃乃瑠ちゃんのことを心配してる実丸の姿が目に入った




「ほらな。」

「妃乃瑠ちゃんが気の毒よ」





_______



「はあ…八雲(やくも)…大丈夫?」



もう何日目かな?


布団から出る事も辛い

涙が止まらない


私の中に眠る犬、八雲(やくも)の調子が崩れて、なだれるように私も体調を崩した


藩登様に話せば

少し落ち着いて休みなさいと休養時間を頂いた


憑き家系の中でも憑きやすい体質と舎羅登さんにも言われて居たので藩登様は色々理解してくれていた


私はただ、失恋しただけだと思ってた


でもそんなんじゃ済まないくらい実丸の存在の大きさに自分でも怖くなった


私の中に住む八雲(やくも)

初めてこんなに力なく項垂(うなだ)れている


八雲がどうしてこんなになってるのかは一心同体の私でも解らなかった


このままじゃ私…


体も壊れちゃうんじゃないかなって…


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