めんどくさい2人
「っクソ開かないな
龍様どんな術韻かけてんだよ」
「和兎ちん…ごめんね」
妃乃瑠が俺に頼る時は、実丸との距離が上手くいってない時
ここ最近はそういう事が多い
「いいよ。
でも声も聞こえないし修羅場にはなってないと思うんだけど…」
「和兎、妃乃瑠?」
妃乃瑠と2人で戸惑っていると実丸の声が聞こえ振り向いた
「何してるの?」
阿兎とがそう言うと実丸と近づいてくる
「あの…」
あれからずっと一緒に居たのかな?
チクッと傷む胸を気にせず
状況を説明した
「おい、どうして俺に一番に知らせない!」
突然大きい声を上げる実丸にビクッとなる
「だって、龍様の事は和兎ちんの方が詳しいと思って」
「私も居たでしょ?近くに」
ため息をつく阿兎ちんは
遠くに居た和兎ちんを呼ばれた事が少し嫌なように見えた
「ごめんなさい」
「莉心様に何かあったらどうするんだ!
現に術韻なんかかけられて」
「これは」
「言い訳ばっか聞きたくねぇよ」
そう言いながら実丸は和兎ちんの横に腰を下ろした
「すみません
変わります」
そう言えば和兎ちんが大きいため息をついて
「そんな怒ることか?
お前も阿兎も気分悪っ」
そう吐き捨てた
「……」
黙る実丸は無視するように術韻に触れた
「そんなつもりないわよ。
ただ、わざわざ零恩志家まで行かなくてもそこに居たのにって話よ」
「声かけずらかったんじゃねぇのか?
お前ら2人」
阿兎ちんの顔もムッとしてきて
これ以上揉めて欲しくないと思った
「あっ違います、ごめんなさい本当に…
パニックになってしまって」
阿兎ちんに頭を下げると
「ごめんごめん。大丈夫よ
そんな謝らないで」
そう言ってくれた
「はい…」
パリンっと術韻が解け部屋に入る実丸に続いて入る
「…」
立ち止まる実丸にみんなも足を止め前を見る
「どうなればこうなるんだ?」
和兎ちんはそう言いながら阿兎ちんをみた
「さすが龍様ね」
そう言いながら眠る莉心様の手を握り眠っている龍様に近くの羽織をかけた
空っぽになった器にホッとした
「食べてくれたんですね」
妃乃瑠は空のお膳を見つめ涙を流した
「本当ピュアだな妃乃瑠は」
和兎ちんが頭を優しく撫でてくれた
「……」
実丸は何も言わず部屋をあとにした
「あっちょっと実丸に謝ってきます」
妃乃瑠ちゃんはそう言いながら部屋を飛び出していった
「もう限界かもね」
阿兎はそう言いながら近くの椅子に腰をかけた
「実丸が?」
「うーん、どっちもかな」
「何であいつら上手くいかないんだろうな」
「私たちに無いものが2人にはあるからじゃない?」
「おーなるほど。納得だわ」
「めんどくさいわね、あの2人」
「かなりな」
バッと起き上がる音に布団に目をやる
「あの…ごめんなさい、
寝てしまって」
「大丈夫ですよ
ごめんなさいねこちらこそ」
「最近寝不足だったみたいで龍様」
和兎はそう言いながら笑う
すると何かを考えて
「私のせいですかね?」
っと言う莉心様に2人で声を出して笑った
「アハハ、そうくる?」
和兎さんがお腹を抱える
「それ龍様も言ってたよ」
阿兎さんもそう言って優しく笑った
「そんなに笑わないでください」
「ごめん、でも良かったよ
少しでも元気になってくれて」
「私たちも鬼じゃないからね?
龍様が莉心様を助けたいって気持ち、
私たちも同じだから」
「あの…ありがとうございます…」
あんな事を言われて今の状況で
素直にお礼が言える純粋さに感心した
全てこちら側の勝手なのに
この純粋さがあれば色々抱えた大人達の心も
洗われていくんじゃないかって思った
「こちらこそありがとうね」
「家の龍様さ、ちょっと分かんにくいけどいい人だから心配しないで」
「そうそう、女心は1mmも分からないから
教えてあげてね」
阿兎さんと和兎さんの目が少しキラキラしたように思った
「…クス…わかりました
私に出来ることがあれば」
可愛い笑顔に阿兎と顔を見合わせた
「龍様起こさなくていいんですか?」
「もう少し寝かせてあげてくれる?」
「俺達外で待ってるから」
立ち上がり出て行こうとする2人に
「あ…良かったらそこに居てください」
「?」
「え?」
そう声をかけてた
「今は誰かに居てもらった方が安心出来るので」
「それなら喜んで付き合います」
和兎は椅子に座り直した
「じゃあここは和兎に任すわ、私はもう一つの方、大丈夫か見てくるね」
そう言いながら手を振る阿兎さんに頭を下げた
「私…単純ですよね…」
「え?どうしたのいきなり?」
「飛び出して行って迷惑かけたのに…」
「莉心様って恨んだこととかないの?」
和兎さんの問に目が点になる
「恨む?…ですか?」
「だって、こんなになったのって少なくとも莉心様のせいではないだろ?
なのに迷惑かけた…とか俺なら言えないよ」
「恨むとかはないです…
確かにどうしてこんな目に合うの…とかは思いました
でも、ここに居てるみんなは、悪い人に思えなくて…」
「無垢なのって罪だよな」
「え?」
「ううん、その純粋さで龍様を変えてあげて」
「変えるって…」
「大丈夫、傍に居ればいいだけだよ」
「私なんかにできますかね?」
「龍様は、ある意味可哀想なんだ
厳しいルール、秩序、当主たる者。
色んな重圧と色んな大人に挟まれて普通を知らずに生きてきた人なんだ
今まで人を傷つけたとしてもこんなに落ち込むことは無かったんだけど、初めてだよ
誰かの為に自分の気持ちで行動するの」
「……そうですか…
それって喜んでいい事ですか?」
「もちろん」
ニコって笑った莉心様は
本当に可愛くて巻き込んでしまったことを後悔してしまいそうになる
これから起こる色んな事が
この笑顔を無くさないように
龍様と一緒に守りたいと思った




