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愛しき姫は異世界に  作者: janky
第3章
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輪廻転生?


「ひどい泣き顔だな」

「え?

あなたは…」


長い髪を揺らしたあの封印された姫様の部屋で出会った人が私の横に座り込んでいた


不思議なことに時間が止まってるかのように

誰も動かない


「俺の術韻凄いでしょ?」

笑うその人は怖いくらい優しい顔をした

「凄い…です」


「ねぇ助けたい?その人」

「…うん!」


この人は誰?とか気になる事は沢山あるのに今はおじいちゃんの事を助けたい気持ちが勝っていた


「じゃあ術韻が解けたら僕の声に続けて言うんだ。

言いながら莉心ちゃんの髪を肩くらいまでの長さを切っておじいちゃんの胸に乗せて最後に君の血をその髪へ捧げる

指先を切る程度いいからね」


「あの…

そんな事でおじいちゃんは助かるんですか?!」

「僕の言ったこと覚えてる?」

「えっと…

自分…を、信じる…?」

「そうだ。賢いね

術韻は、思いの強さも大切なんだよ。

この人を救いたい

その強さが形になる」

「…はい」

「じゃあ行くよ?実丸と和兎は状況を把握するのが速いからすぐ動くんだよ?」

「うん」


強く頷けば


「神に与えられし(おん)言霊(ことだま)

(われ)口上(こうじょう)にて伝えし(おもい)ふ」



その人はゆっくり時間の術韻を解いた



「父さん…父さん…ううっ」

「妃乃瑠ちゃんこっちも手伝って」

「実丸、どうだ?」



それぞれの声に

耳を傾けた


『実丸の足元に短刀が落ちてる

それで髪と手を切るんだ』


おじいちゃんを挟んだ向こうに

その人は座っていた


だけど誰1人その人を目には止めない


私にしか見えてない…?



『莉心ちゃん時間が無い。

やるぞ』


「うん」


バッ立ち上がり実丸の足元の短刀を手に取った


「なっ!莉心様!」


実丸から逃げるようにおじいちゃんの所へ(うずくま)り髪を切りおじいちゃんの胸へ束を置いた


「おいおい、

何やってんの!」


和兎君に短刀を握る手を捕まれるがその短刀に反対の手の親指を押し付けた


その様子にザワつく周りを他所に

私はその人を見つめた


『神に与えられし音の言霊』


「か、神に与えられし音の言霊」


「え?」

「へ?」

「莉心様?」

「…」

妃乃瑠ちゃん、和兎さん、阿兎さん、実丸君が同時に反応する


『我口上にて伝えし想ふ』


「我口上にて伝えし想ふ」


『手貸して莉心…』


その人がおじいちゃんの胸にある髪の束を握った

和兎君の手をすり抜けた手をその上に重ねた


『左に流れし蒼き涙』

「左に流れし蒼き涙」


『右に流れし紅き血よ』

「右に流れし紅き血よ」



『想ってもっと、強く』


その声に頷く


『我神の名の元に(めい)を捧げる』


「我神の名の元に銘を捧げる」


『花屋敷家、(ほむら)(えい)

「花屋敷家焔の影」


「「「「!!」」」」


『輪廻転生』


「輪廻転生!」



おじいちゃん、



おじいちゃん!



『怖い顔するなよ』


「え?」


『そういうことか』


「あの…どうしたんですか?」


フッと私の前からその人が消えて

失敗したんだと分かった



「そんな…そんな…

おじいちゃん!!」



グッと後ろから優しく誰かに抱き寄せられ髪の束を握る手を掴まれる

その人の手から流れる血に顔を見上げた


「左に流れし蒼き涙、右に流れし紅き血よ

我神の名の元に銘を捧げる」


「どうして…」


「零恩志式、焔の影、輪廻転生!」



ブワッと私たちを包むすごい力にグッと抱きついた


バンっと火柱の様なものがおじいちゃんを包む


「大丈夫だ…莉心」


「龍様…」


フッと火柱が消えた瞬間



「うわぁ、あちちち」

っと飛び上がるおじいちゃんに目を見開いた


「おじいちゃん…」


「お父さん!」


「あれ?ワシ生きとる?」


「おじいちゃん!」

っと思いっきり抱きつけば優しく背中を撫でてくれた


「莉心ちゃんありがとう」


おばあちゃんにも抱きしめられて

見ていた周りの人からも拍手が起こった



「どういう事だよ」


和兎は信じられない顔をして実丸を見つめた


「俺達も聞きたい」


実丸は信じられないのか見たこともないほど驚いた顔をして居た


「龍様これを」


傷口にタオルを当てる阿兎は

何か言いたそうだった


「だから言いたいことは言ってくれ」

「輪廻転生は禁じられた術韻です」

「知ってる」

「また呪いが増えますよ」

「ああ…」

「そこまでする理由はありますか?」

「理由…さあな」

「そしてあの子…誰に教わったんですか?

術韻、口上、初代長(しょだいおさ)(ほむら)様の術韻まで…」

「莉心に近づいた時…見えた気がしたんだ」

「え?」

「焔様だよ…きっと」

「焔様が…あの子に?」


2人ではしゃぐ莉心様を見つめた


「おじいちゃん良かった」

「それより莉心ちゃんすごい子だったんだね」

おばあちゃんがそう言うと

妃乃瑠が私の横に(ひざまず)いた


「この度は莉心様をお守り頂き誠にありがとうございます。花屋敷家より後日改めて御礼をさせていただきます」


「花屋敷…?」

おじいちゃんがそう言えば

「父さん、いいんじゃよ

それよりこの子大切にしてやってね」


「あ…」


おばあちゃんがそう言って

私は現実にまた直面する

私はまたあの場所へ帰らなきゃいけないんだって…

うまくやり過ごして

逃げればよかったのに…


助けてくれた実丸君の優しさも

抱きしめてくれた龍様の温もりも


嫌いになれない気がした



でもやっぱり




消えたくないよ

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