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愛しき姫は異世界に  作者: janky
第3章
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新たなる出逢い


雨に打たれ続けているせちで

体が冷えてくる

足の感覚も手の感覚も

声の出し方も

分からなくなっていきそうな不思議な感覚


泥に汚れる感覚にも慣れてきた



お母さんはどうしてるかな…

お父さんは心配してるかな…




ドサッと地面に倒れこんだ



「もう嫌だよ…


全部終わって…


夢なら早く醒めて」



ゆっくり目を閉じると

雨の音が途絶えていく



「…え?」


目を開け見上げると


「大丈夫かい?」


優しい笑顔のおばあさんが居た


バッと起き上がると再び傘の中に入れてくれた


「そんなに濡れて可哀想に」


手ぬぐいのようなものを首にかけてくれた


「ほらっここに居たら危ないから、(うち)へおいで」


ソッと握られた手の温もりが染み渡るように心を揺さぶった


ブァッと溢れた涙で余計に視界は悪くなる


温かい


あったかい…


その優しい手を強く、強く握り返した



「ごめ…なさい」



しばらく歩くと家が並び古風な木造家屋が並んでいた



ガラガラとドアを開けると畳の匂いがする


「お父さん!ちょっと」


「おかえり…ってどうした?」


お父さんっと呼ばれたその人は部屋の奥からこちらへ来て私を見て驚いた顔をした


「こりゃまた若い客人じゃの」

「その裏手の山で倒れてたんだよ」


白髪の髪が物語る2人の年齢は

おじいちゃんやおばあちゃんくらいだと思う


「さあ、何しとる…早う入らんか」


おじいちゃんは私の手を引き

囲炉(だんろ)の前に連れて行ってくれた


「あったかい風呂入れるからここで待ってて

母ちゃん、着替え用意したり」

「はいはい

あーそうね、名前聞いてなかったの?」


「あっ莉心です…は…」


花屋敷の名字を飲み込んだ


「莉心ちゃんかい?可愛い名前だね」


おばあちゃんは笑いながら

お茶を差し出してくれた


「ありがとうございます…」


熱いお茶を飲めば全身の筋肉が和らぐ気がした


「莉心…りこ…どっかで聞いたことあんだけどな」


おじいちゃんは眉間にシワを寄せ遠い所を見ながらそう言った


「ほら父さん!早くお風呂沸かしたって」

「そうだな」


お風呂を沸かしに行ったおじいちゃんから視線をおばあちゃんに戻した


「すみません。突然」

「全然ええんじゃよ?気にせんで

家はもう父さんと2人やからね。

ゆっくりして行き」

「すみません…」


どっかでこの優しさも私へじゃないんだって頭をよぎっていく


「何があったかわからんけど、辛いなら泣いたらええし、こんな老人で良かったら話いつでも聞くから」


再び握りしめられた手に涙は止まらなかった


「あーそんな泣かんでも」


ギュッと抱きしめられて

温もりがまた私を包み込む


「よしよし」


「ごめ、ごめんなさい…ッグス」


「よしよし、大丈夫。大丈夫…」


「…ッグス…」



こんなに泣いたとしても

何も変わらないって分かってる

でも誰かに助けて欲しかった


理解できない現実の中で

私を必要としてくれる人達が居て

なのに、その人たちは私が消えることを望んでた


怖かったの

本当に。

それを伝えるあの人たちも


ずっと笑って

楽しい話もしたし

心から近い距離を感じたのに

心の中ではそんなことを思っていて


でも伝えても

伝わらなかった


必要なのはお前じゃないって


私の存在なんてあの人たちの中では

石ころと変わらないくらいちっぽけだった



「おーい風呂入ったぞ?」


「もう少し待ったって」


「大丈夫か?」

戻ってきたおじいちゃんも心配な顔をして

背中を摩ってくれた


その温もりにまた涙が溢れてくる



行き場のない気持ちも

現実なのか夢なのか

解らない

出しようのない答えが胸をいっぱいにしていく



悲しくて悲しくて


ただ泣くしか出来なかった



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