この胸の痛み
「………」
涙も少し落ち着いてきて
どうしょうもないくらい不安だった気持ちも少しずつ収まってくる
川から少し歩けば山道に繋がっていた
だけどこの胸の痛みはどんどん大きくなる
私は何か悪い事をしたのかな?
あの人たちを怒らせるような…
そんな悲しくさせるようなこと
いっぱいしたのかな?
普通に生きて
普通に生活していただけなのに
「龍斗…会いたいよ…」
胸の痛みはハッキリ解ってた
『大切なのはお前じゃない』
「解ってるよ…
そんなこと」
大好きな人の顔で
大好きな声で
私を全力で拒否する龍様が苦しかった
この世界で唯一私が知ってる人は
私を傷つける
戻っても私は消されて
その人たちの優しさに触れる度
疑うの
その優しさは何のため?
その優しさは姫様のため?
ポツン…っと顔に雫がつき空を見上げた
「雨?」
ザーッと強く降り出した雨に目を瞑る
その音が私を独りにしてくれる
「どうしたら…」
濡れていく体を抱きしめて
道にうずくまった
どうしたらいいんだろう…
_________
「ックソ…」
水溜りの中に光るものを手に取る
シルバーのリングを拾い上げ
行き場のない怒りを水溜りにぶつける
バシャンっと飛沫をあげ飛び散った
「無事で居てくれよ」
川の向こうへ渡り山道の入口を走り抜けた
_______
「実丸が気が通ったあとがある」
妃乃瑠ちゃんはそう言いながら水溜りを飛び越えた
「さすが妃乃瑠。実丸大好きだからな」
和兎がそうからかえば
「またデリカシーない事言う」
阿兎に怒られた
「それより川の向こうへ行ったのかしら?」
阿兎ちんは地図を広げながら首をかしげた
「まあ、どっちにしろ早く見つけなきゃヤバいって事だろ」
和兎ちんは川にかかる橋に足を勧めた
「大丈夫かな…」
「妃乃瑠ちゃん、今はしっかりしなさい
あの子にはあなたと実丸が頼りなんだからね」
「うん」
「よし、行くぞ」




