実丸の怒り
「いい加減にしてください」
実丸は龍様に怒りが収まらないでいた
「あんな言い方、
追い詰めるだけでしょ!」
龍様は悪びれる様子もない
「情や可哀想は捨てろって言われただろ?
無駄に優しくしてより拒まれたらどうする?
俺が大切で大事なのはあいつじゃない
俺は零恩志を背負って行くんだ」
「龍様…」
それを聞いた妃乃瑠は力なく龍様の胸元を握った
「あの子が居なければ姫様を救えないんですよ?
あの子の人生を犠牲にして生き返ったとしても姫様は何も嬉しくない!!」
妃乃瑠に握られた腕を掴み
「そんなの言わなきゃいいだろ?」
っと吐き捨てる龍様
「龍様少し落ち着いてください」
阿兎がそう宥める
「もっと頭のイイヤツだと思ってたよ」
実丸は妃乃瑠の代わりに龍様に吐き捨てた
「とにかく今は莉心ちゃんを見つけよう。
この屋敷から出た事ないんだろ?」
舎羅登さんがそう仲裁した
「私達も探します」
阿兎と和兎がそう言えば
実丸が
「要らない。来るな」
そう冷たく言い放つ
「実丸。今は冷静になって、阿兎ちんと和兎ちんにも手伝って貰おうよ?」
妃乃瑠はそう言いながら俺の袖をつかむ
「そう思うならあいつらと行け」
「…実丸」
「おい。いい加減にしろよ実丸!」
和兎ちんがそう言えば実丸と向き合った
「……」
黙る実丸に
「妃乃瑠の言う通りだ。俺達はあの娘を傷つけるつもりは無いし、急がないと日が沈む」
「そうよ、実丸。
龍様の事よりあの娘のことを考えて」
「なら…初めからちゃんとしろよ」
実丸の瞳がどんどん怒りを宿していく
「一番大切なのはあいつじゃない?
あいつだよ。あの娘だ!」
「実丸…」
妃乃瑠はより一層俺の袖を強く握る
「あの娘が居ないと呪いは移せない。
姫様を助ける方法がなくなるんだ!
感情のままにあんなことして誰が戻ってくる?
自分が消える、消されるって解ってて
誰がここに戻ってくんだよ!」
実丸はいつも冷静でこんなに憤ることも本当に少ない
任務に対してとても真面目だから
莉心様に対しても莉子姫様に対しても
不利になるこの状況が腹立たしいのかもしれない
「そうだな。帰ってこないつもりかもな」
舎羅登さんはそう言いながら姫様の顔をのぞき込んだ
そんな状況に龍様の瞳が揺れていた
「…すまない。少し頭を冷やしてくる」
「龍様…」
阿兎がそう声をかければ
「阿兎。和兎。
莉心の居場所見つけるの手伝ってやって」
部屋をあとにする龍様は落ち込んでいる様子だった
「とにかく実丸のいう事は解ったから見つけ出そう。俺も阿兎も手伝うから」
「実丸。莉心ちゃんを危ない目に合わすわけには行かないから」
「解った。勝手にしろ。
俺は先に行く」
シュッと消える実丸に4人はホッと胸をなでおろした
「ったく龍様も実丸もらしくねぇんだよ」
「和兎も思った?
私も今日の龍様はいつに無く感情的だったなって思うわ」
「実丸も、なんかムキになってるみたいだったし」
「まあ2人とも姫様を取り戻すのに必死になってるってことだろう」
舎羅登さんは容態が変わってないかチェックしながらそう言った
「ねぇ、花屋敷家の使用人がこの事を知ってるのがおかしくない?」
阿兎さんがそう言いながら廊下を覗いた
「そうだな。何か怪しい気がする」
「そう言えば実丸が言ってたけど
知ってるのはここに居た人とあと藩登様だけって…」
「漏れてるんじゃない?」
「だろうな」
そう言えば
「えー!どうしよう…」
妃乃瑠はアワアワしだした
「それよりお前ら早く探しに行けよ」
舎羅登さんの声に
私達はハッとして次々と消えていった
「本当慌ただしい奴らだな…」
莉子様の時計はまた数分逆に進んだ気がする
「これが一周すれば何かが始まるのか?
終わるのか?」
誰に聴ける訳ではない
そっと莉子姫様の額に浮かぶ睡蓮の痣に手を翳す
「呪いが3人に出てるのか…」
この世界の 呪いとは
術韻をかけた方に還るタイプと
かけられた方に出るタイプがある
実丸や和兎、俺や龍もほぼ傷だらけなのは
術韻をかけたり、解いたりする中で呪いを貰う
呪いはその術韻をかける原因によって
消えるスピードが違う
もちろん痛みを伴うものもあれば
鍛錬して軽いものくらいなら耐えれるようになる
この呪い達がどういう意味を持つのか…
「はあ…厄介だな…」
ため息を付けば莉心ちゃんの行方を探しに行くのを手伝うため部屋を後にした




