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愛しき姫は異世界に  作者: janky
第3章
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真実


「莉心様!」


妃乃瑠ちゃんが近づこうとした


「来ないで…」

「え?」


「来ないで!」


その大きな声に実丸君も足を止めた



「莉心様…」


「これが眠ってる姫様?」


涙を流す莉心様に胸が痛む


「近づくのはおやめ下さい」


実丸君は容赦なく足を進めた


「来ないでって言ってるでしょ!」


姫様の部屋に飾られる日本刀を手にした莉心様が鞘を捨てた


「莉心様!?」


「おい、やめるんだ。」


バッと実丸が後ろ手に

式神を投げ伝達に式神達が飛び立つ


「何もしないから教えて…」


莉心様は私たちを見つめそう言った


「さっき聞いたの

私がここに眠るんでしょ?」


「莉心…様…」

妃乃瑠ちゃんの表情は陰り

「誰に聞いた?」

少しだけ怒りを宿す実丸君の声


「廊下で話してる人が居たの…

私は可哀想だって。

禁忌を犯してまで連れてこられて

姫様にかけられた呪いを全部移されるんだって…」


震える莉心様の声に

私達も何も言えなかった



「おい、大丈夫か?」


伝達を聞いた舎羅登さんが部屋に入ってくる



そして



「………莉心…」


龍様も悟ったような表情で部屋に入ってきた

和兎さんと阿兎さんもゆっくり姿を現した



「…みんなで…騙して楽しかった?」


「そんなことはありません」


妃乃瑠の声により一層涙を流した莉心様


「バカみたいに信じて、簡単に変わりやるとか言ってた…


みんなの優しさは

姫様の為だけなのに…


勘違いしてた」


「それは違います」


妃乃瑠がそう言えば


「何が違うの?

騙して、私を消そうとしてたのに…」


「それは…」


「もういいだろ」


突然その会話に入ってきたのは龍様だった


「そうだって認めれば」


「龍様!」

妃乃瑠が龍様に詰め寄ろうとするのを実丸が止めた


「言い方考えてください」


「言い方?

ハッキリ教えればいいだろ?

俺達が望んでるのは本物の姫様だって」


「やめろ!」


龍様の胸元を掴む実丸を莉心様が


「実丸君やめて!」


そう声をかけた


「俺達が莉心に望んでることは莉心が聞いたとおりだ」

龍様は莉心様を見つめた


「………」


「優しくしたのも、良くしたのも全部本当の姫様に目覚めてもらう為だ」


「もういい!」


ギュッと拳をにぎり、震えながら莉心様はそう叫んだ


「酷いよ…」


信じられなかった

あんな優しく笑って

握ってくれた手の体温は温かかったのに


目の前にいてる人は本当に同じ人なのかな?


でもようやく私は夢見心地の気持ちから現実を見なくては行けないと気づいた


「私は私。

この人はこの人

絶対身代わりはしない」


「…何だと?」


怒りを露わにする龍様に全員が驚いた


「何が理由でこんなになったかは知らないけど…私には関係ない」


「お前とお前の親を俺が救った」


詰め寄る龍様は人が変わったような形相になる


「それは」


「お前はこの人の代わりにここで眠る

それ以外お前は生きていけない」


「え?」


「異世界に来た者の末路は消えるんだ」


「どうして…知ってて連れてきたの?

勝手に連れてきたのは龍様でしょ!」


「そうだ。

お前がどうなろうと、この人が救われればいい」


私の好きな人は

こんな事言わない


一緒の顔で

一緒の声で


私を傷つける


刀を力なく落とせば部屋に響く音に胸がギュッと苦しくなった



「やめとけ、龍!」


それ以上誰も聞いてられない空気を舎羅登さんが止めてくれた


「言い過ぎだ」


「………」


「とにかく莉心ちゃん、お薬処においで

鞘を抜く時少し切ったでしょ」


指から流れ落ちる血を見て

私はここに生きてるのにって思った



「いいです」


「ダメだって」


「今は1人にしてください」


部屋を飛び出しても行く場所なんか無い


この世界に1人だと突きつけられる


居場所も

存在も



大声で泣いても

苦しいよ。

助けてよ。

って言っても


誰にも響かないし

届かない




指からリングを外して近くの水たまりに投げる



そして行ってはダメだと言われた川の向こうへ足をすすめた



もう誰もいないなら


1人なら


消えるなら



私じゃなくなるなら




どうなってもいいと思った…

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