表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
愛しき姫は異世界に  作者: janky
第2章
13/220

封印された本当の姫

「どこに行くんですか?」


妃乃瑠の声に少し耳を傾けた舎羅登さんは花屋敷家の本堂へ入っていく


正門で足を止める和兎に舎羅登さんが来いよっと視線で物語る


「俺行っていいのか?」


由緒ある花屋敷家は主にお祓いやお清め

人に()邪念(じゃねん)を取り除くのが長けている一族だ

この正門を入り左手には大きな屋敷がある

その前には仏像と睡蓮(すいれん)の花が沢山飾られた本堂が広々と広がっている



「失礼します」

和兎は小さな声でそう言うと、

駆け足で私達の所へ走ってくる


本堂を超えてその背後(うしろ)には池が広がりそこには木々が生い茂っていた


「ここだ」


舎羅登さんが足を止めた廊下は立ち入り禁止と封印の術韻がかけられていた

それを気にせず舎羅登さんはある部屋へ足を進める

「今術韻解くの見えた?」


妃乃瑠の声に和兎は首を振った


「見えてない」

「今のは通り抜ける術韻だろ」


俺と妃乃瑠を冷たい目で見る実丸に2人で苦笑いをした


「ここだ」


舎羅登さんの声に足を止めた

両開きの大きな部屋の扉は沢山のお札が貼っていた


「ここは…」


妃乃瑠の声に舎羅登さんは


「…よく見ろ。

見て理解しやがれ」


バっと開いた扉の向こうの景色は

想像を絶した


「何ですか…これ」


実丸は息を呑むように前を見据えた


「莉子姫様…」


妃乃瑠は視線を伏せギュッと手を握っていた


「………これが…呪い…」


和兎は初めて見た光景に恐怖を感じているようだった


部屋は薄暗く宙に浮くベッドの周りを何本もの術韻の輪が回っている


ベッドに眠る莉子姫様の半身は消えかかり心の臓の辺りは黒く穴があいていた


そして姫様を見下ろすかのように黄金の時計が逆回りに時を刻む



「この術韻の数で分かるだろ…

救うのなんか難しいんだよ!

じゃあどうするか考えてみろ。

呪いを解く為ならあいつらは何だってするんだ…」


「「「……」」」


全員が声を出さずにいた

舎羅登さんの言葉にある一つの選択肢が頭を過ぎり鳥肌が立った


「それってまさか…」


それは絶対にさせたくない。

して欲しくない


「こんな夜中に何をしている?」


低く怒りを宿(やど)した声にバっと舎羅登さん以外が姿勢を整え(ひざまず)


「長様!」

「申し訳ございません」

妃乃瑠と実丸に続いて和兎も敬意(けいい)を示すために跪く


「お久しぶりです、藩登(はんと)様」


「零恩志家の護衛まで連れて何の用だ?舎羅登…」

「見たらわかるだろ、教えてやってんの

あの()の行く末を」

「行く末?それは聞いてみたいな」

「笑い事じゃねぇよ、叔父さん!」


舎羅登さんは少し距離を詰めた


「今ならまだ帰せる。向こうの世界に」

「舎羅登、何を勘違いしてるかわからんが。

今向こうに行けば白姫の呪いに当てられるだけだぞ?あの()を少し預かるだけだ」

「預かる?ふざけんなよ」

「その他に何がある?」



言葉や表情では分からない

でも俺の中を駆け巡る叔父さんの気を感じるとゾッとする


「今日はもう遅い。

向こうでも大変だっただろう。

もう帰って眠りなさい」

「叔父さん、辞めようぜ。こんなこと…」

「それは、あの()が決めることでお前達にはなんの権限も権利もない。

解るだろう?」

「……」


それ以上俺は喋ることが出来なかった

叔父さんの目は、簡単に人を消すことなど容易(たやす)い事を物語っていた


「さあ、解散だ

実丸、妃乃瑠。あの()を頼んだよ」

「ハッ!」

「はい」


「和兎だったか?」

「はいッ!」

「龍によろしく伝えてくれ」

「承知!」


「この世界にはこの世界の為のルールがある

食うか食われるか。だな」


低く笑いその場を去っていく叔父さんの姿を見つめる


「………っくそ…」

「舎羅登さん。俺達に少し頼ってください」

「実丸…」

「こっちも解読に役立つことや別口も探してみます。

この世界にあなたは必要だから、無理しないでください」

「それはお前もだろ」

「そうだよ!舎羅登さん、私達も頑張りますから」


遠目に和兎も頷いていた


「悪いな。頼んだよ

今日は悪かった、疲れてるのに」


気にしないと首を振る妃乃瑠はソッと扉を閉めた


「助けようね。莉子姫様の事」

「ああ」

実丸は優しく肩を叩いてくれた



帰って行く舎羅登さんを見送った


「藩登様って若いよな」


和兎がそう言えば


「多分?45歳くらいじゃなかったかな」


妃乃瑠の答えに和兎はまた驚いた


「45!?若すぎだろ

花屋敷の家系図、俺達うる覚えだからな」


「私達も零恩志は苦手かも」

「達?俺は頭に全部入ってる」

俺がそう言えば2人とも目が点になった


「どんだけ完璧だよ、お前」

「実丸…勉強も出来たもんね…」


「入ってないお前らの方がビックリだ」


「じゃあ藩登様って舎羅登さんの叔父さんだろ?親が兄弟なのか?」


「そうだ。

藩登様は85代目の長で4人兄弟の次男

兄は84代目 長 、夜摩登(やまと)

弟は花屋敷家幹部 希雄登(きおと)

一番下の妹君 釈愛(しゃな)

釈愛様が舎羅登さんの母親になる」


「釈愛様…って婿取りか?」

和兎の問に頷く実丸


「釈愛様は15の歳で舎羅登さんを出産したんだ

まあ、まだ政略結婚の時代だからな…

舎羅登さんが術韻にあれ程強いのは、釈愛様が得意だったからもあるんだろうって前に藩登様が言ってた

婿の羅生(らい)様も第二級貴族の中で術韻が秀でてたから、今も幹部として頑張ってるって」


「舎羅登さんって術韻の申し子みたいなもんだな」


和兎がそう言えば2人とも頷いた


「だから藩登様もあの程度で済ませたんじゃねぇのかさっき、普通だったら厳罰あるだろ」

「確かに。勝手に姫様に近づいちゃダメだもんね」


「特に莉子様には、思い入れが違うからな」

「初代長、(ほむら)様の血を濃く継いだんだっけ?」

「そこは私も知ってるけど、

莉子様の出生には色々謎があるからね」

「だな。俺達もそこは勉強したけど」


「早く色々解決して欲しいね」


私も少しだけ。

少しだけ違和感を抱いていた


忠誠心の熱い実丸と

莉子姫様に面識のない和兎にとったら

この世界のルールだったと思う


でも私はそう思えなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ