やや・舎羅登過去編4
「…舎羅登さん…」
カッコよくって
その背中を見つめた
「好き…大好きだよ…」
気持ちは届かないけど
伸ばした手は
「大丈夫か?」
駆け寄ってきて私の手を掴んでくれた
こうやって届くから
「ありがとう…」
「お礼ならののに言うんだな」
「やや姉ちゃん!」
駆け寄ってきて抱きついてくるののを抱き締め返した
「舎羅登さんを呼んできてくれたの?」
「うん!花屋敷のお屋敷の前に居たから」
「ちょうど屋敷に用事があったから良かったよ」
「…うん…ありがとう
ののも、舎羅登さんも」
「怪我の手当と…源様達に式神飛ばしておくよ」
「うん…」
目を閉じて舎羅登さんに身を委ねた
「すぐ着くから我慢しろよ」
「え?」
お姫様抱っこをしてくれてお薬処まで運んでくれる舎羅登さん
「大嫌いな人にお姫様抱っことか…また最悪って言うんだろ」
っと笑う舎羅登さんに
「この間はごめんなさい」
そう言えば
「謝るのは俺の方だ」
って言ってくれた
「私が危ないといつも助けてくれるね」
「……」
「ありがとう」
「明日、嵐でも来るのか?」
「…もう…真剣に言ったのに」
お薬処についてベッドに下ろされる
「解ってるって
ほら顔見せろ」
「ッ痛」
「目の上切れてるな…」
「痛い」
「我慢しろ」
「傷残るかな?」
「…これくらいなら綺麗に治りそうだけどな」
「良かった」
「お嫁にいけないとか言う気だったんだろ」
「見かけで選ぶ人は嫌
傷なんて関係ないって言ってくれる人がいい」
「俺も思うよ
全部を愛してくれる人がいいって」
視線が重なって恥ずかしくて瞳を逸らせば
「早く治るといいな」
そう言って瞼に唇を落とす舎羅登さんに驚いてバッと離れるけどもう遅かった
その熱に囚われるように
引き寄せられるように
「ンッ///」
お互いに唇を当てれば優しくキスをしてくれた
「やや」
「ッ///」
1度触れれば止めることなんか出来なくて
舎羅登さんの首に腕を回せば背中に回る手の温もりにまた目を閉じた
『こちらです』
『やや!』
廊下に響くお母様たちの声に我に返り
バッと離れれば舎羅登さんの口元は笑っていた
「落ち着けって」
グッと袴の袖で私の唇を拭いてくれる舎羅登さんは余裕な顔をして扉に視線をむけた
コンコン
「どうぞ」
「やや!」
「お母様」
抱きついてくるお母様は泣きだしてしまった
「おばさん、大丈夫ですよ
怪我もちゃんと治ります」
「良かった
式神が来て屋敷に寄ってから来たの
窓ガラスが沢山割れてたからどんな怪我を負ったのかって思ったら心配で」
「あ…」
舎羅登さんが苦笑いして
私も釣られて笑った
「笑う元気はあるのね」
「うん、舎羅登さんが助けてくれたから」
「本当にいつもありがとう
迷惑ばっかりかけてごめんなさい」
「大丈夫です」
「はあ…生きた心地しなかったわ、本当に」
「ごめんね」
「ここ3日ご飯も食べないし…部屋にこもってたから」
「お母様!」
気まづい気持ちで舎羅登さんを見れば
また口元は笑っていた
「舎羅登君、ごめんね
あと2軒残ってて…迷惑じゃなかったらややもうしばらくここに居させてもいい?」
「全然構いませんよ
修復とかもあると思うのでまた夜に送りましょうか?」
「わ、私1人で大丈夫!
帰るよお母様」
この後2人で居るなんて絶対恥ずかしくて耐えられない
「もう、女の子は素直に甘えるのが可愛いのよ」
っと意味のわからない言葉を残しお母様は帰っていった
「じゃあ、続きするか」
「え?ちょっと」
慌て出すややの頭をツンっと指でおす
「手当の続きだよ」
そう言えば林檎より真っ赤になったややに
お腹を抱えて笑った
「そんなに赤くならなくていいだろ」
「もう…ひどい」
「したいならするけど」
「//////」
急に真剣な顔になった舎羅登さんにまた身体が熱くなってしまう
「アハハ、いや、もう最高」
「もー!!最悪だよ」
「涙出てきた」
「笑いすぎだよ」
「久しぶりに本気で笑ったっつの」
そう言いながらペンを進める舎羅登さんの横顔に笑顔がこぼれる
人を好きになるって本当に魔法みたい
その人の一言で
胸がモヤモヤしたり
高揚したり
その人の行動で
傷ついて泣いたり
嬉しくて喜んだり…
見つめ合えば全てが伝わるような不思議な感覚になる
触れた唇が伝える熱は
もう忘れられる気がしない
「舎羅登さん…」
「ん?」
ペンを止めてこっちを向いてくれた
「もう1回だけ…」
そう言えば悟ったように手を伸ばして私の頬に手を添えてくれた
だけど
グ二っとほっぺたを摘まれる
「ひはい」
痛いと伝えれば
「調子に乗るなよ」
っと笑って再びペンに手を戻す舎羅登さん
「もういいよ」
横目でややを見ればむくれていた
「っ…たく」
グッとややの首を手で引き寄せて
唇をあてがえば応えるようにややの唇が動いた
そのまま俺を跨がせて何度もキスをした
触れ合うと心が満たされていく
そして溢れていく
「ンッ」
「…ッ」
「舎羅登さん」
「ん?」
「もっと大人のがいい」
「は?」
そう言ったややの鼻を手でつまむ
「むくれてもやんねぇからな」
「痛い」
「どこでそんな事覚えるんだよ」
「内緒」
そう笑い合えば心は寄り添うように思えた
だけどこの日のずるさがまた私を苦しめていく




