第五話 宣戦布告と苦悩
今回は亜里亜が主役?になってると思います。
空港を制圧した翌日、ナイトメアは空港を新たな基地にするため様々な作業に追われていた。
「渚!ここは格納庫でいいんだな?」
「そうだ、応千」
次々と格納庫に入って行くセルク
「亜里亜、負傷者の数は?」
白衣を着こなした亜里亜は青いリストを見ながら言った。
「パイロットが5人、その他が37人ぐらい」
「何か必要な物はあるか?」
「ううん、大丈夫。渚こそその手、大丈夫?」
渚は手を軽く振って「大丈夫」と答えた。
「おーい渚、来てくれ!」
由井の声が響いた。渚を呼ぶ声だ。
「ちょっと待て、今行く」
渚は呼ばれて、由井の方へ歩いていく
「ちょっと待って!」
亜里亜が渚の袖を掴んで引き止める。
「どうした?」
渚は亜里亜の方へ顔を向ける。亜里亜は頬を赤く染めている。
「あっあの、後でお話があるんだけどいいかな?」
「何時?」
「空いた時間でいいよ」
「分かった。全部終わったら呼びに行く」
「う、うん」
亜里亜は笑顔で頷いた。
「どうした、由井」
渚は呼び出した本人に尋ねた。
「ファントムから新型が届いてるんだけどさ、パイロットどうする?」
「要するに人選か」
渚は手を組み、考える仕草する。
「ロフティとサリーナはどうだ?」
「二人?新型は二機届いてるのか?」
由井は渚の問いに「ああ」と頷いて答える。
「決まりだ!その二人で、機体名は?」
「たしか「べクセル」だった・・・かな」
由井は首を傾げながら答えた。
日本で一番高い山と言えば富士山だ。だが今の富士山は半分が人口物で覆われている。
「閣下、東京がテロリストに占拠されました。」
高貴な服装をした男が告げた、だが閣下と呼ばれた男は鼻で笑っていた。
「たしか東京には三条がいたな、奴はどうした。」
「戦死なさいました。」と高貴な男は即答した。
「テロリストは自由に泳がせておけ、今はEUとの戦いの事を考えろ!」
高貴な服装をした男は「はっ!」と一礼しその場を後にした。
「渚、放送部から連絡が来た。」
「分かった!由井着いて来い」
渚は由井を引き連れて、ある場所へ向かった。
その場所はスタジオのようになっていて、カメラが一台設置されていた。
「これを着ておけ」と渚は由井に黒いスーツを渡し本人も黒いスーツに着替えた。
「何をするんだ?」と言う由井の問い掛けに渚は笑って答えた。
「宣戦布告だよ」
三十分が経過した。
「渚!由井!準備はいいか?」
応千は大声で二人の名を呼び、確認を取る。二人は応千に向かってサインを送り身なりを整えた。
「本番、三秒前、二、一、スタート」
渚は凛とした態度で声を出した。
「日本国国民よ!私はナイトメアの首領、一ノ瀬渚だ!我々は現在東京を占領している。だがこれはテロではない・・・・・・これは今の腐敗した日本を変えるための行い、よって!我々は日本軍に対して宣戦布告を宣言する!」
人々はこの宣戦布告に対して色々な考えを持ち始めた。今の日本は昔と違い権力が物を言う時代だ
今のままがいいのか?それとも昔のように平等なのがいいのか
今の日本は貴族主義のようになってしまっている。この日を境に日本を変えようとするレジスタンスが増えた。
「応千、コーヒーを一杯もらえるか?」
応千は言われた通りに缶コーヒーを渚に投げ渡した。
「馴れないない事はするものじゃないな」
渚は誰にも聞こえないように呟いた。渚はコーヒーを飲み干し、由井に後の事を頼み亜里亜の許へ向かった。
渚は亜里亜の部屋の前で立ち止まり、深呼吸をしてドアをノックする
中から「どうぞ」と言う亜里亜の声が聞こえたのでドアを開ける
「もう、いいの?」
亜里亜は渚に訪ねた。
「開口一番がそれか?いいから来たんだ。風呂上りだったのか?」
亜里亜の服装は先程の白衣と違い同じ歳ぐらいの子が着るパジャマだった。
「うん、そうだよ」
亜里亜は笑顔で答えた
「ここはいいか?」
「うん、地下に比べたらすごく快適だよ!地下にいた頃はお風呂に入ってもすぐに汗かいちゃうもん」と渚の問いに即答する。
うれしそうな亜里亜を見て、頑張った甲斐があったなと渚は少し感じていた。
「そういえば、話って何?」
渚は話を切り出すと亜里亜は暗い表情になっていく
「うん、いきなりだけどさ・・・今の日本、好き?」
「嫌いだよ、今の日本は・・・」
渚は頭を抑えて答えた。
「さっきの宣戦布告見たよ。渚が本気だって事も伝わった。日本を変えるって言う目標が・・・でもその上で言わせて」
渚は一度視線を外したが再び亜里亜に視線を戻した。
「もう、戦いなんてやめて、お願い」
渚は言葉を失った。何を言えば分からない色々な言葉が混濁している。亜里亜は言葉を続けた。
「もう人が死ぬの嫌なの、見たくないの戦いも死体も、大丈夫だよ少しつらい思いはするかも知れないけどそのつらさを我慢すれば平和に暮らせるよ」
亜里亜の悲痛な声が渚の心に響いてくる。渚は亜里亜を強引に抱きしめた。
「ごめん、戦いはやめられない。今の日本じゃ平和には暮らせない。俺はみんなに昔みたいにつらさのない日本に戻したいんだ。だから・・・」
言葉が出なかった。いや出せなかったと言うのが正しい。気づけば亜里亜は泣いていた。
渚は亜里亜を離して「ごめん」と一言だけ伝えて亜里亜に部屋を後にした。
渚は廊下に力尽きたように座り込む
「戦いをやめて・・・か」
その日、渚は珍しく深い眠りに落ちた。
今回も人物編ナイトメア
亜里亜 15歳
渚と由井とは昔から仲がよかった。渚と由井が戦う事を決意した時少しでも支えになりたいと思って「ナイトメア」の医療部に参加した。
南 応千 30歳
「ナイトメア」整備部の部長でもあり、渚に信用されている。パイロットとしての技能も高い。そのため時々出撃する事がある。
ミリア ?歳
見た目は二十代ぐらい、元米軍の医療部隊の隊長
「ナイトメア」に参加した。理由も不明、だが亜里亜にとってはとてもいい上司