第一話 襲撃
これもプロローグ的なものです。
西暦2008年4月某日
一台の大型トレーラーが深夜の道路を滑走していた。
「おいっ!渚」
「なんだ、由井」
渚は紅坂由井に肩を掴まれる。
「この戦力だけで大丈夫なのか?」
「問題ない、それより早くセルクに乗れ!」
渚は由井にそう言って軍から強奪した機体に搭乗するように促した。
「全機、作戦を確認する」
渚は堂々とした態度で声を発した。
「まず私の乗るラングがセルク量産工場に突入、それから五分後に突撃隊は突入しセルクを強奪、由井、ロフティ、サリーナ以上三名はトレーラーの護衛、いいか?」
「「了解」」
渚は全員が頷いた事を確認し次の指示を出した
「応千、ハッチを開けろ!」
応千と呼ばれた男は渚の指示通りにハッチの開閉スイッチを押した。
ブォォォンと音が鳴り、ハッチが開き人型の真紅のロボットが姿を現す。
「ラング、出るぞ」
渚が呟くと同時に「ラング」と呼ばれた機体が加速を開始する。
一直線に真紅の機体が滑走しながら前進する。
「見えた!」
ラングの眼前には工場と警備に当たっている軍の二機のセルク
「お前の力見せてもらうぞ!」
渚はラングの右腕に装備されているリニアバズーカのトリガーを引き、連射する
ドゴォーン!
二機のセルクに見事直撃そのまま工場の壁を打ち破る
「こちら渚突入成功」
渚は通信機を取り出して、トレーラーにそう告げた。
「由井だ!トレーラーに異常なし、突撃隊を出すぞ?」
「ああ、頼む」
渚は通信を切り、向かってくるセルクを撃破していく
「将軍、大変です。エリア3の生産工場が何者かによって襲撃されたとの事です。」
慌てて入ってきた士官がそう告げた。
「やはり来たなナイトメア、今すぐにエリア3にカウラを援軍に向かわせろ!」
将軍が士官に指示を出して自らも司令室に向かった。
だがその頃にはナイトメアの突撃隊はセルクに搭乗、作戦の八割を終えていた。
「由井!脱出ルートは?」
「確保できてる」
「よし、由井はトレーラーと奪ったセルクと共に脱出しろ!ロフティとサリーナは私と合流しろ!」
「「了解!」」
渚はその場で待機、二人が来るのを待った。
そしてメインカメラから上空を見上げた。
「そろそろか・・・」
「リーダー、遅れてすいません」
「急いだのですが敵が多くて」
十分後、ロフティとサリーナが渚の許へ来た。
「いや、丁度いい上を見ろ!」
「上?」
二人は渚に言われた通りに上空を見上げ、絶句した。
「リーダー、あれは」
ロフティの問いに渚は平然と答えた。
「ああ、日本軍が所有する大型輸送機「カウラ」だよ」
まるで判っていたかのように・・・
「リーダー、あれはセルクを20機は搭載しています。それが一度に降下されたら三機で応戦するのは無理です」
サリーナは講義したが渚は余裕の笑みを浮かべた。
「ふふっ、降下されたらな」
二人は動揺したが渚は指示を出した。
「私のラングなら一度に加速すればカウラのブリッジ部まで行ける。だが問題はその後だラングのエンジンが尽きてしまう、そこでロフティとサリーナは私のラングを受け止めろ!セルクでもできるはずだ。」
「了解」
ロフティは素直に承諾、しばらくした後サリーナも承諾した。
「頼んだぞ」
渚はそう呟いてラングの全出力をブースターに回し、一気に上昇
やがてカウラのブリッジ部の目の前にたどり着く
「くっ!テロリストがぁ!」
カウラに搭乗していた将校がそう呟いたが当然渚には聞こえない
ラングはゆっくりとリニアバズーカを構える。
「さようなら」
無情にも銃口から光弾が放たれカウラのブリッジ部が炎上する。
「私の勝ちだ!」
渚の乗ったラングはエンジンが切れ、落下していく
翌日の朝、空で大きな爆発があった事が報道された。
今回の機体説明
PLC−A2「ラング」
全長5m
日本軍の次世代量産試作機
渚がナイトメア結成前に軍から奪った機体
セルクでは実現できなかったホバー移動が可能になり、機動性はセルクの約4倍
装備 リニアバズーカ、散弾式リニアライフル
機体カラーは鹵獲時はホワイトだったが渚が目立つようにレッドに変更した。