仲間
書けたので投稿します。
「………我の負けじゃ、人間。よもや、人間ごときに敗北するとは………」
「負けだ………じゃねーよ!!いきなり現れて攻撃されて、殺しあいさせられて、一体何様なんだお前は!」
リョウは怒鳴るがなんともないように狼は言う。
「我は誇り高き天狼じゃ」
「天狼?」
「なんじゃ汝天狼を知らんのか?」
天狼は驚いた顔で言った。
「知ってなきゃまずい系の事なのか?」
「まずいというか常識じゃな」
「…………マジか。。俺まだこの世界に来て半年しかたってないんだよ。だからこの世界の事とかなんにも知らないんだよ」
「…ん?………どういうことじゃ?」
リョウは天狼に自分の状況、そして能力などを説明した。
なぜ先程まで敵だったやつに自分の身の上話をしているのかとも思ったが、きづいた時にはなにもかも話してしまっていた。
もしかしたら孤独な生活が続いていたため誰かに聞いて欲しかったのかもしれない。
リョウが一通り話し終えたところで天狼は尋ねた。
「なるほどの……その魔力のようで魔力でない力はそちらの世界の産物なのか?」
「俺にはまだわからん。なんせまだ能力の七割くらいしか解明できていないからな………」
「ところで汝は我をどうするのじゃ?」
「どうするって?」
「我は敗者じゃ。生かすも殺すも汝の自由」
「うーん…………」
リョウはしばらく考え、突如目を大きく開いた。
「そうだ!お前俺と一緒に来るか?」
「???」
狼は何をいってるのか解らないと言うように首を傾げる。
「いやだから、もうちょっと先になるかもしれないけど、いずれは俺もこの森からでていく。そしたら一緒に旅しないか?」
「汝と一緒に旅か………確かに面白そうじゃな。分かった。しかし、もうちょっととはどういうことじゃ?」
「いやね、お前と戦ってみて俺の能力はまだ伸びると思ったんだよ。ちょうどお前もいるし、修行もしやすいと思うからさ」
「ふっ、天狼を倒しておいてまだ強くなれるじゃと?全く汝には心底驚かされる」
「俺はえんど……いやリョウ・エンドウだ。よろしく」
「我はリーズリット・フォン・ワーウルフ、誇り高き天狼の一族じゃ。リズと呼んでくれ。よろしく主殿」
「あ、あるじ!?」
「なんじゃ。問題か?」
「いや、主って」
「天狼にはその強さ故、一度敗北した者には死ぬまで尽くせという掟があっての」
「そんな無茶な……ん?………リズ?偏見かもしれんがやけに女っぽい名前だな」
「何をいっておる主殿、我はメス……いや、女じゃぞ」
「へ??」
そこでリョウの頭は一旦フリーズし、数秒後再起動する。
そして頭に浮かんだのはこの前読んだ小説にでてきた、人に変化することのできる伝説の生物だった。
その小説の主人公はそいつに襲われたが、かろうじてしりぞけその伝説の生物は主人公に忠誠を誓っていた。
(あれ、ここまでほとんど同じじゃね)
最終的に擬人化したら銀髪幼女がでてきて、俺はロリコンじゃないと声高らかに叫ぶことになる展開になる気がする。
「リズ」
「なんじゃ?主殿」
「もしかして人型になれたりする?」
「人化か?おお、できるぞ。じゃが、何故そんなことを知っているんじゃ?」
「いやーあはは」
「そうか、人型になったほうがよかったか」
「え!?ちょっちょっと待っ」
リョウが言い切る前に、リズの体が輝く。
狼の姿からから人の姿にシルエットが変わっていく。
そしてリョウの前に現れたのは絶世の美女だった。
輝く銀髪に人形のように整った顔立ち。
そしてその中に明朗さを含んでいる。
リズの性格通り、活発そうな美女がそこにいた。
さて問題の体格だが、身長はリョウより頭一つ低いぐらいで、恐らく160後半だろう。女性の平均身長くらい、もしくはちょっと大きいぐらいか。
そして、貧でもなく巨でもない絶妙な大きさの二つの膨らみ
そこに「幼」という要素は微塵もなかった。
リョウはなんだか拍子抜けした気分だった。
一旦思考を落ち着かせたところで、重大なことにきづいた。
リズが全裸なのだ。
当たり前だ。
服なんて着てるわけがない。
冷静に考えればすぐに分かったことだ。
だが、それにきずかなかったというのは、よほどテンパっていたのだろう。
リョウも元の世界では健全な男子高校生だったのだ。
そっち方面への興味は多大にある。
しかし、悲しいかな、女性経験が少ない純情少年には急なアドリブに対応するだけの技術は無く、目の前の光景に脳が処理落ちし、ショートしてしまう。
目をそらしながらも創造によって服を作りリズに投げつける。
「ほーホントに便利じゃのうその力は」
リズが感心するように、そして面白そうに言う。
ようやく脳のショートから復帰したリョウは尋ねる。
「なんだか普通だったな。幼女かと思った」
「なに?幼子のほうがよかったのか?一応我は主殿の年齢と同じ年齢の体格にしたのじゃが…………主がそちらのほうがいいのであれば変えようかの?」
「いやいやいやいや。大丈夫。問題ない」
変化しようとしたリズを慌てて止める。
そうしながらリョウは思う。
これからにぎやかになるな……
一人の時には感じなかった人(明確には人ではないが)と話す嬉しさが心にしみた。
最高の出会いだったな………
リョウは嬉しそうに笑った。
リョウはまだ強くなります。
次回はこの世界の具体的な説明を入れるつもりです。
誤字訂正しました。
次回で旅立てるかな〜
次回も頑張ります。
投稿はできるだけ早くするので
では、
感想、評価、アドバイス、質問お待ちしております。
リズの口調を変えました。