表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エデン〜創造と破壊〜  作者: 近山 流
第2章 天界
60/73

天狼の姫−リオルガルド−

短いですがきりがよかったので投稿します。



「久しぶりだな、このバカ娘が」


突然現れた男は周囲に強大な圧力をかけながら開口一番そう言った。


「リ、リオルガルド様!?な、なぜここに」


膝をつくアリオレスのひどい混乱様にリョウは改めて警戒心を最大にする。


だが、同時にリョウは悟っていた。

目の前の銀の男が自分より格上だと。


命を捨てる覚悟で相打ちを狙っても五分五分だろう。

剣獣の森にいた時も、帝と戦った時も、魔獣の大進行を防いだ時も感じなかった絶対的な強者が目の前にいるのだ。

他のみなも完全に圧力にやられている。


「このバカ娘が素直に帰ってくるとは思えんかったからな。

天界から降りてきた」


男の口調は周りにかける圧力からは想像もつかないほど軽いものだった。


「リオルガルド様。失礼ながら申し上げますが、天狼の玉座を空けるなど、いつ攻められてもおかしくないのですよ!」


少しずつ立ち上がりながら叫ぶ。


「ああ、そんなことはわかっておる。

だがそれよりも今は戦力を揃えることが必要だ」


「どういうことなのですか」


いきなりきな臭い話になってきたためかリズが問う。


「そのことですが…………」


そしてリョウの方を見る。

そこには敵意の色。


アリオレスの視線に気づいたのかリオルガルドがリョウの方を視界に映す。


「そこの人間がどうした」

アリオレスはかしづく。


「リオルガルド様。その人間は危険でございます。今の内に始末しておかなければ後々………」


しかし、途中で遮られてしまう。


「ほう。貴様がそこまでいう男か。

リズそいつは何者だ」


「この男はリョウ。我の主となった男です。父様ですら敵わないでしょう」


リズの言葉に驚くリョウ。

そしてリョウは気づいたあきらかにいつものリズと違っていることに。

前述したようにリョウは明らかにリオルガルドに劣っている。そしてそのことを分からないリズではないはずだ。

考えられないほどリズは熱くなっているのだろう。

これは結構危ないかもしれない。口調もいつもと違うし、冷静なリズしか見てこなかったためか、対応に困るリョウ。


「リズさん、おさえてください」


「ぐ、すまぬ。つい熱くなってしまった」


レナに宥められリズはようやく冷静さを取り戻す。


「リズ、父様って言ってたけど………」


「ああそうじゃ。我の父であり天狼の長、リオルガルド・フォン・ワーウルフじゃ」


「長!?長って言ったら天狼族のリーダーみたいなやつってことか!」


ネルをキッと睨めつけるアリオレス。


「ねぇねぇ。さっきからあいつ俺に厳しすぎね」


エリアに小声で尋ねるネル。だが


「お前が調子に乗るからだ」


短く切り捨てられる。


「……………俺の味方はいないのか」




「父様がでてくるほどの事態なのですか?」


「ああ、残念ながら余裕はないな」


「ですが、私も大人しく参るわけにはいきません。今の私には仲間がいますので」


「ふ、仲間か。天界にいた時のお前が聞いたら目を丸くして驚くだろうな」


「はい。自分でもそう思います。自分より強い存在にであったことで変わったのかも知れません。ですがだからといって番いは別です。自分より弱いものの子を生むなど考えられません」


そうして再びリョウの腕に抱き着く。


「ほう。おいそこの人間」


視線の先にはリョウ。


「貴様がそれほどの評価に値するかどうかためさせてもらうぞ」


「へ?」


突然の言葉に混乱するリョウだったが、本能で危機を察知し、リズが抱き着いている左手をふるいリズを遠ざける。同時≪破壊≫で最大まで強化した右手を前に出す。


ドォォォオオオオン


轟音とともに突き出された右手に何かが突き刺さる。


「ほう。片手で止めるか」


それはリオルガルドの拳。

一瞬でリョウとの距離を詰めていたのだ。

動きが全く見えなかった。危機察知能力が働かなかったときのことなど想像もしたくない。


そしてなによりも−−


(いてぇぇぇええ!

くそ、≪破壊≫で強化しまくってもこれかよ。

こんな砕けそうな痛みなんて剣獣の森以来だぜ。

それにしてもライザーといい相手の力量を計る時はいきなりパンチってきまってんのか?)


リョウは表の面では澄ました顔をしている。せめてもの強がりだ。まぁ、眉がぴくぴくしていたのは仕方のないことだろう。


そして一方、リオルガルドも内心驚いていた。


(力を幾分抑えていたとはいえ、リズもろとも殺す気でいったんだがな。まさか片手で受け止められるとは)


打ち付けた拳をゆっくりと降ろし


「ふむ。リズの言っていることはどうやら本当の様だな。わかった。貴様達も天界に連れていこう。これでよいのだな?リズ」


「え!?」


唖然とするリズ。


「っ!

リオルガルド様!!何を言っておられるのですか!!こやつらは下民ですぞ!もし我等の領土に連れていけば狐や龍のやつらの笑い者です」


「確かにやろうとすれば力付くで連れていくこともできるだろう」


リオルガルドの言葉に再度身構えるリョウ一同。


「なに、構えることはない。さっき言ったことは本当だ」


「しかし!」


反対の意を発しようとするアリオレスを目で制す。


「歩を弁えろアリオレス。

事態は一刻を争う。リズは愚か者だが実力はそれなりだ。

ならばそれを充分に発揮してもらわねばならん。

そのためにこやつらが必要ならばやむを得ん。

俺はそう考えている」


「そ、それは………」


「アリオレス」


「…………わかりました」

いかにも仕方なしといった様子で頷く。


「父様、いったいどういうことなのですか。一体天界でなにが」


ただならぬ様子に不安を隠しながら尋ねる。


「200年ぶりになるのか。この事態は避けたかったのだがな」


リオルガルドの言葉に顔を強張らせる。


「ま、まさか………」


「ああ。想像の通りだ。始まるのだ。天界大戦がな」



天狼の姫編は天界大戦編への繋ぎだったのです!(編題が合ってない気がする。変えようかな………)……………天界についての詳しい説明とかするのでまだ続きます。



では、

感想・評価・アドバイス・質問お待ちしております。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ