VS天狼 1
予想以上に長くなってしまったため二つに分けて投稿します。
「我は天狼なり。汝は強者たるものか?」
リョウの目の前に突如現れたものは最初にそう言った。
「お前はなにもんだ?」
リョウは問う。
「天狼と言ったはずだが」
その天狼と名乗る巨大な生物は小バカにしたように言う。
「違う、そういうことじゃない。サーチのレーダーを飛ばしたはずだが、何も反応しなかった。何をしたんだ?」
「レー…ダー?なんだそれは?我はただ走ってここまで来ただけだが」
走って?確かに察知した殺気はまだかなり遠いものだった。だからこそレーダーを飛ばして情報を知ろうと思ったわけだが…………
……まさかレーダーが到達するより速くここまで来たっていうのか!?
うそだろ、信じられない。
だがもしそうだとしたらかなりの、いや、想像を絶するほどのスピードだ。
それにこの森に迷い込んで以来、いろんな獣と戦ってきたが、意志疎通ができるやつに会ったことは初めてだ。このことからもかなりの知能の高さが伺える。
これはかなり面倒な敵に会っちまったな。
リョウは心の中で舌打ちした。
「汝から不思議な力を感じる。もう一度問う。汝は強者たるものか?」
天狼が言った。
「だったらなんだ?」
「我と勝負……いや、そんな生温いことは言わない、さぁ殺しあおうではないか」
「何言ってやがんだお前は」
なんだこの威圧感は、他のやつらとは段違いだ。
こいつは危険だ。
リョウの直感は大音量で警報を鳴らしている。
………逃げれるか、こいつと戦うのは絶対にまずい
「いくぞ!」
間髪入れずに狼がとびかかってくる。
いきなりかよ。間に合うか………
リョウは内心で毒づきつつ
アクセル
「《加速》!!」
リョウが持つもう一つの能力を身につけるにあたりマスターした力
体全身に溢れている生命エネルギーを活性させることにより、身体を強化することができる。
加速は足の生命エネルギーを一気に活性させることで超速で移動するものだ。
「ほう。我の攻撃をよけるか」
狼はどこか嬉しそうに言う。
(よけなきゃ今頃死んでんだろ)
リョウは心の中でそう毒づく。
「逃げるつもりか?」
「当たり前だろ。お前と戦って確実に勝てるとは思わない。俺は極力無茶はしない主義でね」
「我の速さを前に逃げれると思っているのか?」
そう言った瞬間、狼の巨体はリョウの後ろにあった。
(うそだろ!?何て速さだ)
今日何度目か分からない驚きを口にする。
アイアン
「《鉄壁》!!
慌てて体全体の生命エネルギーを異常活性させ、肉体を鋼のような固さにする。
ガンッ!!
鉄を叩いた様な音がして、リョウの体が弾き飛ばされる。
「………くー………流石にいてぇー」
「……我の全力の一撃をくらってまだ生きているのか……身体強化魔法か?……いや、身体強化程度で我が一撃を防げるはずがない」
ここで初めて狼は驚いた。
「汝は人間か?」
「失礼なやつだな。俺は人間を止めたつもりはない」
(くそ、主義に反するがやるしかないか……死ぬのはゴメンだ)
そして唱える………
「創造、形状は銃、連射機能付き、弾丸は炎」
まだ、複雑な構造のものは声に出さなければ明確にイメージできないのだ。
そしてリョウの手に銃が出現する。
「なんだ?召喚魔法か?」
「いいや」
リョウはニヤリと笑い引き金を引く、
ババババババッ
一秒に10発もの速度で炎を纏った弾丸が狼に襲い掛かる。
「ッッッ!!」
狼は己のスピードを駆使して次々と弾丸を避けていく。
しかし、数が多い。
しだいに、避けれない弾が出てきて、みるみるうちに被弾数があがっていく。
「ハハハハハ…いいぞ、いいぞ人間。我が傷を負ったのは何十年ぶりだろうか」
狼は心底嬉しそうに笑う。
「我も全力で行かせてもらう」
狼の口から何十個もの炎弾が発射される。
リョウは銃でそれらを迎撃していく。
「火をはく狼なんて聞いたことないぞ!」
「我はただの狼なんぞではない。天狼だ。こんなものまだ序の口よ」
狼は薄く笑みを浮かべる。
VS天狼 2は今日中に投稿するつもりです。
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