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エデン〜創造と破壊〜  作者: 近山 流
第1章 出会い
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魔獣の軍勢−帝VS魔獣−



「形成」


レイリーの頭上に無数の魔法陣が浮かび上がり


「召喚」


その魔法陣から次々と剣が姿を見せる。


「展開」


召喚された全ての剣はそれぞれ魔獣をマーキングしており、より一層レイリーの制御能力に舌をまかされる。


 インフィニット・ソード・ワールド

「《infinite sword world》」


剣帝レイリーまたの名を無限剣レイリーその真髄がここにある。


それぞれが致死の一撃。


それが

    放たれる。


「射出」


全ての剣が魔獣に降り注ぐ。

それは肉を切り裂き、えぐり、突き刺さる。

甲殻獣の強靭な殻ですらそれをとめることはできない。

ただ死を待つのみだった。今回のレイリーは加減をしていなかった。


言い訳ではないがリョウとの試合の時は威力を五分の一くらいまで落としていたのだ。

全力でやってしまえば確実に闘技場が壊れてしまう。

そもそも人間相手に使うものではない。

しかし、今日の相手は魔獣の群れ。

広範囲殲滅魔法のもってこいの出番である。


よって放たれた無数の剣に次から次へと鮮血を撒き散らしながら地に伏していく。

レイリーは一歩も動かない。

否、動く必要がない。


それは王のような貫禄を持っていた。


全ての剣が降り注いだ。

あたりは焦土のようだった。


しかしその中にただ一点、地に足をつけているものがいた。


黒々とした筋骨隆々の肉体を持ち、片手に巨大な斧を持つ人魔獣。


SSランク魔獣 ヘラクレス


その強靭な肉体はレイリーの剣にたえきったのだ。


「……ほう」


レイリーは薄く笑みを浮かべ、


「おもしろい!!」


地面を蹴った。

そして走り出すと同時に両手をそれぞれ横に凪ぐようにふるう。

右手は右に、左手は左に。


するとそれを待っていたかのように魔法陣が現れ剣を召喚する。


「行くぞ!」


剣帝レイリーVS人魔獣ヘラクレス




獣人族の男はのっそりと動き出す。


「俺としちゃせっかくの機会だからな。

ゆっくりやりたいんだが。

それだとうちの姫さんに怒られちゃうんでね。

悪いけどさっさと終わらさせてもらうよ」


そう言ってライザーは両手両足を地につける。


それは獣が獲物をねらっているシーンに酷似していた。



そして叫ぶ。


獣人族のリミッターを外し、能力をを最大限にまで引き出す言葉。


ビーストアウト

「≪獣化≫」


ライザーの体を覆う体毛が量を増していく。


虎?豹?


いや、違う。獅子だ。

百獣の王。獣の王。

表す言葉はたくさんあるがこれ以上王の貫禄をもっているものはいないだろう。


魔獣達が一斉に足を止める。

種類は違えど今は同じ獣。

目の前に絶対的に君臨するその姿を見ればつい無意識のうちに足をとめてしまうのも当然だろう。



「さぁ楽しい狩りの始まりだ」


悪役のような台詞をはき、走り出す。

………と思ったときには既にライザーは魔獣の群れの遥か上空へと至っていた。


そこからの急速な垂直落下により魔獣達の中心へと着地する。

しかしすごい速度だったのにもかかわらず体勢を崩すこともなくましてや音すらしない。

想像を絶するほどのしなやかさだ。


ライザーは強く地面を踏み締める。


そして右足を軸に己を中心にして円を描くように両爪をふるう。


すると鋭い真空波がはなたれ、その軌道上にいた全ての魔獣が勢いよく血を吹き出し倒れていく。


一瞬で500体ほどを屠ったライザーはまだとまらない。

次々と移動し切り刻んでいく。

それはもはや戦いでも狩りでもない。


殺戮だった。



さらにこのライザーの動き。

未だ視認できているものは一人もいない。


あまりにも速いためはたからみると勝手に魔獣が血を吹き出し倒れていくようにしか見えなかった。

およそ二分で2000体を片付けたライザーは恐ろしいことに血を一滴も浴びていない。


返り血はもちろんのこと攻撃に使用した爪にですらついていなかった。


あまりにも素早く切ると少しの間だがそのままくっつきつづけるという現象がある。


ようするにライザーは切られたとわからないほどのスピードで相手を切り裂き返り血を浴びる前に移動したということだ。


説明するのは簡単だがもはやぐーの音もでない。


ライザーの圧倒的な勝利だった。


しかしそんななかにも暗雲が立ち込める。

ライザーのもとにたった一体できたのは、白銀の翼と体を持ちめったに現れることのないことから幻獣とも呼ばれている、SSランク魔獣、幻獣ペガサスだった。


「ははは!!

幻獣なんてものと戦えるなんてなこりゃついてるぜ。

お前は俺の獲物だ!」


ライザーはペガサスに向かって勢いよく跳び上がった。



獣帝ライザーVS幻獣ペガサス




「あの二人はしっかりとやっているようですね。

私もそろそろ始めるとしましょう」


そう言って魔帝シルフィは目をつむる。


両手を強く握り祈るようなポーズをとる。


「祖をになう七つの魂よ」


シルフィの周りを七色の光が包む。


「私は全てを受け止め受け入れる」


光が徐々に集約されていき


「我がもとへ集え!」


一つの大きな球状のエネルギーの塊に変貌する。


シルフィは手をユックリとあげ右手の人差し指で天を指し示す。


「七光よ。天を穿て!」


その瞬間球状になっていたエネルギー体が勢いよく七色の軌跡を描きながら天を穿つ。


「そして流星となりて降り注げ!!《虹の流星》」


空から七種類の光を持つ球体が何十何百と降り注ぐ。


《infinite sword world》と同じ広範囲に渡る殲滅魔法。


しかし《虹の流星》が成す情景はそれとは大きく違った。


《infinite sword world》が鮮血を撒き散らしながら倒れていく地獄絵図だとしたら《虹の流星》は芸術だった。



七種類のエネルギーにあたった瞬間、ある魔獣は燃え去り、凍り粉々に砕け、それぞれのパーツが1ミリに満たないほどに切り刻まれる。

雷鳴にうたれたように全身を痙攣させながら地に伏せ、吹っ飛ばされ、貫かれ、消え去る。


七色の流星はまさに芸術だった。

現に後ろの兵士達はその光景に目を奪われている。


シルフィの前方約2000の魔獣は誰ひとりとして生き残ったものはいなかった。


シルフィの技《虹の流星》とは一体何なのか。


虹の魔女、七色の魔術師、虹姫。

彼女を表す言葉はたくさんある。

しかしどれもたった一つのことに対してである。


虹、七色。


つまりシルフィは全属性、火・水・風・土・かみなり・光・闇を全て使うことができるのだ。


しかしその程度であれば上位の魔術師であればできるであろう。


それだけならば、だ。


シルフィが魔帝として何千、何万、何億といる魔術師の頂点に君臨している最大の理由。


それは全属性の≪融合≫である。

≪融合≫、ユニゾンは魔力量、魔力コントロールの精度などはもちろんのことその属性を完璧に理解し使いこなせねばならない。

2種類の属性を≪融合≫できたらもう魔術師として優秀だ。


その中でシルフィは全7属性を≪融合≫することが可能な唯一の魔術師なのだ。


基本属性5種類の≪融合≫まではできるものも少なからずいる。


もちろんその全てがAランク以上の冒険者か国で幹部級の魔術師だ。


5と7にどれほどの違いがあるのか。

5つもできたならあと2つくらいできるだろうと皆考えているはずだ。


しかし忘れてはいけない。

≪融合≫はユニゾンする属性を全て同じ魔力量、同じスピード、で注がねばならない。


しかし光・闇という上級属性は基本属性と違い魔力量などに大きな差が出てしまうため基本属性とのユニゾンは不可能なのだ。


ならシルフィはどうしているのか。


  派生属性


基本属性の進化型であり上級属性と同等な属性。


つまり何を言いたいのかというと


7属性のユニゾンを成功させるには派生属性と上級属性を使う必要がある。


炎・氷・嵐・大地・いかずち・光・闇


この七つの≪融合≫が必要になる。


すなわち基本属性の5つ、同系列ではあるが派生属性の5つ、上級属性の2つを完璧にマスターし使いこなせるようにならなければならない。


全12属性


全てを使いこなすのは不可能だと言われていた。


誰にでも得手不得手があり得意な属性、苦手な属性がある。

なりよりもキャパシティが足りないのだ。


しかしその常識を打ち壊した人物がいた。


不可能と言われていた最終属性≪虹≫を扱う魔術師。


それがシルフィである。




「レイリーもライザーも終わったようですね。

ただそれぞれにお相手が出来てしまいましたか。

帝に単身で挑むなんてどれほどの強さなのでしょうね」


シルフィはしゃべりながらも着々と魔獣の軍勢との距離を縮めていく。


帝三人の力によりおよそ6000体の魔獣を倒したことになる。

しかし、総数と比べると微々たるものであることも否めない。

シルフィがもう一度《虹の流星》を放とうとしたその時、空を切り裂いてシルフィに熱線が襲い掛かる。


シルフィは多少驚いたものの冷静に《虹の盾》で防ぐ。


「どうやら私にもお相手ができてしまったようですね」


大きな翼と尾を持つそのSSランク魔獣は分類的には翼獣だが、その実こうも呼ばれている。


竜種、サラマンダーと。


サラマンダーが再び熱線を放つ。

それに伴いシルフィを右手をふるう。

するとそこから虹色の斬撃が生まれる。


「《虹の一刃》」



魔帝シルフィVS竜種サラマンダー




リシュテイン公国 王門


ついに最終防衛線でも戦闘が開始された。


公国の騎士王ライアンに千光エリア、レナ、ミーヤ、アリシア、ネル、ガジルといったかなりの戦力が集中している。


「第一射うてぇぇぇぇええええい」


ライアンの声とともに大魔法が放たれる。

それは瞬く間に魔獣の群れにえぐりこみ、複数の魔獣を仕留めることに成功する。


さらにライアンは≪爆流≫を用いながら猛進する。

次から次へと襲って来る魔獣を爆流の波動で跳ね返し、一瞬できた隙を的確に剣で切り伏せていく。


≪静流≫で巧みに敵の攻撃をいなし、甲殻獣などの固い魔獣は《兜割り》で落としていく。


エリアは可視の光、不可視の光、幻視の光全てを巧みに操りどんどん敵を屠っていく。


レナとミーヤ、ネルも次々と切り伏せ、ガジルは叩き潰す。


アリシアは2属性の≪融合≫を巧みに使い圧倒的な力で制圧していく。


完璧な優勢、こちらにも多少の負傷者はいるがそれでもあきらかに魔獣軍の方が数が少なくなっている。

誰もが浮足立っていた。


しかしそれも長くは続かない。


ちょうど魔獣を三分の一ぐらいまで減らした頃だった。



空を切り裂き漆黒の熱線がリシュテイン国軍に襲い掛かる。


しかしその絶対的な破壊力を持っているであろうその攻撃を前にしてもライアンは冷静だった。


「防御隊よーい!」


大魔法は攻撃だけに使うのではない。

防御の大魔法だってあるのだ。


瞬く間に巨大な壁が皆を囲む。


熱線がぶつかる。

壁は熱線を完全に防いでいた。


しかし


「壁が溶けてる!?」


突如ミーヤが悲鳴混じりの声で叫ぶ。


「………闇属性の空間侵食か」


ライアンが忌ま忌まししげに呟く。


「レナ、あとどれくらいもつんだ?」


エリアの言葉に


「確実には分かりませんがあと20秒といったところだとおもいます」


と、レナは答える。


「20秒か

そんだけあれば十分だな」


エリアはニヤリと笑う。


「まさかあれをやるつもりですか?」


レナは驚く。


「ああそうだ。

今使わないでいつ使うんだ?」


「た、たしかにその通りですけど………」


「まだ実戦で使えるか分からない、か?」


エリアはレナの言葉を上書きするように告げる。


「はい」


「やってみましょうよ〜

現時点では〜それしかあの光線を〜防ぐ方法はありませんし〜」


「私はいつでも行けるよ!」


アリシアとミーヤの言葉にレナはやれやれといったように首を振る。


「どうなってもしりませんよ」



レナ、エリア、アリシアは手を合わせる。


   ユニゾン

「「「≪融合≫」」」


そしてできたエネルギー体を



  ミーヤに向かって放つ。



エネルギー体がぶつかる寸前。


ビーストアウト

「≪獣化≫!!」


ミーヤは全身の毛がどんどん厚くなっていき、爪もするどくのびる。



そしてエネルギー体がミーヤに直撃する。




   ビーストユニゾン

「「「「≪獣化融合≫!!」」」」





次回

獣化融合とは!


リョウも登場するとおもいます。



では、

感想・評価・アドバイス・質問お待ちしております。



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