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エデン〜創造と破壊〜  作者: 近山 流
第1章 出会い
43/73

魔獣の軍勢−それぞれの戦い−

おそくなってすいません(汗



リョウは着地すると同時に破られた窓やその他侵入される恐れがあるところを土魔法で塞ぎ、コーティングする。


作業はすぐに終わり、ふぅっと息をつく。


そこでリョウは初めて気づいた。

異様な静けさに

なぜか息もしてはいけないような雰囲気が立ち込めている。


恐れと羨望、対立する二つの感情を同時に向けられリョウは理解する。


(いくらなんでもやりすぎちゃったか)


だがリョウはその空気を黙殺する。

ここでやるべきことはすべてやった。


「俺は仲間のもとへ向かいます。

この部屋の安全は保証するので安心してください。

もうここから逃げることはありません」


そう言ってリョウは扉へと歩き出す。

そこでようやく覚醒したエリアがついて来る。


「まったくお前というやつは、

どこまで規格外なんだ。

あんなのやっといてなにが逃がしたのはまかせるだ」


エリアはまくし立てる。

その剣幕にリョウはたじろぐ。

リョウもちょっとやりすぎたと思っていた手前なにもいいかえせない。


そのまま二人は会場からたちさっていった。



未だに誰もしゃべることができない。

ほとんどはリョウの力への恐怖、そして唖然。

ただその中にただ一人、黙ってはいるものの目に余裕の表情を浮かべた男がいた。

リシュテイン公国 国王 セルデラ・ド・リシュテイン。


厳格なことで知られる国王はただただ笑みを深めるだけだった。


それはリョウへの称賛か、はたまた新しい戦力として利用価値を見出だしたのか。



リシュテイン公国 王都



「はぁぁぁああああ」


ガジルはバトルアックスを振り下ろす。


だがその攻撃はいとも簡単に避けられてしまう。


ガジルはほかの冒険者達と共に義勇軍として魔獣を討伐している。


しかし一度も攻撃があたらない。

ガジルの戦術からして翼獣は天敵だといっても過言ではない。


バトルアックスは攻撃力は高いが動きは遅い。

よってスピードに秀で、さらに飛行能力による縦横無尽な回避が可能な敵とは相性が最悪である。


考えていると翼獣が急降下してくる。

翼獣は飛行能力を利用したヒット&アウェイ攻撃を得意とする。

だからこそガジルはカウンターを狙っているのだが、何分難しい。


「くそ、あたんねぇ」


ガジルが悪態をつくと、再び翼獣が降下してくる。

さらに視界の端に後方からもう一体の翼獣が接近してくるのが見える。

回避は到底間に合わない。

まずい、そう思った瞬間。



翼獣は真っ二つになっていた。



「おいおいガジルさんよ。

武闘大会本選出場者の名がなくぞ」


そう言っていたずらを成功させた子供のように笑ったのはネルだった。


「うるせぇ。

さっきのはちょっと油断しただけだ」


とは、言っているもののガジルの声は弾んでいた。


「油断してあれじゃざまーねーな」


「………これからが本番だ」


「そうかい、そうかい。

ならひとあばれと行きますか」


ネルが笑みを浮かべるとガジルもニヤリと笑う。


「そうだな。

背中は任せたぞ」


「はいよ。精一杯守ってやるから。

俺の背中も頼むよ」


「「精々暴れ回るとするか!」」



二人はお互い背を預け合い。


「《ウィンドカッター》」

「《ファイヤーボム》」


≪魔剣≫を発動させた。




リシュテイン公国 王城付近



「まさかこれほどとは」


そう呆れ混じりにつぶやいたのはレナ。

そしてその視線の先にはリズがいた。

さらに、レナの隣でリズを見ながら唖然としているミーヤとアリシア。


リズの正体が天狼だと知っていたレナでさえも想定外の強さ。

さすがリョウの隣に並ぶだけはある。


一体何が起こっているのか、話は少し遡る。



魔獣の襲撃に伴い王城にいるリョウとエリアに合流しようとしていたリズ、レナ、ミーヤ、アリシアの四人は恐ろしいスピードで町を走っていた。


周りには多くの翼獣がいるが、かまわずに走り抜ける。


しかし何事もうまくいかない方が多い。

すぐさまどこか組織だった動きで囲まれてしまう。

一転して戦闘態勢をとろうとするレナ達三人にリズが目で静止を促す。


「このまますすむのじゃ。

魔獣は相手にせんでよい」


リズの言葉にさすがに納得がいかないのかミーヤが口を開く。


「そんなことしたら全方位から襲われちゃうよ」


ミーヤの言葉にレナとアリシアは頷く。


流石にこの大群の中をただ突っ切るだなんて冒険がすぎる。


「流石に〜きついと思いますよ〜〜」


「無防備に通るには少々ハードルが高いと思います」


レナとアリシアの言葉にリズは首を傾げる。


「誰が無防備にただ走り抜けるだけなんていったんじゃ?」


「た、たしかにそんなことはいってませんでしたが、それでどうにかなるんですか?」


「ふふ、まぁ見ておれ」


そう笑いリズは歩き出す。

待ち構えていた獲物がようやくあらわれたからか翼獣は嬉々として襲ってくる。

しかし全ての魔獣がリズまであと少しというところで真っ二つに切り裂かれる。


「天狼流迎撃魔法《風の御子》」


敵意をもって向かってくる敵を無意識に察知し迎撃する魔法。


次々と無情にも切り裂かれていく翼獣。

リズはただ歩くだけ。


その光景を三人はただ唖然として見ていた。


リズが使っている魔法は膨大な魔力量という才能と、気配をはっきりと感知するという何度も修羅場をくぐっていなければ身につかないような力がなければ不可能な芸当であり、それを平然と使うあたりリズが尋常じゃない実力を持っていることが伺える。


三人はこれまでリズの戦闘を見たことがなかった(昇格試験の時はドームに入っていたためレナも見ていない)。

がリョウの隣に立っているあたりかなりの実力を持っているとは思っていたが


「まさかこれほどとは」


たった数十秒で何十という数の翼獣が全て真っ二つにされていた。


「すげーなぁやっぱり」


突然の声に驚いて声が聞こえた方向を見る。


声の主はリョウだった。


「待たせたな」


さらに後ろからエリアも現れる。


「リョウ、エリア!

無事だとは思ってたけどなんともなくてよかった」


ミーヤが安堵の息をつくが、


「安心するのはまだはやいぜ」


リョウはそういった。


大量の翼獣に囲まれていたのだ。


「さてどうすっか」


と言いながら出ていこうとするリョウを止める。


「まぁ下がっておれ」


四人が首を傾げる中再びリズが前に出る。


「久しぶりに暴れるかのう」


飛び回る翼獣の中央まで行き、右手を天高くあげる。


天狼流殲滅魔法サイクロンカノン


始めは右手から小さな竜巻が生まれただけだった。

しかしそれはどんどん肥大化していき、やがて全てを巻き込む大嵐となる。


あっという間だった。

大嵐に巻き込まれた生命が全て塵に変わったのを見届けて、リズは颯爽とリョウの元へと向かう。


「終わったぞ主殿」


「いつみてもすごいな」


というリョウの言葉にそうか、と嬉しそうに笑う。


その間、四人があまりにも人間離れした技術に目を点とさせていたことは言うまでもない。




「何はともあれ合流できましたね」


レナの言葉に難しい顔を浮かべるのはエリア。


「一番重要な問題はこのあとどうするかだ。

このまま町の中で翼獣を殲滅するか。

門から侵入してくる魔獣共から防衛すために門までいくか。

それとも、最前線まで行くか」


エリアの問い掛けにリョウは即答する。


「俺は最前線を目指しながらその途中の魔獣を全部殲滅していく」


「ちょっと〜待ってくださいね〜」


すると突然アリシアが会話を止める。


リョウが視線で話の続きを迫るとまぁまぁ焦らずに、といった調子でゆっくり話しはじめる。


「今回の進行は〜かなりへんなんですよね〜

まず………」




最前線



「何故翼獣が最初に攻めてきたんだ」


最前線の舞台でセルシオは考えていた。


どうにも今回の進行はおかしいのだ。

翼獣はこの付近には棲息しておらず(全くというわけではないが)、たった数体でも異常なことなのにそれが100体以上となればおかしいことこの上ない。

さらに時間差の進行。

今までは全ての魔獣がいっぺんに来ていた。

しかし、今回はそうではない。

最初から少なからずあった以上の疑問による疑心は、実際に戦ったことによりかなり信憑性を持っていた。


事実セルシオが言った負け戦は確定だという言葉は外れていた。


負傷者は大勢だが未だ死者は出ていない。


というのも、魔獣はただ前進し続けるだけでこちらを攻撃しようとしないのだ。

魔獣は本能で動くため防衛本能で攻撃してきてもいいはずだ。

だが、ひたすらに王都への進行を考えているようでどうにも作為的に思えてならない。


(だけど、だからといって攻撃の手を緩めるわけには行かない)


「一匹たりともここを通すな!」


セルシオは声を張り上げる。


より一層士気をあげた兵士達はさらに攻撃を激化させる。


誰しも疑わなかった。

自分達の勝利を


そう。この時までは



リシュテイン公国 郊外 カドマイヤ家


リシュテイン公国郊外にある貴族の邸宅。

カドマイヤ家は長年リシュテイン公国に仕えていることで知られていた。

その門前に二人の男が立っている。


「ここみたいだぞ、ダン」

「ああ、そのようだな」


「でも、ほんとにここに俺達の同胞がいるのか?」


ダンと呼ばれた男は銀色の髪を風で揺らしながら鋭い目を更に細める。


「ジン、フェイト様が言ったことだぞ。

それだけで信じるにたるものがあるだろう」


「そうだったな。

それにしてもフェイト様のおかげで国中が大混乱だ。

やりやすいったらありゃしね〜」


「ここの私兵はかなりの強さらしいぞ」


「ふっよく言うぜ。

俺の剣とお前の魔弾があれば余裕だろ」


「じゃあ行くぞ」


そう言ってダンは門を撃ち壊した。




数分後、カドマイヤ家の私兵総勢200人は皆殺しにされ、当主カーネル・カドマイヤも殉死した。






「あな……た……たちは…だれ?」


衰弱しきった少年は尋ねる。


すると銀髪の男はこう言った。


「俺達は君の同類。同胞。

王に仕える騎士と同じ。



神の子に仕える天使さ」






それぞれの戦い1、2で群青劇っぽいものに挑戦してみたのですがいかがでしたでしょうか。


初めての試みだったのでうまくいったかはわかりませんが、皆さんに納得いただけるようにかければいいなと思いながら書きました。


読みにくい、よくわからないというのがありましたらどしどし教えてください。

どんどん修正していくので。


次回

戦況が大きく変わります。

帝も登場するかも………



では、

感想・評価・アドバイス・質問お待ちしております。



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