4/73
脅威は去って
5話です
「………う……いき……て…る?」
そうだ、熊は!
慌てて周囲を見渡す。
しかし、周りには太陽の光を隠すほどに生い茂った木々以外なにもない。
そして彼は思い出した。
熊を殺したことを、自分の中に溢れ出した不思議な力のことを……
一体なんだったんだあれは?
最初に起きた、自分が想像していたものが実際に現れたこと
そして、彼が強く念じた瞬間熊が跡形もなく消滅したこと
まず最初に考えることは、最初に起こったことだ。
試しに強く念じてみる。
「火を」
瞬間ボッという音と共に、掌から火が出現した。
なるほど、念じることで、無から有を作り出す。
まるで神の力だな。
そう皮肉げに笑ってみる。
己の想像の範囲で、戦術が無限に広がる。
確かに凄い力だ。
だが、たった火を出すだけで体力をほとんど使ってしまうようだ。
改善の必要があるな。
これから楽しみだ。
彼はニヤリと笑う。そこには恐怖に震える男の姿はもうなかった。
旅立つのはもうちょっと先だと思います。
今回は読みやすいように一文一文間をあけてみたんですがどうでしたか?
感想お願いします。
次回はリョウの能力が少し分かります。