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エデン〜創造と破壊〜  作者: 近山 流
第1章 出会い
34/73

武闘大会−光VS闇−

−−−Side レナ−−−−


(つ、強い)


私は今心の底からそう思っていた。


立ち上がろうとするも体が地面に縫い付けられたように動かない。


まだ意識があるのが唯一の救いだろう。

意識があれば負けにはならないからだ。


腰まで届くかと思われる程の綺麗な金髪。そして雪のように真っ白な肌に、切れ長の釣り目。その表情はどことなく鋭さを持っている。

百人に問えば百人が美人と言うであろう美貌。

そしてその魅惑的なプロポーションはすれ違う相手を確実に振り返らせるだろう。


それが私を地に伏せさせている対戦相手。


エリア・デル・ライトリード


まさに戦場に咲く花のようだ。

女の私から見てもため息がでてしまう程の美しさ。

リズ、アリシア、ミーヤといいなんであの人の周りにはこんなにも綺麗な人達が集まるのだろう。

頭の中でいろんな思考が渦巻き、私はあの人のことを思い浮かべる。

私が盗賊に襲われていた所を助けてくれた少年。


あの人は本当に強い。

私が今まで見てきた人達の中でも1番強いだろう。さらに未だ私は彼の本気を見たことがない。


だからこそ私は彼をささえたいのだ。

彼に守ってもらうだけではなく、こちらからも守れるように。

昇格試験で魔獣に囲まれたとき、私は何もできなかった。

リズだけが彼の隣に立てた。

私は足手まといにすぎなかったのだと思う。


私は彼の力になりたい。

私では力及ばないかもしれない。

今だってエリアにかすり傷一つおわせられない。

こちらは既に満身創痍だというのに、だ。


遠距離攻撃は全てよくわからない内に打ち落とされてしまう。

気付けば放った炎弾は全て弾かれ。

いつの間にか攻撃を喰らっている。


見えない攻撃。


それがエリアの武器なのだろう。

そう思い接近戦を仕掛けるもまるで歯が立たない。

獣人族のミーヤのスピードについてこれたほどだ。

四帝に最も近い冒険者と言うのは伊達じゃない。


ただ、私とてこのまま負けるわけにはいかない。

決勝に進んでおそらく勝ち上がって来るだろうリョウと戦いたい。


だがそれは難しいだろう。

立つこともままならない状態。

たった数分でこの状態にまでされてしまった。

おそらく負けることになるのだろう。

だけど、ただで負けてやるつもりは毛頭ない。


私にはまだ奥の手がある。

これまで見せてこなかった暗殺魔法が。


せめて一矢報いよう。

リョウのためにもエリアの全力と言うのは見せておいたほうがいいだろう。


心の底から闘志が沸き起こり、さっきまで動けなかったのが嘘のように立ち上がり、地面をしっかりと踏み締める。


負け戦?そんなの知ったこっちゃない。


私は自分に葛を入れ、魔法を発動させる。


「祖は闇、全てを覆いつくす闇《闇夜》」


−−−Side Out−−−−



(空気が変わった?)


エリアは対戦相手の雰囲気が突然変わったことに驚いていた。


エリアは失望していたのだ。

目の前の少女がリョウと行動をともにしているというのを知っていたため、それなりに期待していたのだ。

しかしいざ戦ってみれば弱い、弱すぎる。

たった数分でこの様だ。

エリアは無傷で立っており、レナは傷だらけで倒れ伏している。


ただ、たった今レナの目の色が変わったことをエリアは見逃していなかった。


レナはゆっくりと立ち上がり、己の切り札を紡ぐ。


「祖は闇、全てを多いつくす闇《闇夜》!」


レナのホームグラウンドである闇の世界を作り上げるため、闇が全てを覆い隠そうとする。



−−−−しかし、それは叶わなかった。


レナの体から恐ろしいほどの明度の光が溢れ出しているのだ。

まるで光と闇の陣取り合戦のようだった。


「やはりあなたのは光属性の専用魔法、不視魔法でしたか」


「おまえは暗夜族だったのか」


エリアは口元を笑みで歪める。これまで一度も戦ったことのない相手、暗夜族。

闇属性を少しなりとも使えるものとは戦ったことはあるが、闇属性のスペシャリストとはまだない。

思わぬ遭遇に胸が高鳴り、心が躍る。


「ええ。そうです」


レナは毅然とした顔で答えた。


依然として光と闇がせめぎあっている。


最初に動いたのはレナだった。


「祖は闇、全てを飲み込む魔の奔流 《ダークバースト》」


レナの手から漆黒のレーザーが放たれる。


「祖は光、全てを包み込む聖の奔流 《フォトンバースト》」


そしてエリアの手からも真っ白なレーザーがレナへと向かう。


黒と白のレーザーがぶつかり合い、相殺しあう。


そして爆発が起こる。

エリアはすぐさま風の魔法で爆風で舞い上がり視界を妨げる塵を吹き飛ばす。


しかし、塵の向こうにはすでにレナの姿はなかった。


それを確認した瞬間、視界の端で何かが煌めくのを見た。

反射的に剣をふるう。

そして金属音、それは剣と剣がぶつかったという証拠だった。

直後エリアの左肩から鮮血が舞う。

どうやら受け止めたでも弾いたでもなく、直撃を避けただけだったらしい。


エリアはすぐさまバックステップで距離をとる。


そこにはやはりレナの姿があった。


暗殺魔法の真髄は完全に気配を殺すことにある。

ただそれにも弱点が存在する。

気配は消せても姿は消せないのだ。


そしてそのために闇夜による漆黒のフィールドが必要だ。


闇夜は視界が全くきかない世界のため、こっちが完全に優位に立つことができるのだ。

こうなってしまえば、リョウですらレナの姿を捕らえることは難しい。


リョウがレナに勝つことが出来たのは、レナが安堵により油断し気配を出したからだった。


しかし、この場合はそれが通用しない。

エリアが発する光によって闇夜が相殺されてしまうのだ。


気配は消せても姿は見えるんじゃ意味がない。

だから先ほどは爆発によって視界を悪くさせることによって姿を見えなくし、接近した。


よって純粋な力でエリアに劣るレナには追撃ができないのだ。


このことを知らなかったとはいえ、咄嗟に距離を離したのは称賛に値するだろう。


エリアは手を掲げる。

すると光の矢がレナへと襲い掛かる。

レナはそれを冷静に撃ち落とす。


エリアは内心舌打ちしていた。


エリアがこれまで使ってきたのは光属性の専用魔法である不視魔法、その名の通り、見えない魔法だ。


ミーヤが敗れた原因になった槍もエリアの不視魔法インビジブルランスだった。


不視魔法は本来最強といっても過言ではない。

何せ見えないのだ。避けようがない。


しかし、いつも最強というわけではない。


夜、暗闇になってしまえば不視魔法は可視魔法になってしまうのだ。


そして今、レナの闇夜によって闇が支配しつつある。


不視魔法の最大の強みであり、アイデンティティーである『見えない』が効力を発揮しないのだ。



まさに、光と闇、正反対のもの、互いが相性抜群であり相性最悪でもあるのだ。


「祖は闇、闇の刃 《ダークカッター》」


「祖は光、光の刃 《フォトンカッター》」


両者がぶつかり相殺しあう。まったくの互角だった。

しかし、互角では勝敗がつかない。

そうやって何度目かの攻撃が相殺しあったとき、ついにレナが動いた。

レナに向かって疾走したのだ。

体から光を発し、レナを覆う闇の霧を打ち消しながら疾駆する。

レナは焦った。格闘で勝てる確率は極めて低い。

だが、レナはあえてそれに受けて立った。

それはこのまま同じようなことを永遠とつづけたところで、既にかなり消耗しているレナには勝ち目がないからだ。

だが一番の理由は、自分の全力がどこまで行けるのかを知りたかったのだ。


レナは笑みを浮かべる。


「≪纏い≫ダークオーバースラッシュ」


レナの手の中にあるロングソード、レナの愛刀が漆黒に染まる。


一方、エリアも戦いに終止符を打つため≪纏い≫を発動させる。


「《フォトンエッジ》」


ふたりの距離はゼロになり、剣が、両者の魂がぶつかり合う。

光と闇相反する二つの衝突に歓喜するように地が揺れる。



そして決着はついた。

レナの剣が遠くに弾き飛ばされる。

それを合図にでもしたようにレナは倒れる。


エリアは若干疲労の感は抜けないが依然として凛とした様子で闘技場に立っていた。


多くの観客から歓声が上がった。

最初はエリアの圧勝かと思われたが、レナが闇属性を使い、闇対光という、めったに見ることのできない戦いを見ることができたのだ。歓喜しないわけがない。


勝者はエリアになったが、エリアと同じくらいの称賛の声がレナにもかかっていた。




決勝進出を決めたのはエリアだった。

リョウの予感は的中していた。

レナに勝ってもらいたかったのはもちろんのことだが、やはりエリアとレナにはかなりの力量差が生じていた。

暗殺魔法を使ったとはいえ、あそこまで互角に運んだのは結果はどうであれ、称賛に値する。

それがリョウの見解だった。


しかし、今のリョウにはレナの元へと行き、労えるほどの時間的猶予はない。


すぐに次の試合が始まるのだ。

次の対戦相手はあの仮面の男。

全てが謎に包まれた男。

しかし、どこか通じるものがあるように感じられるやつ。


「戦えば分かることだよな」


リョウは誰ともなしにそう呟き、闘技場へと足を運ぶ。


仮面の男は既に闘技場内で待ち構えていた。


「お前はなにもんだ?」


リョウはゆっくりとそう尋ねる。

なぜだか尋ねなければならない気がしたのだ。


「僕の事はフェイトと呼んでくれると嬉しい。

で、何者か〜〜」


始めて仮面の男が口を開いた。


リョウは質問の答えが返ってくることに内心驚くが、仮面から目を逸らさない。


悩んでいるように手を組んでいるその姿。そしていまだ幼さが残る声からして、仮面の男はもしかしたら自分とさほど年齢が変わらないのかもしれないとリョウは思っていた。


すると仮面の男は何か思いついたような仕草をした。


そして口を開く。



「強いて言えば…………君の同類かな」




遅くなってしまってすいませんm(__)m


え?待ってない?

そんなこと言わずに(汗


ついに仮面の男の名前が分かりました。

まぁもちろん本名じゃないですけど・・

本名はおいおいということで



次回

ついにリョウVSフェイトです。

武闘大会編も残すところ後二話です。

がんばりますのでどうぞご期待下さい。



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