開花
今回はかなり頑張った。
彼の目の前には、熊に攻撃される直前まで頭に思い浮かべていた太刀が出現していた。
彼は一瞬驚いたものの、目の前の敵を倒すという本能が、理性を吹き飛ばした。
振りかぶられた熊の腕を太刀で切り上げる。
熊の腕からは決して少なくない量の血が流れているが、気にしている様子はない。
しかし、突然の獲物の反撃により、熊の動きが一瞬とまった。
リョウは立ち上がり、己の限界を超える速さで切りつける。
その太刀筋は決して良いものではなかった。
小学生が行うチャンバラのように、型なんてものは全くない。
ただ、チャンバラと決定的に違うことがある…それは、純粋な殺意、己の命を脅かすものを排除しようとする明確な殺意だ。
しかし、致命傷を与えることはできず、熊は体制を立て直してしまった。
所詮は非力な人間だ。熊に腕力で叶うはずもない。
たった一撃で太刀は吹き飛ばされ、リョウも弾き飛ばされた。
「ぐはぁ」
5メートルほど吹っ飛ばされ、口から空気と一緒に血が吐き出された。
ここで死ぬのか?
こんな訳の分からない場所で、誰にも知られずに?
そんなの嫌だ。
まだ俺は死にたくない。
やりたい事がいっぱいあるんだ。
彼の思考はそこまでいったところで急激に冷やされていった。
彼の中に眠っていたあふれださんばかりの膨大な力がついに発動した。
その力は彼の中から溢れだし、周囲にも影響を与えている。
彼を中心に風が吹き出されている。
熊は野生の本能で危険を察知した。
だが、もう遅い………
彼は目の前の脅威に向けて短く言い放つ。
「死ね」
その瞬間脅威は跡形もなく砕けちり消滅した。
そして彼は意識を失った。
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