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エデン〜創造と破壊〜  作者: 近山 流
第1章 出会い
25/73

武闘大会−1、2回戦−



『これより武闘大会予選をはじめます。出場者の方々は各ブロックの集合場所に移動してください』


そのアナウンスが聞こえた瞬間レナは気を引き締めた。


しかし、リョウは相変わらずぼんやりとしているだけだった。


そしてリョウは口にする。


「ここで一旦お別れだな」


「そうですね」


「二人とも頑張るんじゃぞ」


「はい!」


「パパッと終わらせて来るよ」


「はは、頼もしいのう」


「じゃ、行ってくる」


「行ってきます」


リョウとレナはそれぞれのグループの元へと行った。




「1グループ16人てところか……」


リョウが所属するCグループにはリョウを含め16人の出場者がいた。


いろんな人がいる中で、一人、猫耳と尻尾をつけている女性がいた。


リョウは最初はなんかのコスプレかと思ったが、すぐにあれが獣人族なのだと気づく。


つけているではなく、ついているだったのだ。


そしてその中にはもちろんガジルの姿もあった。


「おう、リョウじゃねーか」


「おっす、ガジル」


「見たか?予選のトーナメント表」


「そういえばまだだった………」


「おいおい、しっかりしろよ」


「ごめんごめん」


「順調に行けば、俺とあたんのは予選準決勝だ」


「そっか、じゃあどっちかは本選にいけないってことだな」


「俺は楽しみだぜ、リョウ

なんだかんだで実際にお前が戦ってるの、見たことなかったからな

どれ程のものか……」


「ああ、俺もガジルと戦ってみたかったぞ」


「へへ、嬉しいこと言ってくれるじゃねーな」


ガジルは鼻をかきながら言った。


「それまで負けんなよ」


「あんたもな」


リョウとガジルの二人は拳を合わせる。




『それでは予選一回戦の出場者の方はお集まり下さい』


「時間みたいだな」


「ああ、じゃあなまた準決勝で」


「おう」




予選一回戦


「お前が俺の相手か?

なんか弱っちそうだな」


リョウの対戦相手である大柄の男はリョウを見るなりそう言った。


「………」


リョウは俯いて何も答えない。


それを恐怖していると思った男は口元を歪め、尚も言う。


「おいおい。ビビっちまったのか?

サレンダーするなら今のうちだぜ。

誰も責めねーよ、相手が悪かったんだ。

なんせ、この俺様、大斧のダンとあたっちまったんだからな!」


と言って、ダンと言う男はゲラゲラと下品に笑う。


しかし、ダンは気づいていなかった。


目の前の非力そうな少年は恐怖のあまり俯いていたのではなかった。


少年は笑みを浮かべていたのだ。


そして、ついに少年、リョウは口を開く。


「大斧の、ね〜〜

いいよ。そこまで言うならかかってきなよ」


「なんだとこのくそがきが!」


ダンは背中から大きなバトルアックスを抜き、リョウに向かって切り掛かる。


しかし、それはリョウにしてみればなんとも遅い、あくびがでるほどの速度だった。


リョウはダンに対して苛立ちと喜びという、反する二つの感情を持っていた。


リョウはこと手のタイプが嫌いなのだ、実力はないのに常に自分が一番だと思い、他人を見下すやつが。


それに対する苛立ち、そして、このような潰しがいがあるやつは初めてだという喜びだった。


リョウはダンの斧を次々と避ける。


「くそ、この野郎、なんであたらねーんだ!」



ダンは苛立ちのこもった目でリョウを見る。


「なんだ大口を叩くと思ったらこの程度か。

次はこっちから行くよ」


そう言って、リョウは大きく後ろに下がる。


馬鹿にされ怒りで我を忘れたダンはそれを追撃しようとリョウに向かう…………


しかし、すでにダンの視界にリョウは映っていなかった。


リョウの姿はダンの懐にあった。


ダンの顔が驚きで覆われた瞬間、リョウのボディーブローがダンの腹をえぐった。


「…………!!」


ダンは声を発することなく地に伏した。


リョウはあれだけ豪語していたからにはこれくらいは絶えられるだろうと思っていたのに、強化すらしていない一発で倒れ伏した対戦相手に拍子抜けしてしまう。


なんだ、とリョウが呟いたところで、一回戦終了のアナウンスが流れた。


リョウVSダン


勝者、リョウ



余談だが、予選の一回戦と二回戦は連続で行われる。


間髪入れずに第二試合が開始されるのだ。


いかに第一試合で力を温存しておくかも大きな分かれ目となる。


リョウの対戦相手はさっきのよいな大柄なのと違い、今度は長身で細身の男だった。


手にはレイピアが握られている。


「私は、ニケと申します。よろしくお願いします」

対戦相手のあまりにも丁寧な挨拶に思わず低姿勢になるリョウ。


これが日本人の性なのか………


「いえいえ、俺はリョウです。こちらこそよろしくお願いします」


『第二試合、開始』


そのアナウンスが響いた瞬間、いっきにニケが距離を詰める。


イメージと合わない積極的な攻めに、油断していたリョウは一瞬面食らうも、すぐに立て直す。


常人であれば対処は難しかっただろう。


おそらく一回戦も似たような手で勝ち上がったのだろう。


しかし、リョウの反応速度は剣獣の森での数多い死闘によって数段上がっている。


よって、ニケが繰り出したレイピアでの三連続の突きを、体制を崩した状態で全てかわすことなど造作もないことだった。


「嘘だろ!?」


ニケが驚愕の声をだす。


必殺の三連撃がかわされたのだから当然の言葉だろう。


そしてそれによってニケに大きなスキができた。


リョウはニケの手を思いっきり掴み捻る。


ぐあっという声と共にレイピアが手から落ちる。


落ちたレイピアを遠くに蹴飛ばし、ナイフを首筋にあてる。


「どうします?」


リョウは聞く。


「どうするって………

武器がないからどうしようもないって、ああそういうことか。

まさかこんなにすぐ負けるなんてね」


そう言い、ニケは悔しそな声で言う。


「サレンダー」


その瞬間Cブロック第二回戦の勝敗は決した。


リョウVSニケ


勝者、リョウ


第二回戦はなんと1分もかからずに終了した。




「おーい、リズ、終わったぞ」


「主殿か、やはり早いのう」


リョウは二回戦が終了してからの約1時間の休憩にリズの元へと来ていた。


「まぁね。

それより他の奴らは?」


「レナは二回戦目の最中じゃな。

でももうそろそろ終わるじゃろ」


「ネル達は?」


「一回戦は突破してたから、もうすぐじゃと思うが、詳しくは知らん」


「前から聞こうと思ってたんだけど、リズってネル達には興味ないの」


「我が興味を持ったのは、後にも先にも主殿だけじゃ」


「……。」


リズのあまりにもストレートな言葉にリョウは目を泳がせる。


どう対応すればいいか分からないのだ。


リズが時々こういうのをぶちかましてくるのが、最近のリョウの悩みの種だ。


正解を探すことはリョウにとって、剣獣を素手で討伐するより難しい。


結果、リョウが出した答えは……………



「そういえば、なんでリズは出なかったんだ?」


無かったことにする、だった。


リズはニヤリと笑い、追撃しようかどうか迷ったが、結局することはなかった。


「我が出たらゲームバランスが崩壊するからの」


リズが話を流してくれたことに、内心ホッとする。


「確かにそうだな。

天狼と戦って勝てる奴なんているのかな」


「少なくとも一人いるぞ。我の目の前に」


「まぁね」


と、リョウはドヤ顔をする。


しかしリズの凍てつくような視線に、ごめんなさい。調子に乗りました、と思わず謝ってしまう。


確かに、力的にはリョウの方がリズより強い。


リョウとリズが戦ったら勝つのは間違いなくリョウだろう。


しかし、このような状況に陥った時、リョウはリズに勝ったことがない。


リズの切れ長な目と涼しげな表情と合わさって、その視線は本当に人を殺せるのではないかと思うほど、鋭利な刃物と化すのだ。


リョウはそれに逆らうことができない。

本能が逆らうことを拒否しているのだ。


よって、地位的には、主と言われているリョウの方が高いと思いきや、実はリズの方が高いのだ。


リョウもリズも何も喋らず緊迫した空気が辺りに漂ってきた頃


なんともタイミング良く救いの手が、否、救いの女神が舞い降りた。


「なにかあったんですか?」


そう。レナだった。


リョウ心の中でレナ、ナイス!!と絶叫していた。


「勝ちました!

この勢いで準決勝も勝ってきます!!」


レナの登場で、再び辺りに明るい雰囲気が戻る。


「おう。それはよかったのう」


次もがんばるんじゃぞ」


そう言ってリズはレナの頭を撫でる。


レナは嬉しそうに、


「はい!!」


答える。


リズとレナの関係はいつの間にか姉妹のようになっていた。


姉がリズで、妹はレナだ。


ここで、リョウは疑問を感じた。


「あれ、リズって俺以外興味ないんじゃなかったの?」


「さっきそう言ったじゃろ」


リズはレナの黒髪を撫でながら言う。


「じゃあ、なんでレナとそんな仲良くなったの?」


リョウ自身も少し失礼な質問かなと思ったが、リズはたいして気にしていないようだった。


「可愛いものを愛でているだけじゃ」


それって興味もってるってことじゃないの?


と、尋ねたかったが怖いので実際には聞かない。


リョウがリズとレナのじゃれあいを温かい目で見ていると、アナウンスがなった。



『予選準決勝に出場する方は集合してください』


「あ、もう時間か」


「そのようですね」


「じゃ、リズ、行ってくる」


「リズさん、行ってきます」


「うむ。行ってこい」





今回からついに試合に入れました。


ここらへんからどんどん物語を加速させていくつもりです。


次回

予選準決勝

VSガジルです。


もしかしたら決勝戦までいくかも………



では、

感想・評価・アドバイス・質問お待ちしております。

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