表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エデン〜創造と破壊〜  作者: 近山 流
第1章 出会い
23/73

武闘大会 −大会前日−

武闘大会編スタート



「ついに明日か〜〜」


「ふふ、楽しみじゃの〜」


「そうですね。私も頑張らないと」



三人が何のことを言っているのかというと、ついに明日に迫った武闘大会だ。



コンコン


突然ドアが叩かれた。


誰かと思い、ドアを開けてみると、そこには宿屋の女将が立っていた。


「どうしたんですか?」


「エンドウさん宛てにお手紙が来ているのですが」


「あ、はい。

ありがとうございます」


そう言って手紙を受け取る。


「この世界にも手紙はあるんだな〜」


と、言いながら手紙を開ける。



手紙は武闘大会についてのものだった。


ルールと予選でどのブロックに属するかが書かれていた。


ここで今回の武闘大会のルールを説明しておく。


試合は予選と本選に分けられる。


本選にはブロックごとに分けられた予選で決勝戦まで勝ち残った二人が出場できる。


本選は、一回戦、二回戦、準々決勝、準決勝、決勝と進んで行き、優勝したものが賞金と四帝への挑戦券が与えられる。


戦闘は武器及び魔法なんでもあり。


勝利条件は相手を戦闘不能状態(気絶状態など)にすること。



リョウが一通り読み終えたところでレナが尋ねる。


「リョウさんは何ブロックですか?」


「Cブロックだったよ」


「そうですか。。

私はDなので当たるとしたら本選ですね」


「そうだね」


「私、絶対勝ち上がってあの時のリベンジしますから」


「まぁ期待しないで待ってるよ」


「く、今にほえ面かかせてやりますよ」


「そう簡単には行かせないよ〜」


と言って二人でげらげら笑う。


「では、そろそろ行ったほうが良いのではないか?」


「うん。そうだね。

ネル達との待ち合わせまであと1時間もあるけど

早めに行った方がいっか」


リョウ達三人はネル・ゼス・マルタ・ガジルの7人で闘技場の下見をする予定だった。


待ち合わせ場所である闘技場までは宿から歩いて30分位だ。


今からでれば余裕で着くが、早く出ておいて損なことはない。


「じゃあ仕度して3分後にでるか」


「はい。分かりました」


「うむ。了解じゃ」




そして、今リョウ達は宿をでて闘技場に向かっていた。


リョウはキョロキョロしながら呟く。


「それにしてもこの国に来てもう二ヶ月たつんだよな」


「なんじゃ?そんなしみじみと」


「だってさ、こっち来て森で一年も過ごしてさ。

森を出ていろんなやつに出会って、仲間になって、友達になって。

森での一年に比べたら全然だけどさ、この短期間にもいろんなことがあったなって思って」


「なんじゃ?

死亡フラグかの?」


「リズ、なんでそんな言葉知ってるんだ」


「主殿がよく言っていたではないか。

魔獣に囲まれた時とか」


「そうだったっけか?」


「死亡フラグってどういう意味なんですか?」


「う〜ん。

何て言ったらいいかな。

死ぬ前兆みたいなやつかな」


「え!?リョウさん死んじゃうんですか!」


「いや。違う違う。そういうことじゃなくてね。

俺の国のことわざ?例え?いや、なんか違う。っていうか全然違う?

もういいや。ことわざとか例えみたいなやつ」


「こと…わざ…ですか。」


「投げたの」


「うるせぇ!」


リズのあまりにも的を射た的確なツッコミにリョウは小声で反発する。


「ん?」


そこでリョウは気づいた。


なんだか先の方が騒がしくなっていることに。


「どうしたんだろ」


「見に行ってみますか?」


「そうじゃな」


野次馬根性を発揮した三人は騒がしさの中心へと歩いて行った。



簡潔に言うと、喧嘩だった。


話を聞くところによると明日の武闘大会のことで口論をしていた冒険者達が、決闘だーなどと言い始めて、決闘という名の喧嘩を始めたらしい。


喧嘩をしている冒険者の数は全部で6人。


巻き込まれ体質であるリョウには喧嘩に対していい思い出はなかった。


主に千光とか千光とか千光とか…………


かかわらないと決めて立ち去ろうとしたリョウの耳に


「おやめなさい!!」


と言う凛とした声が響いた。


なんだと思い、声の主を見てみると、それは女性だった。


その聖女と言ってもいいような優しい顔の中に明確な意志を持っているように見える美女だった。


背後にいる重装備の騎士二人も相まって、なんだかどっかの王女のような風情だった。


「セ、セフィーリア様!?」


「王女様!?」


「え、セフィーリア様だって!?

おい、どけ!見えないだろ!」


「うるせぇ!だまってろ!」


「なんだとてめぇ……」


一度静まり返った場が再び騒がしくなりはじめた時、再び凛とした声が響いた。


「静まりなさい!!」


この混沌としている場をたった一声で沈ませるとは大したものだ。


リョウは感心していると、突然何者かの殺気を感じた。


リョウは驚き殺気の主を探す。


殺気はリョウに向けてではなかった。


殺気を向けられているのはリョウを越えて真っ直ぐ。


そこには先ほどの女性セフィーリアがいた。


リョウは≪破壊≫で目と耳の生命エネルギーを活性させ、視覚と聴覚を最大まで高める。


すると、耳にプシュッという渇いた音が届いた。


その音には聞き覚えがあった。


(サプレッサー!?)


この世界に銃は存在しない。


いや、もしかしたらリョウが知らないだけであるのかもしれない。


だが、今大事な事は銃が使われたということだ。


リョウは条件反射で《加速》を発動する。


それが一瞬、そう一瞬でも遅れていたら、最悪の事態に陥っていただろう。


リョウは加速でセフィーリアの前に立ち、ナイフで銃弾らしきものを受け止める。


銃弾は予想以上に速く、本当にぎりぎりだった。


受け止めるのと同時に、リョウは直ぐさま発動する。


 クリアボヤンス

「《千里眼》」


それは視力の最大強化。

透視と千里眼を合わせたもの。


見ると、およそ2000メートル先にこちらにスナイパーライフルらしきものを向けているやつがいた。


だが立ち去る気配は見せない。


(スナイパーって基本すぐに逃げるもんじゃないのか!)


リョウが思っていると、いきなりスナイパーの男はライフルをかつぎなおした。


まさか!


リョウがそう思った瞬間、ライフルが連続で火を吹いた。


「ふせろぉおお!!」


リョウは叫ぶが、突然の事態に平静を失っている、冒険者達には対処が間に合わない。


しかし、よっぽどの腕なのか、弾の軌道は全てセフィーリアへと向かっている。


弾は全部で10発。

リョウはそれをナイフで次々と弾く。


今の眼ならばそれくらいの芸当は余裕だった。


「リズ!この場を頼む」


「了解じゃ」


「レナ!この人をお願い」


「はい!」



「待ってろよ。何者か暴いてやる」


リョウは爆風をあげながら一気に加速する。


2000の距離を30秒で走破する。


「なに!?」


男は驚愕の声をあげる。


リョウは一足で男の懐へと潜り、手を強打する。


ぐっ、という声と共に男はライフルのような物を離す。


そして男を気絶させようと腕を振るう。


しかし、男はバックステップでかわす。


「く、とんだ邪魔が入ったな」


男は懐から二丁の拳銃(に酷似しているもの)を取り出す。


そしてニヤリと笑い、銃を連射する。


弾はかなり速い。

千里眼を発動しているリョウでも辛うじて避けられるほどだ。


《鑑定》を発動して、男の武器を調べる。


結果次のことが分かった。


まず、男がもつ二つの武器は銃ではない。


銃というよりかは弓の派生系のようなものだった。


鏃のような物を火の魔法で打ち出す構造になっているらしい。


そして、それには加速魔法がかけられているようだ。


リョウはだんだん速さにも慣れてきて、次々とかわせるようになってきた。


すると、男はだんだん苦い顔になってきた。


「く、歩が悪いか……

これ以上やるとあの人に怒られちまうな。

しょうがねー引くか」


「そう簡単に引かせると思うか!」


リョウは怒鳴る。


しかし、男は飄々とした声で


「いや、さよならだ」


と言って男は消えた。


「き、消えた!?

クリアボヤンス

《千里眼》」


千里眼を発動するが、リョウの目には何も写らなかった……





リョウは男に逃げられた後、再び急いでリズ達の元に戻る。


「ごめん。逃がした」


「主殿が逃がすなんて相当のてだれじゃの」


「ああ。

レナ、その人は?」


「大丈夫そうです。

っていうかその人って…………」


「うん?どうしたの?」


「え!リョウさんホントに知らないんですか!?」


「知らないって何が?」


レナの後ろにいる女性は一瞬呆気に取られた顔をしていたが、すぐに平静さを取り戻したらしい。


「すみません。

申し遅れました。

私はセフィーリア・ド・リシュテイン。

リシュテイン公国第一王女です」


「え!?」


と驚きレナにマジで?と恐る恐る聞く。


レナはマジですと言わんばかりに頷く。


「すいませんでした!

まさか王女様だとは思わなかったので」


リョウは土下座するかの勢いで謝った。



「いえ。

それよりも先程は助けていただいてありがとうございました」


「はい。

そういえば何故王女様がこんな街中を?」


「明日から始まる武闘大会の下見もかねてみにきたのです。

私明日あそこで開催のスピーチをするんですよ」


と、闘技場を指差しながら嬉しそうに言う。


そんな王女を尻目に、セフィーリアの傍らにいた二人の騎士は可哀相なくらいテンパっていて、リョウがあれこれ説明するのを追い詰められたような目で聞いていた。


それはそうだろう。

自分達が見ている真ん前で王女が殺されそうになったのだ。


しかし、リョウは思う。

この騎士達に対処できるレベルを遥かに越えていたと。


弾丸の速度と精密射撃から見て、かなりのレベルだろう。


リョウは男がいた方向を見遣り呟く。



「一体何者なんだ」




−−−−−−−−−−−



「すいませんでした。

−−様、勝手な真似をしてしまって」


「今回は許すけど、次やったら怒るよ」


「でも奴らは貴方の事を」


「それとこれとは話が別だよ。

まだ時は満ちていない。

満ちるまで待っていて」


「はい。わかりました。

全ては−−様のために

では失礼します」


「うん。じゃあね〜


ふふ、ついに武闘大会か

明日から楽しみだな〜」





ついに王女様が出て来ました。


なんとしても武闘大会の前に出したかったのでこのような形になりました。


この回から第三部に突入します。



次回

武闘大会開催式とか、今回の話の事後報告やらをやりたいと思います。


王女との絡みも多分あると思うので


大会開始は次の次になるので、もう少し我慢お願いします。



では、

感想・評価・アドバイス・質問お待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ