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エデン〜創造と破壊〜  作者: 近山 流
第1章 出会い
21/73

千光



「うーん………

どうしてこうなった……」

今リョウは喫茶店で喧嘩に絶賛巻き込まれ中だった。




時は数時間前に遡る。



リョウが目を覚ますと、そこは自分の部屋だった。


ちなみに宿は初めに泊まったところから変えていない。


その宿屋を経営している夫婦とも結構仲良くなっていた。


リョウの目覚めは決して良くなかった。


何といっても頭痛がすごい。

さらに昨日の記憶が少し抜けていることに気づいた。


リョウは昨日の記憶を必死に思い出す。


たしか、ネルに四帝の話をしてもらったところでゼスが目を覚まし、再び絡んできた。


しかも、最初と比べ格段にだるい。


背中を叩きまくるのが序の口と思えるほどだ。


そして、いつの間にか酒の匂いにやられ、頭がボーッとしてしまった、というところまではリョウも覚えていた。


しかし、その後のことが全く思い出せない。


「うーん

なんか取り返しのつかないことをしたような気がするんだけど気のせいかな……」


しきりに首を傾げるリョウの元に、ドアをおもいっきり蹴り開けリズとレナがやってきた。


「おーい主殿〜起きてるか〜〜」


「リョウさんおはようございます」


リズはぞんざいな言い方で、一方レナは丁寧に。


未だ本調子ではないリョウには適確な対応ができなかった。


「え?お、あ?」


「ぷふっ

なんじゃその顔は?」


リズは声を上げて笑い、レナもクスクスと笑っている。


数分後ようやく頭痛から解放されたリョウは、改めて昨日ネルから聞いた武闘大会について考えていた。


賞金はもちろん欲しい。

四帝とも戦ってみたい。


だが、目立つのはさけたい、というのがリョウの今の考えだった。


そして何より自分の力が知られる危険がある。


目立ってもろくなことがない。

武闘大会と言うからにはいろんなお偉いさんが来るのだろう。


基本めんどくさい事が嫌いなリョウは目をつけられる事態を避けたかった。


それに自らの能力が露呈した時に、言い訳を考えるのも大変だ。



リョウの思考が出ない側に傾きつつあったとき、リズが何かを察したように聞いた。


「なにか考え事かの?」


「あーうん。まぁそうだよ。

武闘大会に出るかどうか迷っててさ」


「武闘大会?

それは良かった。

もう書類は提出したから、エントリーは終了したぞ」


「……………は?

ええぇぇぇ!!

何それ!?どゆこと??」

訳が分からず、目が点になるリョウ。


「どういう事っていわれてもの〜

主殿は武闘大会に出場するということじゃ。

応援しておるぞ」


「あ、うん、ありがとう。

ってそうじゃなくて、一体どうやって!?」


「だから我が出しておいたんじゃぞ」


「何そのドヤ顔!

ぜんぜんドヤれてないから!

だって本人が承諾の言葉を書かないとダメなんじゃないの。

本人以外が書けないようになってるし。

俺書いた覚えないし!」


「何をいっとるんじゃ。

昨日書いたじゃないか。自分から」


そこでリョウは昨日の事を鮮明に思い出した。


確か、リズに紙を渡されていろいろと言われ、頭がボーッとしていたこともあり、ただ言われるがままに書いてしまったのだ。


まさかあれが………!!


そしてリョウはシャウトする。


「謀ったなぁぁぁああ!!」


「まぁいいじゃないか。

迷ってたんじゃからの」


「いいや。全然良くない!

自分から出んのと無理矢理出されるのには気持ち的に天と地の差がある!」


「我は主殿のかっこいい姿がみたいのじゃ」


「本音は?」


「おもしろそうじゃから」


「……………くっそぉぉぉおおおお


そ、そうだレナ。レナは?レナなら止めてくれるはず」


そう言って希望の眼差しをレナに向ける。


しかし………


「いいじゃないですか。

それに私も出ますし。

リョウさんのかっこいい姿を見たいんですよ」


「……………本音は?」


「もちろん、おもしろそうだからです。」


レナはニッコリと、本当にニッコリという言葉が似合う満面の笑みで言ってきた。


「お前もかぁぁぁぁああああ!」


リョウの今の気持ちはさながらブルータスに裏切られたカエサルだった。



思わぬ伏兵にショックを隠せない。


人間自分がやろうと思っていたことでも、押し付けられると途端にやりたくなくなるものだ。


「今ならまだ間に合う。

登録消せるかも」


「無駄な足掻きじゃな」


「無駄な足掻きですね」


「うるせぇ!

やってみなきゃわからんだろうが!」


そう言ってダッシュで出場者登録をしているギルドへ向かう。



だがしかし、ここにも伏兵がいた。

というかリョウの味方はいなかった。


「すいません!

大会出場の登録解除して欲しいんですが」


「はい。登録解除ですね。

ちょっと待ってください。長に確認してみます」


「お願いします」


ギルドの受付の女性、ルアは親切なことにギルド長ルドルフに確認を取りにいってくれた。


ちょっと黒い笑みを浮かべていたのが気になったが………


待つこと1分後、ルアとルドルフがやってきた。


口元にニヤニヤと笑みを浮かべながら……


「な、なんですか?」


「すまんな。登録解除はできない」


「え!なんでですか?」


「リズ君が提出してくれた用紙にこう書いてあった………」


嫌な予感がしつつリョウは聞く。


「な、なんと………」


「『この登録は後から解除することはできない』と」


「あいつらぁ………確実に計画的犯行だろ


でも、そこをなんとか」


「いいじゃないか、別に」


「そうですよ。リョウさんのかっこいい姿も見たいですし」


(あれ?デジャヴュ?

どっかで聞いたような台詞……まさか!!)


「あの〜〜つかぬ事をお聞きしますが」


「なんじゃ?」


「なんですか?」


「…………本音…は?」


そしてルドルフとルアは笑顔で、


「おもしろいからじゃ」


「おもしろそうだからにきまってるじゃないですか」


と、のたまった。



(こいつらもグルかぁぁぁぁぁああああああ!!!)


叫びはなんとか心の中に留める。


「……わか…りまし…た」

なんとか声を絞りだし、

もう嫌だ、と泣きそうな声でつぶやきギルドの扉を走り出る。


そして、近くのカフェに突っ込み、この先どうするかについて考える。


まず、出ることは免れないだろう。


しかし、あそこまでやられた以上ただ出るのは気が引ける。


「どうするか………」


リョウがそう呟いたところで事件が起きた。


簡潔に言うと喧嘩に巻き込まれた。




「うーん。

どうしてこうなった…」


そこには女性と男三人が言い合いをしていた。


リョウをはさんで………


女は金髪に吊り目、全体的に鋭利な顔立ちをしているかなりの美女だった。


そして純白の鎧に身をつつんでいる。


一方男達はいかにもチンピラという感じだ。


「貴様らごときが私にふれていいとでも思っているのか?」


「へっ何言ってんだ。

やるってんのか?

女一人が男三人に勝てるとでも思ってんの?」


「そうだぜww。今なら土下座すれば許してやる」


「土下座じゃだけじゃすまねーよww」


そう男の一人が言うと、残りの二人がゲハハハと下卑た笑い声をあげる。


「貴様ら、誰に言ってるのかわかってるのか?

貴様らごとき一瞬で殺せるんだぞ」


そう言って挑発的な笑みを浮かべる。


雲行きが危しくなってきた……


そうリョウが思った所で事態が悪化する。


「この糞尼ぁああ!」


男の中の一人がキレて殴り掛かる。


それと同時に女の方も応じる。



ところで、今の状況だが、先ほど言ったようにこの喧嘩はリョウを挟んで行われている。


要するに必然的に拳の延長線上にはリョウがいるわけで……


ガシンという音がしてリョウは二人の拳を受け止める。


正直リョウは若干キレていた。


なんで俺ばっかり、と


「おいおい、やるならよそでやってくれよ」


「あん?お前なんなんだよ。そんなひ弱な体で、殴られたくなかったらどっか行けよ」


男達の標的が女からリョウに変わる。



「うるせぇ、とっとと散れ」


「んだとゴラァァアア」


男達の標的が完全にリョウに変わり三人で殴り掛かって来る。


リョウはそれを一瞬で気絶させる。


「ガハッ」


「ゴフッ」


「グアッ」


三者三様の台詞と共に気絶する。


たった2秒の出来事だった。


リョウはふぅっと息を着くが、突然左から殺気を感じ、咄嗟に手を掲げる。


ズダーンとさっきの比ではない数段大きい音があたりに響く。


「とっ、止めた!?」


「さっさと帰ってください」


「お前冒険者か?」


「(こいつは人の話を聞けないのか?)


あーそうだ。それがなんだ?」


「ランクは?」


「Cだが。ていうかなんだと聞いてるんだが何故答えない?」


「なんだもなにもない。

Cランクで私のパンチを受けきれるわけない」


「質問の答えになってない。

それに残念ながら俺は本当にCだぞ」


「貴様、武闘大会にはでるんだよな」


「ああ。残念ながらな」


リョウはもう諦めた。

こいつは人の話を聞かない、と


「残念ながら?

まぁいい。私と当たるまでは勝ち進んでこい。

そこで決着をつけよう」


「決着ってなんのだよ」


「貴様には私のストレス解消の機会を邪魔されたからな。


そういえば、貴様名は?」


「唐突だな、本当に。

はぁ〜リョウ・エンドウだ」


「ふむ、リョウか。

忘れないようにしよう。

私は、エリア・デル・ライトリード。

『千光』という名の方がわかりやすいか。


楽しみにしているぞ。

ではな」


そう言って純白の騎士は去っていった。



「本当に最後まで自分の言いたい事だけ言って帰りやがった」



リョウはしばし呆然としていた。






ついに前から出したかったエリアを出せました。


ここまで長かった……


まだ日常が続くので武闘大会はもう少し後になりそうです。



次回


リョウこの世界に来て初のショッピングです。



では、

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