Cランク昇格試験−襲撃−
書き上がりました。
「王獅子?」
リョウはゼスに聞く。
「王獅子は剣獣の中でも最上級の魔獣だ。
ここは甲殻獣のテリトリーのはず、なんで剣獣がいるんだ!
それも王だなんて」
「王?」
「ああ、Aランク相当のスピードを持つため、剣獣の王と呼ばれています」
今度はマルタが答えた。
リョウはリズを見て問う。
リズは天狼、速さの代名詞のようなものだ。
「リズ、どうする?」
「うむ。
我らだけで問題ないじゃろ。
他の奴は足手まといじゃ」
「なに!?
俺達が足手まといだと!」
リズの一言にネルがキレる。
だが、リズは済ました顔で言う。
「事実じゃ」
「俺達はB+だ。そこのガキの方が足手まといじゃないのか」
こうした口論が繰り広げられている間、リョウは王獅子を見ていた。
何故か王獅子は動かない。
本来であればすぐに襲って来るはずだ。
しかしそうしない。
まるで何かを待っているかのように………
(まさかっ!)
リョウがある結論にたどり着いた時、事態はさらに急変した。
リョウが恐れていた事態に…………
王獅子の背後から10体以上の剣獣が、
そしてリョウ達の背後からは甲殻獣が現れた。
「一体なんなんだ!」
ゼスが泣きそうな声で叫ぶ。
王獅子だけならばまだ勝ち目はあった。
しかし今は数が多すぎる。
さらに後方の甲殻獣の群れを率いていたのは、大甲亀だった。
大甲亀の防御力はAランクだ。
並大抵の攻撃では傷一つ付けられない。
鉄鋼蟹とは格が違うのだ。
この状況は、もはやSランク相当のクエストになっている。
ただのCランク昇格試験がいきなりSランク相当のものになってしまったのだ。
ゼス、マルタ、ネルの三人は自分達がB+であることに誇りを持っていた。
しかし、たかがB+がSランククエストを成功できるわけがない。
三人は顔を蒼白にし、恐怖に震えている。
レナも顔を青ざめさせている。
その中でリョウとリズは眉一つ動かさずに状況を凝視している。
まず考えなければならないのは、まだ隠れている魔獣がいるかということ。
これにはサーチを飛ばすことで、サーチ圏内にはこれ以上魔獣はいないことが分かった。
しかし、いつさらに魔獣が来るか分からないため、できるだけ早く終わらさねばいけない。
そしてついに動きがあった。
準備を終えたのか理由は分からないが、魔獣がリョウ達に襲い掛かってきたのだ。
「「「ひぃ!」」」
三人から恐怖の声が上がる。
しかし、魔獣の攻撃は通らなかった。
突然彼等を覆うように土のドームが出現したからだ。
「な、なんだ!?」
突然の事態に誰かが声を上げる。
ドームを作ったのはリョウだった。
「安心してください。
これは俺がやったことです」
「これを!?
少なくとも下位魔法じやない。
中位以上を詠唱なしだと!」
ゼスが驚愕の声をあげる。
だが彼はこれからさらに驚愕することになった。
リョウの言葉によって
「これから俺とリズはこのドームをでて魔獣達を殲滅してくる。
あなた達はここから出ないようにして欲しい。
もし出た場合、命の保証はできない」
リョウは極めて冷静に言った。
「なんだと!?」
またしてもネルが食い下がる。
つい昨日冒険者になったようなやつがAランクの魔獣に勝てるわけがないと思ったからだ。
しかしリョウはスルーし、皆の顔を見まわす。
そしてレナと目があった。
「あの!
わ、私はどうしたら………」
これまで一言もしゃべらなかったレナが口を開く。
「レナはここに残っていてもらう」
「それは私が足手まといということですか?」
レナは顔を暗くする。
それでもリョウは言う。
「レナはこの戦いには向いてない。
俺は死者をだしたくないんだ。
そこの三人がドームから出ないように見張っていてくれ。
すぐに帰ってくる」
レナはしばらく考え、頷く。
「分かりました。
きをつけて……」
話が終わったところでリョウとリズは外に出た。
三人は未だ納得していないよで何か言っていたようだが、構わずに行く。
リョウside
「リズ、ザコを頼む。
俺は獅子と亀をやる」
「うむ、分かった。
では、行くかの。人化解除」
リズは人型から本来の姿である天狼の姿へと変わる。
そして、リョウも再び己の敵へと目を向ける。
そして声高らかに叫ぶ。
アクセル
「いくぞ!《加速》」
リョウはまず王獅子に狙いを定め、距離を詰める。
そして軽くパンチを放つが、避けられてしまう。
まさかこの速さについていけるとは思わず、思わぬ事態にリョウは少し驚く。
「流石に油断しすぎたか。
なら、これでどうだ
創造、《斬波刀》」
リョウの手に2メートルもの刀身を持つ太刀が現れた。
これはリョウの愛刀だが、森をでてからはたいした敵も現れず、使っていなかった。
そして、それを使ったということは、これからはリョウも本気ということだ。
「まずは、《斬風》」
斬波刀には属性を付加させることができる。
そしてそれぞれで向寒の候が変わってくる。
風を付加させた場合、刀の斬撃速度が数倍にあがるのだ。
さらに加速と同時に放った斬撃は一瞬の煌めきとともに、周囲の物を切り刻み、吹き飛ばす。
だが流石にAランクに近いだけはある。
他の魔獣が次々と旋風に巻き込まれ、体を切り刻まれ死に絶える中でまだその強靭な足は地を踏んでいた。
ダメージは受けているため後何発かで倒せるという目処が立っていた。
しかし、現実はそう甘くない。
リョウの背後に控えていた甲殻獣の軍勢が向かって来たのだ。
そして先頭の大甲亀の一撃がリョウに迫る。
リョウは攻撃がミートする直前、斬波刀に雷を付加した《斬雷》を放つ。
雷を付加した刀身は強度が増し、相手の攻撃を受け止めるのに有効だ。
さらに、カウンター攻撃に繋げることもできる。
自分の一撃を防がれ、驚いたようなうめき声が辺りに響く。
そして亀がのけ反ったところでカウンターをヒットさせる。
だが、クリーンヒットしたにもかかわらず、一撃で沈めることはできなかった。
流石、防御力を誇る甲殻獣の最上級魔獣なだけはある。
そんな思考もつかの間、王獅子が後ろから飛び掛かって来る。
上体を右にずらし、最小限の動きで攻撃を避ける。
片方はスピードに、もう片方は防御力、すなわち耐久性が高いという組み合わせは非常に厄介だった。
だが幸い、というか自分でそうしたのだがリズ以外リョウを見ているものはいない。
そしてリョウが出した結論
それは創造魔法を使い、一撃で葬り去ることだった。
リズside
一方、その頃リズは剣獣3体と甲殻獣4体を相手にしていた。
剣獣をその爪で次々と切り刻んでいく。
剣獣の強みはスピードだ。
しかし、そのスピードはリズの足元にも及ばない。
スピードが意味を成さない今、剣獣はなすすべもない。
剣獣の雄叫びと断末魔の叫び声が鳴り続いている。
ほんの数分で剣獣の群れは一片の肉も残らず切り刻まれた。
甲殻獣はリズの目の前にいる4体以外はリョウと王獅子、大甲亀との戦闘に巻き込まれ、生き絶えていた。
装甲が固いため剣獣のように簡単には切れなかったが、それでも所詮はCランク。
天狼の敵ではない。
ただ今度は切るのではなく割るだった。
天界の生物の中でもスピードに勝る天狼といえども、力が弱いわけではない。
B、Cランクの甲殻獣の装甲を叩き割るぐらい造作もないことだった。
こうして、Bランク以下の冒険者なら全滅を免れないだろう7体の魔獣はたった数分で生き絶えた。
リョウ side
リョウは目の前の二体のAランク魔獣、王獅子と大甲亀に創造魔法を行使することにした。
創造魔法とは、リョウの完全オリジナル技だ。
そしてこの魔法は別の言い方に言い換えることができる。
それは殲滅魔法。
全てが上位魔法以上の力を持っているという、まさに究極の魔法。
リョウはリズに声をかける。
「リズ、来てくれ」
「なんじゃ?」
「あれをぶちかますからな。
巻き込まれるかもしれない。念のためだ」
「あれか、あれは反則級じゃぞ」
リズが苦笑しながらいう。
「そろそろ終わりにしなきゃね。ちょっと気になることもあるし」
「気になること?
後で説明するんじゃぞ」
リズがジト目で言う。
「分かった分かった」
リョウは笑いながら言う。
だが、それも一瞬のことだった。
動き出した魔獣を向いたリョウの顔にはすでに笑みはなかった。
そしてリョウは唱える。
「創造、
全ては氷に閉ざされる。
そこに生は存在しない。
さぁ氷結の世界を……
ニヴルヘイム
《氷結地獄》」
その瞬間世界が氷に包まれた。
昨日は忙しかったので投稿できませんでした。
創造魔法をいつ出すかずっと迷いっていましたが、今回でいれました。
次回予告
創造魔法を使ったリョウ。
一体どうなるのか?
次回決着です。
では、
感想・評価・アドバイス・質問お待ちしております。




