決着、仲間、そしてリシュテイン公国へ
だいぶ予告と違くなっちゃいました。
「まっ、そういうことで俺の勝ちだな」
「………そうですね…」
レナは悔しそうに答える。
「おーもう終わったのか?
暗くてよく見えなかったぞ」
リズは最後が見れなかったせいか、不機嫌そうでちょっと膨れている。
重い雰囲気が漂っていたので、リョウは無理矢理話題を持ち出す。
「勝負も終わったことだし、リシュテインまで行きますか
そういえば、レナ、そこってここから歩いてどれくらいなの?」
「2日くらいですが……
歩いてってそれ以外の方法があるんですか?
レナが疑問の声をあげる。
「リズ、どうしよっか」
「2日だからのう、飛べば1日以内にはつくじゃろ」
「そうだね。わざわざゆっくり行く必要も無いしね
じゃあリズにまたお願いしようかな」
「うむ。まぁいいじゃろう」
「え?え?
飛ぶって一体どういう?」
首を傾げているレナを置いてどんどん話が進んでいく。
「あのう〜説明していただいてもいいですか?」
レナが恐る恐るという感じで聞いてくる。
その様子が可笑しくて、リョウは笑いながら答える。
「言った通りだよ。
飛んで行くってこと」
「飛ぶ?
そんなの魔力の無駄遣いですし。それに何に乗って行くんですか?
未だ頭に疑問符を浮かべている隣でそれがどうしたとばかりにリズが人化をとく。
リズがいきなり光り目をつぶったレナが目を開けたとき見たのは体長2、3メートルもあるかと思われる巨大な狼だった。
いきなりの異常事態に目を白黒させるレナ
「どうした?娘
我じゃぞ」
突然狼に話し掛けられびっくりするレナ、しかしその声が聞き覚えのある、というかさっきまでリョウと話していた声に似ていることに気づく。
「も、もしかしてリズさん?」
「そうじゃがどうかしたのか」
話すことができる知能を持ち、尚且つ人化出来るほどの魔力を持つ狼。
そんなもの一つしかいない。
そう。
天界に住んでいるといわれている伝説の生物。
レナの目が大きく開かれる。
「……う…そでしょ。
リズさん、あ、あにゃたはもs……もしかしt…て、天狼!?」
噛み噛みになりながらもなんとか言葉を繋ぐレナ。
「そうじゃが?
言っておらんかったかの」
「言われてません!!
ま、まさか天狼に会えるなんて………」
目の前のSSランクの魔獣を見て、レナは驚きを隠せない。
現在もリョウに体を支えられてなんとか立っている状態だった。
「でも何故天狼が人間なんかと?」
天狼は誇り高い一族だ。
人間の下につくなんてありえない。
よっぽどの理由があるのかと思い、なんとか落ち着きを取り戻したレナは聞いた。
しかし、リズの答えは予想の遥か斜め上を行っていた。
「我は主殿に負けてしまったからの、天狼の掟で主に生涯を捧げているのじゃ
かといっても嫌々ではないぞ。
我は主殿の強さに惚れたのじゃ
天狼と真っ向から戦い打ち破った力にの」
リズのその言葉を聞き、驚いたような目で今度はリョウを見る。
「天狼に勝ったんですか?」
「え、まぁそうなるかな……………」
「あなたって人は……
Sランク以上の実力ですよ。それは!!
ていうか、まだ天狼と戦った冒険者なんていませんよ!
あくまで過去の文献を見て予想された強さでSSランクなんですから!
もしかしたら四帝なみの力かも…」
(やっぱり……)
冒険者ランクの話で薄々感づいていたリョウは心の中で呟く。
だが、何か決心したような顔をしたレナの次の一言はリョウを驚かせた。
「あの、リョウさん
突然ですけど私を仲間にしてもらえませんか!」
ホントに突然だなと思いつつ、リョウは疑問の声をあげる。
「え!?」
「私は外の世界を知りたくて里を出ました。
それに一度あなたに命を救われた身です。
それだけの力を持ったあなたの一生を見届けたいんです。
ダメですか?」
ここでレナの必殺上目遣いがリョウにクリーンヒットした。
リョウはちらりとリズを見るが、好きにせいとばかりに高みの見物を決め込んでいる。
この野郎、後で覚えてやがれと内心毒づきつつ、考える。
(いろいろ知られちゃったからな………
それに結構強いし。戦力と仲間は多いほうがいいよね)
と、半ばいい加減な思考をした後、顔を期待と不安でいっぱいにしているレナに結果を伝える。
「……………わかった。
一緒にいこうか」
レナは顔を輝かせる。
「はい!!
よろしくお願いします!」
リョウの目の前にはこれ以上ないくらい満面の笑みを浮かべたレナがいた。
レナの仲間入りから数十分が経ち、現在、リョウとレナはリズの背中に乗り、空を飛んでリシュテイン公国へと向かっている。
リズの背中に乗ると言われ、顔面蒼白にして、
「そ、そんな恐れ多いことは!」 や、「天狼の背中に乗るなんて!」と慌てふためいていたレナを落ち着かせたのがほんの十分前。
レナは今、
「すごいです!飛んでます。すごいすごい!!」
と、大興奮している。
レナは一通り感動した後、リョウに聞きたかったことを尋ねる。
「そういえばリョウさんっていくつなんですか?」
「16だけど、どうかしたんの?」
「いや、なんか大人びてるな〜って」
「そういうレナはいくつなの?」
「女の人に年齢をきくんですか?」
「え?あ、ごめんなさい」
レナのジト目に思わず謝ってしまう。
「まぁいいです。
聞いたのはこっちですし、私は18です。
里を出てから2年になりますね」
「2年間も一人で旅してたの?」
「まぁそうですね。
仲間になりたいっていうほど信頼できる人は居ませんでしたから」
「じゃあ俺は信頼されたってこと?」
「天狼が懐くほどですもの。
ある程度は、それに私を救ってくれましたしね。
でもまだ完全じゃないですよ。
そこまで私は甘くありませんから」
と、からからうような口調で言う。
(からかわれているようで結構手厳し言葉だな)
リョウは苦笑する。
「そういえばリシュテインってどんな国なの?」
「えーと……
リシュテインはこのユストラシア大陸で一番大きな国です。
貿易も盛んなんですよ」
「へーじゃあ一番最初にその国に行けるのは運がいいってことか」
「はい。それにもうそろそろ武闘大会がはじまりますからね。人もいっぱい来ますよ」
「武闘大会?」
「はい。4年に一度開催される大会で毎年百人以上参加するんですよ。
優勝者には賞金として金貨100枚と四帝への挑戦券が与えられるんです。
賞金だけでも凄いのに四帝への挑戦券っていう冒険者には最大の名誉が送られるんですよ!!
そもそも冒険者とはですね……………」
レナが熱く語りだしてしまったところで、リョウは大事な事実に気づいた。
「れ、レナ、ちょっといいかな」
「なんですか?」
気持ち良く語っていたところに水を差されたレナはちょっと不機嫌そうに答える。
「あのさ、お金のこと教えてくれない?」
「は?」
あまりにも常識はずれな質問になにか他の意図があるのかと考え始めるレナ。
でもリョウの質問はまんまだった。
「いや、だからお金のことだよ、金貨とか……
ずっと森に住んでたから知らないんだ」
「そうなんですか!?
わ、わかりました」
レナは戸惑いながら答える。
「お金は銅貨1000枚で銀貨1枚、
銀貨100枚で金貨1枚
金貨100枚で白金貨1枚
ってなってます。。
それで銀貨1枚あれば一ヶ月は生活できますね」
「なるほど、ありがとう教えてくれて。
これからも結構頼ることになっちゃうけど、ダメかな」
「いえいえ、ぜんぜん!
どんどん頼ってください」
さっきまでの戸惑いはどこへやら、嬉しそうに笑うレナであった。
この後リズも会話に加わり、楽しい時間はあっという間に過ぎていった。
そして、飛び立ってから約5時間後、ようやく大都市の姿がボンヤリと見えてきた。
今回は、決着、仲間、リシュテイン公国へという3話を1話にまとめちゃいました。
それぞれが短かったので………
昨日に引き続き嬉しいお知らせ!
10000pv突破!!
皆さんありがとうございます。
これからもがんばります。
明日から学校なので投稿スピードが落ちると思いますが、なるべく早くするので応援よろしくお願いします。
次回
ついにリシュテイン公国についたリョウ達はギルドに向かう。
そこで一波乱が…………
では、
感想・評価・アドバイス・質問お待ちしております。




