レナ
ヒロイン二人目登場!!
−−−side レナ−−−−
信じられない。
たった一人であの人数を倒してしまった。
最初、空から人が落ちてきた時、私は助かったと思った。
でも、それがおそらく私よりも幼いであろう少年だったと知って、その思いは絶たれた気がした。
そして逆にあきらかに私より弱そうなその少年が盗賊達に食ってかかるのを見て、私は恐怖した。
私を助けようとして、もしその人が死んでしまったら、私は罪悪感で生きていけないだろう。
だから私の元に来たおそらく少年の仲間であろう銀髪の女性にひたすら言った。
「無理です。あいつらには勝てません。私を置いて逃げてください」
と、
自分でも信じられなかった。
さっきまで自分が助かるために脳が焼き切れるくらい考えていたのに、何故かその時は自分の事じゃないように思えたのだ。
でも私の必死のお願いにも、女性はただニヤニヤと笑い、まぁ見ておれ、と言うだけで、私の疑問の眼差しにも全く答えようとしなかった。
そうこうしているうちに、盗賊団の一人が少年に剣を振りかざして向かっていった。
私は痺れる体を必死に動かし「逃げて!!」と声の限りに叫んだ。
盗賊が少年に剣を振り下ろしたのを見て私は咄嗟に目を背けた。
だが既にそこには少年の姿は無かった。
そしてその盗賊が間抜けな声を出した瞬間、肩から血が吹き出した。
それからは私は唖然としっぱなしだった。
少年の姿が消えたと思うと、盗賊団の5人が吹き飛び、更には私とパーティーを組んでいた団長すらも手も足もでなかった。少なくともCランクの実力はあるはずだ。それをいとも容易く……私はその少年に強い興味を持った。
そしてあっという間に盗賊団は壊滅してしまった。
たった一人の少年の手によって……………
−−−side out−−−−
「ふぅ〜終わった」
リョウはそう言いながら、リズと女性の元に向かう。
「大丈夫でしたか?」
「はい!!大丈夫です。助けていただいてありがとうございました」
「だから言ったであろう。何も心配することはないと」
「なにがだ?」
「この娘っ子が主が弱そうだと心配しての〜」
「!?
いえ、そういうことでは!!」
その女性は焦って言う。
「あはは、まぁいいよ。それより名前は何て言うの?俺はリョウ。」
「我はリズじゃ」
「わ、私はレナです。それよりさっきのは何なんですか?」
「えーと、さっきのは………あはは…」
リョウは煮えきれないように答える。
(どうしよう。流石にむやみやたらに能力のことは話さないほうがいいよな)
「ただの魔法じゃよ」
リョウが悩んでいるとリズが答えた。
「いや、でもただの魔法であんなこと……」
「そ、それよりさ。動ける?」
リョウの強引な話題転換にレナは一瞬ムッとするが、すぐに答える。
「すいません。痺れ薬を盛られてしまってうまく動けないんです」
「痺れ薬?ならこれかな」
そう言ってリョウは小さなかばんから解毒薬を取り出す。
そのかばんはリョウが創造によって作ったもので、某猫型ロボットのポケットのような構造になっている優れものだ。
そこで、リョウは改めてレナを見てみる。
流れるような黒髪にそれを栄えさせる白い肌、そして整った顔立ち。
身長はリズより少し低いくらいで、胸は大きくはないが、そこまで小さくはない。
全体的にその黒髪もあってスレンダーという言葉が似合いそうな女性だ。
しかし、その顔と身体には所々に腫れや傷がある。
「あとは、治癒かな」
そう言って、レナの傷を治していく。
「っっ!!嘘でしょ!?空間婉曲魔法に治癒魔法なんて、あなた何者ですか??」
「あー詳しいことは言えないんだ。ごめんね」
リョウはあっまた話が戻っちゃったと内心後悔しつつ、日本人特有の曖昧な笑みを浮かべる。
「それよりさ、ここから近くに大きな町はある?」
そして二度目は無理かなと思いつつも再びかなり強引な話題転換を行使する。
レナはまたもや不満な顔をしつつも、なんらかの込み入った理由があるのかと思い、どんどん膨れ上がる好奇心を抑えつつ答える。
「えーと、ここから更に南に行ったところにリシュテイン公国があります。
町と言うよりもかなりの大都市ですけど………」
「いや、大丈夫。ありがとう。もう動けるよね。じゃ、俺達はこれで」
リョウはこの場を一刻も早く去りたかった。
勢いで助けてしまったものの、能力の情報はできるかぎり流さないほうがいいはずだ。
そしてリョウはさっきの戦闘でどれだけこの世界の人間と自分の実力が掛け離れているのかを知ってしまった。
しかし、現実はそうは甘くない。
「リシュテイン公国まで行くんだったら、私も一緒に行ってもいいですか?」
「いや、えっと………」
「まぁ、良いではないか主殿。
ただもし主に牙をむくようなことがあれば、我が容赦なく殺すからの」
「えっ…………いえ、大丈夫です。
暗夜族の誇りにかけて、約束はお守りします」
レナは一瞬絶句するも直ぐに立て直して答えた。
「暗夜族か。珍しいのう」
「??ねぇリズ、暗夜族ってなんだ?」
「暗夜族は夜行性の一族での、いつもは洞窟で暮らして外にはでないから、出逢うことはほとんどないのじゃ」
「はい、確かにそうです。でも私は外の世界を見てみたくて故郷を出てきたんです」
「へぇ〜そうなんだ」
「あ、そうだ。リョウさんは冒険者なんですか?」
「冒険者?ごめん。俺達ずっとここより北の森に住んでて、ついさっきそこからでてきたばっかりなんだ。
だからまだ何にもわかんなくて………」
「ここより北の森って、まさか剣獣の森ですか!?」
「あの森ってそんな名前だったの?
ていうか名前なんてあったの?」
「確かそんな名前じゃったな」
「何だよ。教えてくれれば良かったのに………で、その森がどうかしたの?」
「剣獣は魔獣のなかでも牙や爪が異常に発達した魔獣で、中でも剣獣の森にいるのはほとんどがBランク以上の魔獣なんですよ!」
「そうだったの?」
「…………………はぁ〜もういいです」
全くその凄さがわからず、首を傾げているリョウを見て、レナは呆れる。
「そういえば冒険者とか、冒険者ランクってなんなの?」
「冒険者はですね〜ギルドに所属し、クエストを受けてお金を稼ぐのを仕事にしている人達のことです。
それで冒険者ランクは仕事を受ける資格があるかというふるいのようなものですね。
ランクは低い順でFから、F+、E、E+、D、D+、C、C+、B、B+、A、A+、S、S+です。Cランク以上で一流、Aランクにもなると大抵の魔獣は一人で討伐できます。あと天獣とも渡り合えると言われています。
Sランクにもなると一人で王国の軍隊を担えるほどです」
「え!?」
リョウは驚きの声をあげる。
(リズってたしか天界から来たっていってなかったっけ……)
「どうしたんですか?」
「い、いやなんでもない。ごめんね。続けて」
「あ、はい。
S+ランクは現在世界で4人。そしてその4人は皆から敬意をもって四帝と呼ばれています。この4人が現在、世界最強ですね」
「へぇ〜
四帝か……会ってみたいな。
ちなみにレナのランクは何なの?」
「私はCです。一応これでも結構知られてるんですよ。
………そうだ!
もし良ければ私と手合わせしてもらえませんか」
「手合わせ?」
「はい。リョウさんと一度戦ってみたいんです」
リョウはちらりとリズの方を見る。
そしてリズの楽しそうな笑みとレナのキラキラした目を見て、しょうがないなとばかりにレナに頷く。
「わかった。いいよ、俺で良ければ相手になるよ」
「ほんとですか!?ありがとうございます!!」
目をさらにキラキラさせているレナを見てリョウは苦笑する。
こうして、リョウはレナと一戦交えることになってしまった。
やっぱ黒髪ロングが一番いいですよね〜〜
最高です。
この小説を書くにあたり絶対入れたかった黒髪ロングのヒロイン
To〇ぶるの唯を想像していただけたらと思います。
ちなみに人間族で黒目黒髪はとても珍しいという設定なので、レナは暗夜族という少数民族にしました。
あと、投稿スピードですが、一応一日一話を目標に頑張っていきます。結構長く書けてきたので。
次回予告
レナと戦うことになったリョウ。その勝敗の行方は?
次回「VSレナ」
副題安直すぎるかな……
では、
感想・評価・質問・アドバイスお待ちしております。




