おまけ 少年と狼のとある一日
リョウ少年の朝は早い。
今日も日が昇り終わる前に起きる。
しかし、今日はいつもと違った。
いや、今日からは以前とは違うというのが正解か……
リョウの目の前には銀髪の美女がいた。
…………全裸だった。
side− リョウ−
目が覚めるとそこはパラダイスだった。
「うわぁ!?」
俺は反射的に声をあげてしまった。
だっていきなりだぜ。いきなり全裸の美女だぜ。
To〇ぶるじゃあるまいし。モモかお前は!?
今男の夢が目の前に………いや、夢だな。うん、そうだ。そうに違いない。やっぱりこんなうまい話ないよな〜アハハ
「…うっ………ううん。どうした主殿」
リズが目を擦りながら目を覚ました。
そうだよな。夢だよな〜
「おはよう。リズ」
リズは
「おはよう。主殿…………チュ」
おもむろに唇に触れてきた……………自分の唇で………
流石に無理だった。
脳ガショートシマシタ。復旧マデアト10秒……10…9…8…7…6…5…4…3…2…1…0
復旧ガ完了シマシタ。
あれ、何今の。気のせい?
やっぱ夢?そうだよな〜〜 この世界に来てずっと男一人だったからな〜〜〜
もっとみてたいけど、そろそろ起きなきゃな。やることもいっぱいあるし
ためしに頬をつねってみたが、目の前のリズは相変わらず小悪魔的な笑みを浮かべたまま。
あっっっっれれーーー?
どうなってんだ?
「主殿どうしたんじゃ?具合でも悪いのかの」
そこでようやく俺はきずいた。自分に起こった奇跡のようなことが現実だと……
「なっなっなっなにしとんじゃボケーーーー!!!いや嬉しいけど、嬉しいけども………なんだかよく分からなくなってきた。旅に出ます。探さないでください」
その時の俺は後から思い出して死ぬほど恥ずかしいほどテンパっていた。
それなのにリズは笑って
「やはり主殿はおもしろいのう」
などとのたまっている。
「なっなんでいきなり。あとなんで!!??」
「我は主に申したはずじゃぞ。天狼は負けた相手に忠義を尽くすと。もう我は主のものだ」
「お………俺のもの?……………いやいや、まだそういうのは早いと思います。まずはお互いのことをちゃんと知ってからじゃないと………」
自分でも言葉がだんだん尻つぼみになっていくのがよくわかった。
「主はうぶで可愛いのう。我がいろいろと教えてやるからの。楽しみにしておくがいい」
そんなこんなで俺の慌ただしい朝は終わった。
疲れた。もう瀕死状態だよ。。。
「あの時はほんとびっくりしたよ」
「ふふ、主はうぶじゃからのう」
あの日から朝は毎日のようにキスで始まってしまうため、もう慣れてしまった。
今では、戸惑うことはなく役得だなぁなどと感動している。
「いや、でももっと大変だったのはその後だよ」
「その後?我何かしたかの?」
「あれだよ。朝の食料調達しに行った時、リズもついてきたから森の動物が怖がって全員逃げちゃったじゃん。そのせいで朝飯抜きだったんだぞ」
「それはしょうがなかろう。良いではないか。それからはついて行かなかったんじゃから」
リズが膨れてる。
話は逸れるが、今リズは人化した姿でいる。
銀髪の美女が頬を膨らませている…………カワイイ……ギャップってやつ?何のギャップか分からないけど………なでなでしたい。すごいなでなでしたい。
狼の状態で柔らかい毛皮をもふもふするのもいいけど、やっぱりこっちも捨て難い………
「どうした主殿。息を荒げて……目も軽く逝っておるぞ」
リズがジト目で見ている。
カワイイな〜〜なでなでしたいな〜〜〜………
はっ!!今俺は何をしていたんだ。恐るべし、美女の魔力、これがチャームというものなのか?
危なかった。もう少しで人して守らなきゃいけない一線を越えるところだった。
「ぜぇ…ぜぇ…ぜぇ…ぜぇ」
「…………」
リズがなんだか可哀相なものでも見るような目で見てくるんだけど、気のせいだよね。
「今思えば、この森にもいろんな思い出があったな。明日出発となると、少し寂しくなるな」
「そうかの?まぁ我は主殿と一緒であればどこにでも行くがの」
「食料もたんまり持ったし、明日に備えて寝るかな。寂しいけどなんだか遠足前夜な気分だから寝れるか分からないけど………とりあえずおやすみ」
「…遠足とな?」
なんかリズが言ったようだがよく聞こえなかった。
明日から楽しみだな。
題名の通りになったかな?
今回はおまけなので一人称に挑戦してみました。
これで1章はほんとに終了となります。
第2章はいろんな人との出会い、そして武闘大会について、あといろいろな伏線をいれられたらなと思っています。
では
感動・評価・アドバイス・質問お待ちしております。




