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12話:今後について

「はい。それでは『情報クリスタル』をお預かりします。明日の講習後に資格証をお渡しします」


『探索者ギルド』の専用カウンターで受付の人に苦労して取ったクリスタルを渡した。


「それでは、本日はギルドの宿泊施設でお休みください」


 受付に渡された木札をもって皆の所に戻る。


「これで全員探索者になれますね! ユウ殿!」


「ミッションコンプリートでーす♪」


「まあ、私達がいたんだから当然の結果よね!」


「一時はどうなるかと思ったネ。でも……頑張ったアルよ。坊や♪」


 タマやジェニー、アリュミールやロンメイがねぎらってくれる。僕もやりきった達成感で思わず頬がにやける。


「うん……ありがとう。みんなのおかげだよ」


「うむうむ! まあ、我が牽引したから当然じゃ! というかこれからがスタートじゃぞ! ……ここではなんじゃ……部屋で話すぞ」


 ギルド内部は鎧を着た人や商人っぽい人、受付に併用された市場で働く人など……大賑わいだ。建物も木造の西洋形式……。外国のホテルと言った感じだ。

 ここで話し合いは確かに迷惑。オーベンバッハの後をついていく。


「さてと……。ひとまず、今回の探索で得たお金は……30万ドラーじゃの♪ 珍しい素材が取れたので結構儲かったわ♪」


「……これは……普通の稼ぎなのかネ?」


「ちょっといいくらいじゃな。というか、これを人数分で割るなら一人5万ドラー。準備費用や2日の拘束と危険を考えると……割がいいとはいえんの」


 2日森の中で駆けまわって5万……。僕はタマ達4人とオーベンバッハさんがいて、なんとかできた。これが一人だったら……。


「だから、1階で稼ぐ探索者は底辺なんじゃ。安定だけはするからの……これから先は危険度はあがるがリターンもでかい。だから……ユウ! お前の店でお金を稼いで装備を固めるのじゃ! 4人が強いのは知っておるが……お前が倒れたら全員駄目になるはかなり不安じゃからの……」


「お店……ですか? ダンジョンに潜るのではなく?」


 タマの質問に、オーベンバッハはカンヅメを取り出す。


「そうじゃ! 何せ、お前たちはこっちの世界にはない料理を提供できる! 駆け出しが必死になって1階や2階を駆け回ることなく、金で装備を整えることができる!」


「でも、カンヅメもそうだけど数に限りがあるけど……」


「わかっておる♪ でも、こっちにある材料で再現できるものもあるじゃろ? あのテリヤキやらやきそばやら……なんでもよい! こちらの材料でそれを量産できればお金ががっぽがっぽじゃ! 我らの装備を整えるもよし! 他の探索者を雇ってチームとして大規模探索するもよしじゃ!」


 どの世界でも、ヒット作の創始者は大金を手に入れられる。『魔王』であるオーベンバッハとしては軍資金が欲しいのが本音であろう。


「もちろんこれはお主達にとってそんな話ではないぞ? お金があればお前の店は維持し続けれるし……、ヒット作を作る店と民達に認知されれば追い出されもせん。大事業を始めるには地盤が大事という話じゃ! ……ということで……『市場』にいくぞ!」


 オーベンバッハが立ち上がり、壁の向こうを指差す。あちらに市場があるのだろう。


「ここの市場は、農場で生産された品以外に森で採取された素材も並ぶ。町の市場よりお得に買えるのじゃ! また、ここより深い階層で採れたものもな! 探索者資格を持っていればそれらも安く買える! まずは、見て何が作れるのかしらべるのじゃ!」


 確かに……。何を作るにしても、どんな素材があるかは知っておかないといけない。それじゃあ行こうと思った瞬間、立ち上がるのに失敗してしまった。


「え……あ……あれ? 足に力が……」


「ユウ殿! ……これは……疲労ですね……」


「……ふむ。慣れない環境。魔物との戦闘。いろいろ疲れがたまって限界が来たのじゃろう。坊やはひとまずここで休んでるネ」


「ですネー! 誰か残って、残りが市場で視察……でいいかと? それじゃあ、残る人は手をあげてー!」


 そう言って、オーベンバッハを除く全員が手をあげる。


「……おい……。我ひとり言っても意味がないではないか! ええい! 魔王権限で決める! ここに残るのはユウとほか一人! 残りは市場でユウが回復するような食事を作る! 共同炊事場があるからの! これでどうじゃ!」


「むむむ……ユウ殿といたいですが……ご飯も作りたい……」


「どっちの悩ましいわね……。ここはくじで決めない?」


「賛成デース! 恨みっこなしですよ!」


 3人がくじを作り始めた中、ロンメイが僕の寝床を整えてくれた。


「まったく……♪ ほれ! 坊やは横になってるネ 何か食べたいものはあるか?」


「……いや……なんでも……いい……よ……」


 思った以上に疲れていたのか、僕は横になった瞬間瞼が閉じて眠ってしまった……。

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