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 さて面倒くさくて避けてはいたが、欠けたパーツを埋めるためにそろそろダイジェストを紹介しないといけない。

 時間軸を日比谷幸の意識が途絶えた辺りから始めるとしよう。

 中庭でのモブ3人との攻防があり幸の顔面がぐちゃぐちゃのユッケのようになっていた頃、モブの1人であるリサは瀕死状態である幸にオーバーキルを加えようとしていた。


 だが、再度振り上げたコンクリートごとリサは上米良魔技のドロップキックにより吹き飛ばされる。

 去っていたはずの上米良がなぜ幸を救ったのかを彼女の気持ちを触りだけ軽く紹介しよう。

(ちびっこいだけで金にーー魅力にならないと思っていた日比谷幸だったが、追い詰められた時の猪突猛進な姿に心が動かされた。あの娘をデスマッチ部で試合させれば大きな収益ーー沢山の人を魅了する。それはとても素晴らしいことだから救った。ーー後、可哀想だったから)


 と上米良魔技は純粋な思いで正義感に駆られ救ったのだ。

 一応デスマッチ部への加入の許可を取る為、上米良は倒れ伏す幸をゆすり動かし何度も「助ける代わりにデスマッチ部に入るね? いいね!?」と本人に聴いていた。


 本人がこの時「よ、よろしくお願いします!」と元気よく言ったのかどうかは不明だが幸が何度も頷くのを確認した上米良はモブ達が口答えする前に颯爽と蹴散らした。

 開始から1分と経たずに地面を真っ赤に染め上げた上米良は幸を抱えると今度こそその場を去ろうするのだが、この時、それを引き止めた人物がいた。


「私もデスマッチ部に入れなさいよ!! その為に来たんでしょアンタ!!」

 顔を腫らし血だらけの顔面でとても美女とは言い難い出たちでフラフラと片脚で踏ん張り立ち上がった雅姫香は血を拭った。

 この時、問われた上米良は答えることなく歩みを進める。


「へー来るもの拒まずのデスマッチ部ともあろうものが、まさか断り逃げるんですか?」

  雅の挑発にも表情一つ変えずに上米良は抱えていた幸を優しく地面に下ろすと、傍に転がっていた薄汚れたコンクリートブロックを掴み上げた。

「雅姫香。想像した通り口が達者だねー。確かに、デスマッチ部は来るもの拒まずいつでもウェルカムだし、絶賛今、自員不足でキミのような人間を欲していた」


「なら、素直に入部させる以外選択肢はないと思うけれど」

「うーむ、雅ちゃんさ、キミのことよく分かんないんだよねー」

「何がよ」

「キミさ、さっきの乱闘でわざと死ぬつもりで戦うフリをしたでしょ?」


 上米良の発言に一瞬息を呑んだ雅だったが、何事もなかったかのように、壁に体を持たれかけると高笑いをした。

「死ぬつもりだった? ましてや戦うフリをしていた? 冗談よしてよ? 多勢に無勢だったからそう見えただけでしょ? くだらないわね」

「いろいろと言いたいことがあるけど、まぁとにかくシナジーを感じなくて側から見ていてつまらなかった。そんな死にたがりな人間がデスマッチをした所で観客を沸かせれる訳ないし、なんなら正直言って入られると迷惑なんだよ」


「ああそう! そんなモノはアナタの主観であって、私は殺される為に入りたい訳でなく、明確な理由がーー」

 声を荒げた雅の足元に上米良は持っていたコンクリートブロックを軽々投げた。

 ドスンと存在感のある重圧に雅の肩が一瞬上がる。

「何? 私の言葉が気に入らないからって物に当たるのはどうかと思うわよ」


「あー、違う違う。言葉なんて薄っぺらいもの聞くよりさキミの覚悟を直接受け取った方が早いと思って」

「はぁ、覚悟? 受け取る? もっと分かりやすくいいなさいよ。こっちは頭が働かないぐらい怪我してんだから」

「ごめん、ごめん」と言い上米良は雅に近づくと地面に胡座をかいて雅の目を見ながら口を開く「そこのコンクリートブロックで躊躇なく私を壊せる雅姫香?」

上米良を上から見下ろしていた雅はその異様な提案に唾を飲む。


「くだらなく単純な質問ね、答えは明確。壊せるわ」

「そう、じゃあやってみてよ。狙いやすいように頭下げとくからさ」

 転がっていたブロックを雅は両手で掴むーー。


 重さにふらつきながらも、上米良の適度に乱れたクールショートな黒髪の真上にブロック抱えた雅は「カッコつけた手前、後で泣き叫ぶなんてみっともない真似はしないでくださいよ。部長さん!」と言い勢いよく振り下ろした。

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