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この連載作品は未完結のまま約3年以上の間、更新されていません。
今後、次話投稿されない可能性が極めて高いです。予めご了承下さい。

ここに教会を建てよう

作者:切り株
魔王を倒した勇者パーティの生き残りである戦士が、勇者と聖女の忘れ形見を育てながら教会で暮らすことを目標に旅をしていくお話。

しかし、その旅で出会うカップル(未満)達は変人揃いで曲者揃い!
身分違いに同性愛、はたまた種族を超えた愛と生きていない相手との冥婚!
彼らの恋路を応援しながら、戦士は果たして忘れ形見を幸せにすることが出来るのか!?



「尊い」

村娘に愛の告白をする王太子をこっそりと草陰から覗き、二人に向けて祈りを捧げるエル。それに呆れながらもどことなくその行為に既視感を覚え、エルの完璧なまでの合掌を見つめた。そして俺はデジャブの正体に気付く。
逢瀬をしている二人に見つからないように多少は前傾姿勢ではあるものの、背筋をピンと伸ばした体勢で微笑む彼女はまさに天使のような出で立ちで、…しかしその神聖な姿とは裏腹に奇妙キテレツな言葉を早口でまくし立てた。
その懐かしい光景に俺は目を細める。

「……お前を見ていると、ハロルドを思い出すよ」
「え、父さんが?」

エルの言動に重なったのは過去の親友。
両親の血を色濃く継いでしまったこの子は、容姿だけでなく性格まで彼らとそっくりに産まれてきたらしい。
急に父の名前を出されて驚いたエルの顔は親友の阿呆面と瓜二つだった。ぱちくりと見開いた瞳なんか、特に。

「ああ、似ている。……そっくりだ」

俺はきっと、情けない顔をしていたんだろう。
それを聞いたエルは気まずそうに苦笑して、「それは良かった」と会話を終わらせる。

この子は不思議だ。
まだ10にも至っていない歳に関わらず、大人と会話をすることが出来る上に今のように配慮することも出来てしまう。
それは俺がこの子に負担を掛けてしまっているからなのか、だからこの子は普通の子供より少しだけ早く精神を成熟させてしまったのか。
そんなどうしようもない考えが頭に浮かぶが、すぐにそれを思考の外へ飛ばす。

こんなことを考えていても仕方ない。
……俺は誓ったんだ。

「あー、尊い。ここに教会を建てよう!」

村娘と王太子の接吻に地面を転がるほど悶絶するエルを微笑ましげに見ながら、俺は胸元で拳を固く握りしめた。
リュミエルを幸せにする。
それが残された俺の最後の役割だ。

……それにしても、エルは教会が好きなのだろうか?



実は、戦士×忘れ形見(転生者)のお話。
第一章 忘れ形見と小さな故郷
旅の終わり
2021/09/14 05:17
忘れ形見
2021/09/14 07:22
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