ループ②―2
「7月、6日…?」
訳がわからなかった。
自分になにが起こっているのか、まるで全然理解できない。
「いったいどうなってるの…」
私の記憶が正しいなら、今日は翌日の七日。七夕の日であるはずだ。
だというのに、何度スマホの画面を見返しても、映し出されていた数字は変わらなかった。
「なんで…昨日は早くに寝て、そして起きて…その時は確かに、七日であったはずなのに…」
だが時間は確かに過ぎていて、今は7時20分を過ぎている。
それがますます混乱を深めていくけれど、説明してくれる人なんて誰もいなかった。
ううん、そもそもこんなこと、誰にも相談なんてできない。
したところで、頭がおかしいと思われるのがオチだ。自分で答えを見つけるしかなかないだろう。
そうしてしばらく考え込んだわけだけど結局出てきた結論は、我ながらなんとも突拍子のないものだった。
(日付が一日ズレた…?ううん、巻き戻ったっていうの…?)
時間の巻き戻り。
現実じゃ到底ありえない、どこかのアニメみたいな出来事が自分の身に起こった。
そう考えると辻褄が合うように思えたのだ。
というより、他に考えられなかった。そもそもの話、今私がここにいること自体が―――
「う、げぇぇぇっ!」
そこまで考えたところで、再度強烈な吐き気が私を襲う。
もう全てを出し尽くしていたはずなのに、それでも身体はまだ足りないとでも言いたいのだろか。
また胃がひっくり返ったような最悪の気分を味わうことになってしまい、咄嗟に手で口を押さえ、強引にせき止めた。
(なんで、こんな…!)
これは明らかにおかしい。
さっきもそうだったけど、なにか思い出そうとしたらこうなるのは、どう考えても変だ。身体が拒絶反応を取っているに違いなかった。
(つまり、それは思い出すことを拒んでるってことで…)
そのことを手がかりに、改めて推理する。
この気持ち悪さから少しでも逃れるため。そして自分になにが起きているのか、改めて理解するために。
考えろ。
考えろ。
考えろ。
そして思い出せ。
その先に私が求める答えがきっとある。
思い出して、そして私は、アイツと。
そう、祥真と一緒に―――
―――おまえのせいだ
「ぁ…………」
思い、出した
「あ、あ、あああああぁぁぁぁぁ…………」
瞬間、次々と記憶が蘇る。
飛び降りてた祥真の姿。
まるで呪うように、虚ろな目で私を見上げた祥真の瞳。
そして、最期に呟いた祥真の言葉まで、ハッキリと思い出していた。
「あ、あ、ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
とめどなく押し寄せる最悪の記憶に耐え切れるはずもなく、私は気付けば声を張り上げ、絶叫していた。
―――私は祥真を救えなかった
あの時と同じ…あるいはそれ以上の絶望が、私を包む。
目の前が真っ暗になって、私の意識はそこで途絶えた。
―――クスクスクスクス
だけど、なんでだろう。
意識が途絶える直前、誰かの笑い声が聞こえた気がした。
なお、まだ続く模様
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