ループ③ー1
「私、祥真のことが好きなの」
言い終えた瞬間、私の心臓は飛び跳ねていた。
比喩じゃなく、バクンバクンと音を立てているのがわかる。
咄嗟に俯いて顔を隠したのは、赤くなった顔を彼に見られたくなかったからだ。
(言っちゃった…)
ついに私は言えたんだ。
ずっと好きだった幼馴染に、ようやく告白できた。
(やった…やったんだ私…!)
嬉しさから思わず拳をギュッと握るも、手のひらがやたら汗ばんでいてなんだかちょっと気持ち悪い。
(やっぱり私、緊張してるんだな)
当たり前といえば当たり前。
自分から告白する日がくるだなんて、考えたこともなかったもの。
これまで散々告白されてきたけど、自分からしたことなんて一度もなかった。
こういうことをするのは男の子のほうからっていう考えが私の中にはずっとあったのだ。
私はこれでも、自分が可愛いという自覚がある。
昔から色んな人に可愛い可愛いと言われてきたし、それは今でも変わらない。
男子の間で一番の美少女は誰かって話題になると、いつも私の名前が真っ先に挙げられてるのは知ってたし、去年行われた文化祭でも、立候補したわけでもない私が余裕で優勝。
それくらい私の容姿は飛び抜けているのだ。
クラスメイトはおろか、学校を見渡したって、私以上の容姿の持ち主なんて絶対いないと言い切れる。
そんな私が自分から告白?そんなの絶対ありえない。
私はされる側の人間なんだ。だから選ばれるのだって当たり前。
とはいえ選ぶのはいいけれど、告白はして欲しくはない。断るのは面倒だ。
向こうが勝手にしてくるのはいいけれど、私の時間を煩わせるようなことはやめてほしい。
これも当たり前のことなんだけど、私にはずっと好きな人がいて、祥真一筋だったから、他のどうでもいい他人と付き合うとかいう選択肢は、最初から存在していないのだ。
(だって祥真、こんなに格好良いんだもん…)
こっそりと上目遣いに、祥真を見ると、なにやら呆然とした目で私を見ていた。
なにを考えているのか分からないけど、それでも彼の顔はやっぱり非常に整っている。
そんじょそこらの芸能人やアイドルなんかじゃ、逆立ちしたって祥真に勝つことはできないだろう。
それくらい圧倒的な造形美を、私の幼馴染は放っていた。
(やっぱり祥真だよ。私に釣り合う男の子なんて、祥真しかいないもん)
顔なんて関係なしに昔から優しくて祥真のことが好きだったけど、それでもやっぱり付き合う男子は格好良いほうが断然いい。
周りにだってたくさん自慢できるし、見せつけることができるは抗いがたい魅力がある。
私と並びあったら、きっとさぞかし映えることだろう。
傍から見た私達は、理想の美男美女カップルそのものだ。
SNSに乗ったら、瞬く間に評価されるに違いなかった。
(祥真…)
だから、ねぇ。答えて。
私のことを、好きって言って。
(祥真…!)
そして私を慰めてよ。
僕が死ぬはずない、ずっと水希のそばにいるって、そう言ってよ。
「水希…」
そんな私の願いに応えるかのように、祥真がゆっくり口を開いていく。
私はそれをじっと見つめながら、背中に伝う汗を感触を感じていた。
最近タイムリープものが流行っているようなので久々更新




