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第19話「あいつはいまぁす!」(追放サイド)

「あー……畜生!」


 バリバリと頭をかきむしるカッシュに、

 ボロボロの格好になったカッシュ達4人。


 彼らはやつれた表情で王都をうろついていた。

「ゲイルの野郎! 見つけたらただじゃおかねぇ!!」

 毒づくカッシュには現状の打開策などあろうはずもなく、今はゲイルに対する逆恨みのようなもので動いているのみ。


「ねー。どーすんのよこれからー」

「あ゛!? どーするだと?!」


 噛みつかんばかりにメリッサをにらむカッシュ。

「まぁまぁ……落ち着いてください、二人とも」

 メリッサを睨むカッシュを諫めるのは同じくボロボロの恰好のノーリスだ。


「やかましい!」

「私は落ち着いてるわよー」


 そこに、

「いや、まぁ……メリッサの言う通りだぜ? どーすんだよ、カッシュさんよー」

 やつれ、ひげだらけになったルークがやもすればトゲのたちそうな言い方をする。


「チッ! どいつもこいつも! 決まってるだろうが!!」


 はー……まただ。


 カッシュをのぞくパーティメンバーがゲンナリとする。


「──ゲイルの野郎を見つけてボッコボコにして、俺っちにかけた呪いを解かせる!!」


 そう息巻いた。


「いや……。しかしですねー」

 ノーリスはどういったものかと頭を悩ませる。

 実際、最初はノーリスもゲイルによる呪いが原因だと考えていたのだ。

 それがゆえに、解呪を試みようとして装備を売り払って教会に駆け込んだ。



 すると────。


  「呪われてませんよ?」


 と、すげなく神官に告げられてしまったのだ。

 それどころか、


  「いやー綺麗さっぱりですね。呪いの痕跡もありません」


 そういってニコニコと笑い。敬虔な信者の鏡ともいえるといい、カッシュ達に祝福までしてくれた。

 ……お金は取られたけど。


 ──結局、詳しく話を聞いてみれば、確かに呪いの痕跡はあったらしい。

 しかも、かなり強力な呪いであり、効果こそ知らないが、よくそれで今まで無事だったと逆に心配されたのだ。

 聞けば、モーラが加入し、ゲイルを追い出したあの日を境にカッシュ達は呪いとは無縁のキレイ(教会曰く)な状態になったんだとか……。


「──ということがあったじゃないですか。つまり、今の我々の状態は……」


 ノーリスは顔を歪めるも、事実を見つめなければならない。


「……元からこの程度の実力だったのですよ」

「な!! そ、そんなわけあるか!」


 カッシュは認めない。

 史上最速クラスでSランクに到達したとギルドで言われたばかりなのだ。


 簡単に認めるわけには行かないのだろう。


 ノーリスだって本音では認めたくない。

 まさか、自分が並程度の魔術師だったなんて……。


 いや、並以下かもしれない。

 高速詠唱もできず、魔力の量もさほどではない。しかも、高位の魔術はどれも発動すらしてくれなくなってしまった。


 今はせいぜい下級魔法がいくつか使えるだけ……。


「いいから、もっと目を皿にしてゲイルを探せッ! アイツさえ見つければ……!」


 ギラギラと目を充血させながらカッシュはゲイルを探せと言う。

 カッシュ曰く、クズ同然のゲイルは困窮して乞食同然の生活をしているはずだと──……。


 だから、王都の表通りよりも裏路地を探したほうが見つかるというのだが……。


「ち……やってらんねーぜ。俺っちはそろそろ抜けさせてもらうぜ」


 ルークはいい加減うんざりと言った様子だ。

 解呪費用と日々の生活のため、装備の大半を売り払ってしまったため、乞食同然の恰好をしているので、むしろ裏路地にむいている。


「なんだと! おい! そんな勝手が────」


 ガシリとルークの首根っこを掴んだ時にはルークは路地から抜け出していた。

 しかし、そこで何かを見つけたのか硬直し、カッシュに猫のように吊られるに任せていたが────。


「お! どうしたどうした? ルークよー。もう諦めたのか?」

「……………………諦めなくてよかったかも」


「は?!」


 そういって、ぶら下げられたままクルリとカッシュに振り向く。


「……何言ってんだオメェ」

「へへ。見ろよ、カッシュ。…………あれあれ」


 ニヤリと笑うルークが指さす先。

 王都の表通りの目立つ所にデカデカと張られたお触れの紙。



「あん? あれがどうかし──────なッ?!」



 目を細めてお触れを確認していたカッシュが目をクワッ!! と見開く。

 そして、ルークを放り捨てると、表通りに行き、そのお触れをビリリと剥がして穴が開くほど見つめる。



「な、なにかしら?」

「さ、さぁ……どうやら、よほど重要なことが書かれているみたいですが──」


 首をかしげるメリッサとノーリスに、ルークが笑いながら言う。


「へへ。カッシュの言うこともあながち間違いではなかったかもだぜ?」

「「はぁ?」」


 ますますわからない。


「──つまりよぉ……」

「くくく。そうとも────どうやら、俺たちに運が向いてきたようだ」


 バンッ!!


 ノーリス達にもよく見えるようにお触れの紙を見せつける。


 それは似顔をドデカク描き、人物の特徴を書いたモノで────……。

 王国の重鎮が直々にとある人物を捜索しているという「お触れ」であった。



 そう。

 その人物こそ──────……!




「こ、ここここ……」

 驚きすぎて鶏のようになるメリッサ。

「ま、まままま……」

 理解が追いつかないせいか、ママを求めるノーリス。


「こ、これって、」

「ま、まさか、」




「「「「ゲイルがお尋ね者になっとるぅぅうう!!」」」」




 バァン────……!(デッカイゲイルの似顔絵に、


 『発 王国府、


  この者を捜索中。

  生死問わず──……。


  王国府に連れてきたものには褒賞あり。


  また、有力な情報を持ってきたものにも金一封なり。


  情報求む

  もし本人が確認したならば速やかに王国府に名乗り出ること。


  王国府、最高責任者──グルマン・ド・グルカン4世────』


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