カミングアウト
ある時、祖父が優しく語り掛けてきた
祖父「ポーラや、おぬしが話す内容はどこで覚えたんだね?
ここにある本には載っていないようなことも話してくれるんじゃが、不思議でのぉ。
あと、魔力がわかるんだね?この前、わしに何かしたのかい?」
私「御爺様。ごめんなさい。分かったんですね」
少し考えたが、正直にカミングアウトすることにした。
「御爺様、私は前世の記憶をもって生まれました・・・」
転生した時のことや、発動したスキルのことスキルで分かったことも全て祖父に語ったのだった。
祖父「なんとそんなことが!?しかし、そうとしか・・・。そうか、話してくれてありがとうの」
そう言いながら優しく抱きしめてくれた。
私もそっと抱きしめ返した。
祖父「しかし、男子の心をもったまま女子として生きていくのは、いささか不憫なきもするの。神よ、いたずらが過ぎますと祈り始めた」
私「御爺様、大丈夫です。結婚する気はないですし、この体でできることを少しずつ始めているこの瞬間に幸せすら感じています」
祖父「そうか・・・まずは夕飯の時に皆にこのことを伝えてもよいかの?」
私「はい。大丈夫です」
夕飯のあと、片付けが済んだリビングには家族だけの場が設けられ、執事とメイドはみな自室に待機しすることになった。
皆が祖父を注目している。
祖父の口が重々しく開きはじめ、私が伝えたことを家族に語っていった。
この話は家族だけの秘密にしようと話しは終わり。
自室に立ち上がろうとしたとき、一人声をあげた者がいた。
祖母のホーリだ。
祖母「話は分かりました。秘密は必ず守らねばなりませんね。
しかしシャルル家の長女として生まれたからには、淑女としての立ち振る舞いもしっかりしていただかなければいけません。前世の心のまま、男子のように振る舞うことは許しません。またシャルル家として、長女が結婚しないなんてことはあり得ない事です。このことも頭に入れておいてくださいね」
祖父「ホーリや、今からその様なことを言わなくてもよいではないか」
祖母「いえ、今から始めないと以前の記憶があるのでしたら、なおさらです。遅いくらいです。しっかり淑女として立ち振る舞えるように仕込みます」
とうとう、来たな。貴族に生まれたと知ったときから、覚悟していた。
私「そうですね、前世の私は死にました。そして私は新たに、シャルル家の長女としてこの世界に生を受けました。
シャルル家のためにも恥とならないような振る舞いができるようになる事は必要なことだと考えております。御婆様、ご指導宜しくお願いいたします。
ただ、結婚については、今はとても考えることができない状態ですので色んな可能性を検討、模索をさせていただけますようにお願いいたします。」
祖母「そうですね。あなたの結婚については追々みんなとも考えます。今のところはこれで。」
と厳しい表情のままリビングを足早に出て行った。
祖父「ポーラや、ホーリにも考えがあってあんなことを言っているんじゃろう。ただ、これだけは言わせておくれ。わしらは絶対的にお前の味方じゃ。なにがあろうとな」
私「御爺様」
父と母「ポーラごめんなさい(すまんな)」と悲しい表情を浮かべながら言った。
私「お父様、お母様、私は大丈夫ですので、悲しまないでください。」
母「辛くなったら、ちゃんと言ってね。」
父「あ~あ~なんだ、今度前世の時の話でも聞かせてくれ」
おやじよ!!いまそんなことを(笑)
私「はい。ありがとうございます」
自室のベッドの上で、身の上を分かってくれる者ができたからか、なんだか心がスッキリした気がしていた。
しかし、あれだな。
貴族は面倒だな。結婚とか無理だろう!
男とあんなことやこんなことを・・・!?うわ~!うが~!無理だ~!
考えない考えない・・・す~は~す~は~・・・無の境地、無の境地・・・。
す~・・・は~・・・す~・・・・・・は~・・・・・・z・・・・・・・z。
・・zz
答「スキル:無の境地が発動しました」
なんだ・・・まあ・・・明日にでも・・・確認しよう・・・zzz
翌日
~NEWスキル照会~
・無の境地:呼吸法と瞑想により精神を安定させる。精神状態異常耐性が強化されます。
スキル様?精神力で乗り切れと?クッ・・・