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今から1ヶ月くらい前のことだったと思う。

twitter の右側の、「いまどうしてる?」の欄に、

こういう見出しがあった。


《読書感想文って必要なくない?》


そこをクリックして読んでみた。

その、読書感想文いらない説をツイートした人は、

どうやら、どこかの学校の現役の国語教員みたいで、

主張内容は、簡単に書くと、

読書感想文で無理やり本を読ませられ、無理やり感想文を書かせることで、

日本人の読書嫌いと作文嫌いが助長されている、だから必要ないのでは?・・・ということだった。


私は、

それを読んで、こう思った。


読書感想文を学校の課題から単純に無くすだけだと、

読書をする人が、かなり減るだろうなぁ・・・と。


個人的には、

子供たちに読書感想文を課すことの、一番の目的は、

自分自身で選んだ本を最後まで読むという経験を、半強制的にさせて、

読書がどういうものか、身をもって知ってもらうこと・・・だと思ってる。

感想文を書かせるのは、

その本を子供たちが読み切ったことを、先生が確認するための手段というのが主目的であり、

本の中で作者が言いたかったことを読み解いたり、

それについて何か感想を持って、文章で説明できるようにしたり・・・というのは、

オマケに過ぎない・・・と思ってる。

要するに、

子供たちがちゃんと本を読んだことを、先生側が確認する手段が他にあれば、

感想文をわざわざ書かせる必要も、それほどには無いと思ってる。


最近では、

家に1冊も本(漫画じゃなくて)が置いてない家庭も、珍しくないと聞く。

学校から読書感想文の課題が無くなると、

本を1冊も読み切ることなく、大人になる子供が多くなると思う。

そうした人が、

じゃあ、大人になってから本を読むようになるか・・・と考えると、

多分、相当に厳しい。

自ら進んで読もうとはしないだろうし、

読み始めたとしても、多くの人は途中で投げ出すと思う。

読書という行為がどういうものか、どういった効果を読み手にもたらすのか、

それらを一切知ることなく、生涯を終える人が増えるだろうと思う。

読書感想文をやめれば、確かに読書嫌いは減るかもしれない。

でも、

読書をする人は、それ以上に減る。

私も、正直言って読書感想文は大嫌いだったけど、

あれで何回も本を読破してきたおかげで、

今現在、こうして定期的に本を読むようになったと思っている。

あと、作文嫌いについても、

特に問題ないと思う。

ネット環境が当たり前になってきて、

SNSやブログなど、文章を書くことが以前よりも遥かに身近になっている。

読書感想文を書くことは嫌い、でも文章を書くこと自体は好き・・・という子供が、

実は結構多いと思うし、

それに、

昔より今の子供たちの方が、

平均的には、上手に文章を書けているような気もする。


で、

さっき上で、「読書感想文を書くことは嫌い」と書いたけど、

その嫌いな人に共通する多くの理由は、

恐らく、これだと思う。


何を書いたら良いか、分からない。


私が、そうだった。

ただ、言っておきたいのは、

私の場合は、何も感想が無かった訳ではない。

どの本を読んだときも、それなりに感想はあった。

でも、書けなかった。

何故か。


ひとつめ。

それが、書くべき感想だと気付いていなかった。

例えば、

海辺の道を、自転車で風を切って走るシーンがあったとする。

それを読んで、

気持ち良さそうだなぁ・・・と、何となく感じたとする。

でも、

当時の私は、それを読書感想文には書かなかった。

わざと書かなかったわけではない。

そもそも、それを書くという発想が無かった。

学校の先生たちは、よく口頭で、

「思ったことや感じたことを書け」と言ってると思う。

でも、

その、思ったことや感じたことが実際にどれなのか、どの気分なのか、

それを全く分かっていない、かつての私のような子供たちは、きっと多いと思う。

自分の気分の変化に注意しながら本を読んで、

その気分が変化した箇所を、メモか何かで残すようにして、

それを元にして感想文を書くように教えれば、

子供たちも、割とスムーズに感想文を書けると思う。

あと、

本全体の感想を書かなければならない・・・と思ってる子供も多い気がする(私がそうだった)けど、

個人的には、

それは、後で考えれば良いことだと思う。

取り敢えず、場面ごとの感想を書いていって、

それらを、最後に改めてもう一度ざっと読んでみて、

綺麗にまとめられそうなら、そうすれば良いし、

ムリなら、

《面白かった》とか《勉強になった》とかで、強引にまとめたら良いと思う。

ウソの感想を頑張って捏造するよりかは、こっちの方がマシだと思う。



書けなかった理由のふたつめ。

正解の感想を書こうとしていた。

読書感想文で読んできた本の中には、

はっきり言って、

当時の私にとっては、つまらない本も多々あった。

ただ、それを正直に、

《つまらなかった》と言って、その理由を延々と書くと先生に怒られるし、

評価も低くなるだろうと思って、

それで書かなかった。

まず、

《面白かった》や《ためになった》という結論ありきで、感想を全て書こうとしていた。


個人的には、

感想文の最初から最後までを、《つまらなかった》という否定で埋めるのはダメだと思う。

でも、全部でなければ、

要するに、良かった部分を少しでも書いてあるのなら、

《つまらなかった》という感想もありだと思う。

どんなに評判の良い人であっても、その人のことを好きになれない人は必ずいる。

同様に、

どんなに評判の良い本であっても、その本を好きになれない人も必ずいる。

それは、好きになれない人が悪いわけではない。

そういう好みなんだから仕方ない。

自分に合わなかった本を無理やり全肯定するのは、却って良くないと思う。

つまらないと感じた部分とその理由、自分ならこう書く・・・というのをしっかり書いて、

それを読んだ先生も、

つまらないと感じたことは尊重し、あとは普通に評価すれば良いんじゃないかな・・・と思う。

私の場合は・・・だけど、

推薦図書を読んで、

これをそんなに面白いと思えない自分は、きっとダメな人間なんだろうなぁ・・・と思いつつ、

感想文を書いていた。

そういう風に自分の感覚を否定しがちな環境は、

やっぱり改善した方が良いんじゃないかなぁ・・・と思う。



で、

これらの、読書感想文を書けなかったふたつの理由を踏まえて、

読書感想文の代わりにレビューを書かせたら良いんじゃないかなぁ・・・と思う。

レビューを書かせるにあたり、守らせるルールは以下の3点。

・その本をオススメできる人と、オススメ出来ない人を書いて、

 それぞれの理由をきっちりと説明する。

・ネタバレがある場合は、冒頭にそれを記す。

・参考にしたレビューがあれば、それを別の紙に記す。


これなら、誰であっても割と書きやすいと思う。

本を読んだ感想は、レビューを書く中で自然と浮かび上がってくる。

自分がつまらないと思っても、

オススメできる人を書かせることで、良い点を考えさせることが出来るし、

他人はどう思うか、という客観性も育てることが出来る。

クラス全員のレビューをプリントに印刷し、それをみんなに回して読ませる・・・というのも、

それほど抵抗なく出来ると思う。

レビューって、

元々、多くの人に読んでもらうために書くものだし。

あとは、

その、みんなのレビューを読んで、興味のありそうな本を見付けて、

自分で読もうとする人も出てくるだろうし、

メリットは、結構多いと思う。

ただ、

「お前、ネットのレビューの丸写しじゃねーか」とか言って、

イジメの原因になることも考えられるので、

みんなに配るのは、少し慎重になった方が良いのかもしれない。



本を読まない人でも、立派な人はいくらでもいるので、

絶対に本を読んだ方が良い・・・とは言わない。

ただ、私の実感として、

本を読んでいて良かったなぁ・・・と感じる場面が多いので、

なるべく、読書を習慣化した方が良いんじゃないかなぁ・・・と思う。

あと、

本文に盛り込めなかったので、ここに書いておくけど、

先生たちには、本を読むのにかかった時間も評価して欲しいなぁ・・・と思う。

同じ一冊でも、人によって読む苦労の量は全然違う。

子供は、時間をより長く感じる傾向にあるので、特に。



それと、全く関係ない話だけど、

差別という言葉を「差蔑」と書き表すようにすれば、差別が減るんじゃないかなぁ・・・と思う。

差を(さげす)むという意味で。

それは人種差別だ、と書くより、それは人種差蔑だ、と書いた方が、

より意図が通じる気がするし、何が悪いかも表現できている気がする。

勿論、差別化などはそのままにして。

ニュアンス的に少々おかしい場面も出てきたり、あとは字が難しい・・・というデメリットもあるけど、

割と良いアイディアじゃないかなぁ・・・と思う。

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― 新着の感想 ―
[一言] 個人的には、読書感想文は必要ないけど、読書の機会は設けた方がいいと思います。 絵本でも小説でもいいので、とにかく夏休み中に五冊は読む。そういった宿題にしたら、子供たちも気軽に本を手に取れる…
[良い点] はじめまして。 大変面白く読ませていただきました。 読者の興味を引く文章、目に心地よいリズム、3部に分けた構成、あらゆる工夫がとても素晴らしく、またとても面白いものでした。 特に挿絵の件。…
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