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不思議なカレラ @仮完結 只今最終校正中につき“ ν ”が付いてる話しのみをお読み下さい  作者: 酸化酸素
3章 Standard-edition G's world

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ヌバタマノ ヨノフケユケバ ヒサキオフル キヨキカワラニ チドリシバナク ν

 それは蒼色(そうしょく)の巨人だった。蒼色の巨人が50体近く、雄叫びを上げながら少女に向かって来ていたのだ。



「大層な歓迎ね?でもま、シンモラよりは苦戦しないでしょッ。そんじゃここは1つ……やってやろうじゃんかぁぁぁぁぁッ」

「たあぁぁぁぁぁありゃあッ」


ざしゅッ

 しゅぱんッ

  ざんッ

   ざざざばッ


 少女は巨人の拳を躱し、空中で回転しながら一体目を斬り、斬った巨人を足場にすると勢いをつけて次の巨人へ斬り掛かっていく。

 連撃に続く連撃で、瞬く間に巨人達は少女の大剣(グレートソード)ディオルゲートの餌食になっていった。


 それでもまだ少女の眼前には蒼い草原が迫って来ている。少女はこれでもかと複数体の巨人を斬り伏せ、乱舞し無双していく。

 次々に仲間が倒されていく現状であっても、巨人達は恐れを知らずに向かって来ていたのだった。

 しかしこの地で戦闘が始まり、数が減った凍巨人族(フリームスルシア)達の勢いが徐々に消え掛けた頃、少女の視界の端っこに無数の氷の槍が映り込み、こっちを狙っているのが見えたのだ。



「ちょッ?!仲間ごとアタシを狙う気なの?」

黒宙石(アダマス)()真絶神盾(アイギス)完全魔術防御(マジックキャンセラー)の力、甘くみるんじゃないわよッ!」

「でやあぁぁぁぁぁあぁぁ!」


 少女の前方に盾の円環(えんかん)が展開されていく。少女は展開した盾に全ての防御を任せて、眼前に迫る氷の槍目掛けて疾走(はし)っていくのだった。



ひゅんひゅひゅひゅんッ

ぎんッ、がぎんッがががッ


ちゅんッきぃんッががぎんッ


「とは言っても多勢に無勢ね。こうなったらしゃーない!女は度胸!()()()()()()()()()()()わッ!」

爆裂炎槍(フレア・ランス)爆裂炎弾(フレアボム)業炎円陣(フレイムサークル)


 少女に向かって来る氷の槍は盾に拠って阻まれ、少女には届かない。然しながらその完全魔術防御(マジックキャンセラー)と言えども、全方位を守ってくれているワケではない。

 だからこそ打てる対策は多少のキズを負う事になっても打つ必要があった。


 少女が放った火属性魔術は氷属性の槍と触れ合う事で斥力を発生させる。発生した斥力は随所で大小様々な爆発を起こし、爆風と熱風が少女の肌をジリジリと焼いていた。


 しかしその甲斐あって、向かって来ている氷の槍は明らかに減っていき、爆発に拠って発生した煙幕は凍巨人族(フリームスルシア)から更なる追撃を遅らせる事にも繋がった。

 こうして少女はその煙幕の中を駆け抜け、氷の槍を放っていた凍巨人族(フリームスルシア)達に速攻を仕掛ける事に成功したのである。




「ほう?あれが、主の話していた「敵」か?」


「父上、如何が致しますか?」


「親父殿の手をわざわざ煩わせる訳にはいかない。ここは我ら兄弟が!」


 フォルニョートは城壁の上から少女を見ていた。その横にはカーリとロギの姿がある。


 余談ながら、「ウトガルザ」の城壁は幻術の効果に因って、侵入しようとする者には天を()くような高さに見える。しかし城壁から離れたり、一度中に入ってしまえば、幻術の効果は失くなりそこまで高いと言う事はなく、普通の高さになる。

 要するに普通の城壁でしかない。



「カーリ、ロギ、お前達は城壁の上から凍巨人族(フリームスルシア)達の援護をしてやれ。アイツらじゃ、全然歯が立つ気配がないからな」


「畏まりました、父上」


「しかし親父殿はどうするつもりだ?」


「見ておけ、ロギ。ワシはヤツの後ろから、凍巨人族(フリームスルシア)達と挟撃じゃあ!」


 フォルニョートは城壁の上から飛び降りていった。目標は少女の背後であり、少女は上空から誰かが降ってくるとは思ってもいなかったのだった。



どぉんッ


「うぇあ?えっ?大砲?誰かがぶっ放してるっていうの?」

「違う。このデバイスの反応。アタシの背後に敵がいる。敵が上から降ってきたってコト?ええぃ、鬱陶(うっとお)しいわねッ!」


ざしゅッ


「アタシが考え事してる時はザコは大人しくしてなさいよッ!」


“ここは戦場なのだぞ?それは無理と言うものだ”


「そんなの分かってるわよッ」


ざじゅぱんッ


“後ろに現れたのがこっちに来るぞ”


 少女は完全に乱戦の中にいた。一対多数の乱戦であり、考えるよりも早く手を動かさなければ、次から次へと襲ってくる攻撃を捌き切れない。

 それでいても()()()()()()と言う事はやはり相手が強敵とは言えないからだろう。


 少女は状況をいち早く確認し、自身に迫って来ている巨人に刃を立てる。氷の槍を盾の配置を変えて弾きその槍すらも有効活用した挙句に、背後に突如として降って湧いた敵とも刃を交えると言う、獅子奮迅の活躍振りで大立ち回りを演じていた。



ガキンッ


「中々に、強い「をなご」だなッ!だが、これ以上はやらせん。我が斧の錆にしてくれる」


「いい加減、アタシは「ロキ」と話しをしたいんだけど?えっと、今は「ウトガルザ」だっけ?そいつを出してくれないかしら?」


ギリリギリッ


 少女はフォルニョートと「鍔迫り合い」と言う名の力比べをしている。2人の行き場の無い力の波動は周囲にだだ漏れていき、衝撃波を巻き起こしそれによって凍巨人族(フリームスルシア)は近付けない様子だ。



「そう言われて、主をホイホイと差し出すワケにはイカンだろッ!ふんッ」


「おわあぁ。なんてバカ力なの」


 力比べはフォルニョートが勝った。少女は斬撃こそ貰わなかったものの、地面の上を「ずざざざざざッ」と滑らされてしまい、体勢を崩される事になった。そこにすかさず、氷の槍が降り注いで来る。

 更に上空からは先程までは見られなかった真空刃(しんくうば)と、炎の塊が向かって来ているのが見えていた。



「デバイスオン、シールドメイデン!持ち堪えてよ、お願いだから!」


どどどどどどどどッ


「うはは、やれやれい、もっとやれいッ!それじゃ、ワシも手心を加えてやるか!ん?それだと手加減してやる事になるか?まぁ、いいわい、どっちにしろワシも加わるだけだッ」


 フォルニョートは高笑いをしながらも、自身の掌に岩の塊を生み出すと少女へと向かって投げ付けていく。こうして、土、火、風、氷の四属性による絶え間無い攻撃が少女に向かって繰り広げられていったのだった。



「絶え間が無さ過ぎる。魔石を使いたいけど、デバイスはシールド展開で使っちゃっているから、えぇいもうッ!やったろうじゃんかッ」


硬盾構(クライペウス・ア)える大(ウレウス・スクゥ)地の盾兵(トゥム・マイルズ)・24(ミリテス)×2(マルチプライツー)


光弾放(ルクス・バレッ)つ光の(ト・アパラトゥ)機関銃兵(スガンヌ・マイルズ)・12(ミリテス)×4(マルチプライフォー)


 少女が先ず呼び出したのは武力を持たない盾兵であり、これはその次に呼び出した機関銃兵を守る役目だけを与えられた、文字通り「盾」である。

 盾兵は素早く方円陣を敷くと盾と盾の間に機関銃兵達が収まっていき、そして余った機関銃兵達はそのまま陣の中央に座して対空用に配置されたのだった。



ちゅんちちゅんちちちゅん

 ちちちちゅんちちちちちゅん

  ちちちちちちゅんちちちちちちちゅんッ



 機関銃兵が地面を除く全方位に向けて光弾を放っていた。更に少女は先程、上空から降ってきた辺りに対して、牽制の意味も込めて魔術を幾つか投げていく。


 機関銃兵の無慈悲の弾丸は機械的に流れるルーティンワークのように、そうなるのが然も当前とでも言うように様々なモノを穿(うが)っていく。それは壁であろうが敵であろうが、有効射程1500m以内に対して等しく与えられた終焉だった。

 各兵に与えられた2000発もの魔力弾はものの数分で撃ち尽くされ、機関銃兵達が役目を終えた時には、少女に対する攻撃はほぼ皆無になっていた。


 こうして全弾撃ち終えた機関銃兵が余韻を残して消え去り、その機関銃兵を守る為だけに(あらわ)れた盾兵も余韻を残して崩れていく。


 少女は敵の攻撃が止んだ事でやっとデバイスのシールドメイデンを解く事が出来た。

 そして次の手に出る為にベルゼブブの魔石を剣に宿し、その姿を変えていくのであった。



「この状態なら、死角が無いからどっからでも掛かってらっしゃい……なんだけど、さっきの銃撃で殲滅されちゃった……なんて事は無いわよね?」

「えっと、うん。まだ、光点はあるから、生き残りはいるみたいね?」


「がぁああぁぁぁぁああぁ」


「取り敢えず、いちッ」


ざしゅッ


「続いて、にッ。爆裂炎槍(フレア・ランス)


 少女は雄叫びと共に向かって来た凍巨人族(フリームスルシア)を斬り、遠くから氷の槍を放とうとしている凍巨人族(フリームスルシア)に向かって魔術を放つ。


 背後から迫るフォルニョートの斧を自分の目で見る事なく避け、上から降ってくる真空刃に愛剣の焔撃(えんげき)を放ち相殺(そうさい)していく。

 そして降って来る炎の塊には、今斬り倒したばかりの凍巨人族(フリームスルシア)を蹴り上げ、炎の塊に対する「壁」とした。

 「じゅッ」と音が響き、肉の焼ける臭いが辺りに充満していく。


 少女の流れる一連の動きにフォルニョートは為す術なく、躱された斧で大地を斬り裂きながらも呆然とする事しか出来ないでいた。



「ば、化け物めッ」


「まったく失礼ね?この姿になりたくてなってるワケないじゃないッ!ふんすっ」

「見た目が化け物なこんな姿、乙女なアタシが好き好んでなりたい形態(フォーム)じゃないんだからねッ!」


「…………」


 少女はフォルニョートの呟きに反応した。しかしまぁツッコミどころ満載で見当違いも甚だしいが、そこはツッコまないであげてやって欲しい。



「カーリ、ロギ、主に伝えろ、ここはもう保たん。最後に一太刀、せめて一太刀浴びせられればいい方だと」


「へぇ、覚悟を決めたのね?じゃあいいわ、掛かって来なさい。城壁の上の2人の前にアナタから決着を付けてあげるッ!」


「武人として、誇りある死をッ」

「いざ、参るッ!」


 フォルニョートは速攻を仕掛け、少女に向けて斧を振り下ろしていく。渾身の力を込めた斬撃を少女に喰らわすために。せめて一太刀浴びせるために。

 そして、誇りある武人としての一騎打ちを全うするために。


 その一方で、少女は視ていた。死角がない視界でフォルニョートの行動を包み隠さず見定めていた。


 斯くして、放たれる一閃。


 フォルニョートの斧が完全に振り下ろされる前に、フォルニョートの頭と身体は泣き別れていったのだった。



「ば……け……、も……の」


「父上ーーーッ」 / 「親父殿ーーーッ」


「子供の見ている前であっても、誇りある武人としての死を求めた不器用なアンタは嫌いじゃないわ。でもそれにしてもホント、失礼しちゃうわね。バケモノだなんてッ!アタシはこんなに可愛くてピュアな乙女なのにッ!」


 少女はフォルニョートを一瞥して空へと舞っていった。城壁にいたフォルニョートの息子達の反応は既にない。父親の死を伝えにいったのかもしれない。

 今なら城壁に近付いても危険はないかもしれないが、念には念を入れてベルゼブブの姿のまま近付いていく事にした。



「恐らく、この城壁は幻術かしらね?それなら強引にでも突破するんだけど」

「でも、なんかありそうなのよねぇ。幻術だけだと思わせといてホイホイみたいな?」

「じゃあ、試しに。デバイスオン、ガンモード」


ばしゅうッ


 少女は相手が「ロキ」であれば、単純な幻術だけで守りを疎かにするワケがないと確信していた。

 拠って、デバイスから魔力弾を放ってみたのだが、放たれた魔力弾は案の定、城壁に当たる前に「バチッ」と音を立て霧散したのだ。



「城壁は幻術。でも、それ以上に結界が張ってあるのは厄介ね。この中に不用意に突っ込めば……ちょっと考えたくない……かな」

「ま、せっかくこの姿になってるんだから、ちゃちゃちゃっと破って、とっとと中に入っちゃいましょッ」


「我が内に在りし暴食の力よ。その力の一翼を持ちて、全ての事象を喰らい尽くせ!暴食召喚(ベルゼビュート)悪食暴風(グラトニー)!」


 少女の詠唱に拠って力が一点に収束していく。そして少女の掌から放たれた黒い竜巻は、城壁に向かって凶暴な牙を突き立てていった。



ばぢばぢばぢばち


「ふぅん、結構強力な結界なんだ?それじゃ、もうちょっと出力を上げてっと」


ばぢばぢばぢばぢばぢばぢ


 結界は必死の抵抗をした。結界は襲ってくる黒い竜巻の牙に対して、不協和音を発しながらも(あらが)っていたのだが、臨界点を超えた段階で「ぱりいぃぃぃぃいん」と音を立て崩れ去っていった。

 結界を喰らい尽くした黒い竜巻は城壁と言う名の幻術すらも喰い破り、城壁に大穴を開けていく。

 少女はその大穴にすかさず飛び込んでいき、無事に入城を果たしたのであった。




 陽の光は完全に落ちる寸前で、空は紫色のマジックアワーを終えようとしている。夜の帳がもう顔を半分覗かせている頃合いだから、潜入するにはいい頃合いと言える。

 まぁ、これだけ大音量で暴れまわった後だから、潜入も何もないのだが、気分だけはスパイのようにひっそりと潜入したい気分だった。

 大立ち回りをした結果、それくらい疲れていたとも言い変えられるし、大分オドを消費していた感もある。



 これから外は夜に向かう道中にある。城の中が暗いとは思えないが、夜目(よめ)が利く者から襲われなければ城内への侵入は容易だろう。

 少なからず少女はバイザーを使う事で夜目が利くし、ベルゼブブの形態(フォーム)であれば狙われたとて死角はない。

 今は少女にとって優位性(アドバンテージ)が最も(もたら)されている状況下であり、絶好の好機(チャンス)であると言えるだろう。



 少女は城壁を越え空から眼下に広がる「ウトガルザ」の街を見下ろしていった。

 そしてその中心にそびえ立つ城に向かって空を駆けていく。



「さぁ、鬼が出るか(じゃ)が出るか。アタシにケンカを吹っ掛けたコトを必ず後悔させてやるんだからッ!首を洗って待ってなさいよねッ」


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