話しと宝と決断とルミネ ν
「アルレおねぃちゃん!」
「よく頑張ったわね、アリア」
「そうだ!ルミネ、こっちに入って来れるかしら?」
しゅうんっ
「アルレさま?どうされましたの?」
「ミルフおねぇちゃん!凄い。凄い凄いッ!」
「アリアさん、よく頑張りましたわね。ところでアルレさま?」
「うん、ルミネって回復魔術使えたわよね?2人がケガをしてるみたいだから、治療をお願い出来るかしら?」
「そんな事で宜しければ、お安い御用ですわ」
アリアは喜びに満ちた声を上げていた。
母親は目隠しのせいで何がなんだかサッパリだったが、アリアの喜んでいる声が聞こえて来たから、無事なコトを知ってほっとしていた。少女はそんなアリアと母親の拘束を解いていく。
そして、その場にいた少女とルミネの姿を見ると驚いていた。
「あら?貴女達は昼間の?」
「どこか痛みますかしら?遠慮なく仰って頂けると助かりますわ」
「い、いえ、私は大丈夫です。それよりもアリアは?アリアはどこもケガをしていませんかっ?!」
「アリアさんなら、とっくに治療は終わってますわよ」
「それなら、良かった。うっうっ、本当に本当に……」
少女はルミネが「治療」を行っている間に公安に連絡を取り、依頼の完結と犯人の捕縛を伝えていた。
少女の報告の後、公安から連絡を受け取ったサポーター達はスグに家の中へと押し掛けて来た。こうして3人の狼人族は引き取られ、家の中にはアリア母娘と少女とルミネの4人が残ったのだった。
「助けて頂いて、本当に、本当に有難う御座いました」
「お2人が無事だった事が何よりです。それに、そんな畏まらなくて大丈夫ですから、頭を上げてください」
少女は母親に対して優しく声を掛け、肩にそっと手を置いた。すると母親は涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら顔を上げて少女の顔を見ていた。
少女はそんな母親に対して微笑んだだけだったが、少女のそほ微笑みの裏にはどこか、遣る瀬無い思いが込められていた。
「アリアさんのお母様に大事なお話しがあります」
きょとん
「大事な話し?一体なんでしょう?」
「先程、アリアさんは水の精霊と幸か不幸か契約を交わしてしまいました。それは偏にお母様の事を犯人が狙い、それから守りたい一心だったと思われます。だから、その事は責めないであげて下さい」
「は、はぁ?」
「だからその結果、これからアリアさんを取り巻く環境は確実に変わっていきます」
「えっと、それは一体どういう事なのでしょうか?」
少女の話している内容を母親は理解していない、いや、理解出来なかった。しかし少女はそんな母親の反応を気に留める事なくアリアを見ていた。
そんな少女の視線の先にあるアリアの表情は希望に満ちたものだった。
一方で母親の反応はその通りと言えばその通りなのだ。だから特段におかしい反応ではない。
ハンターと関わる事など今までの生涯に一度も無く、娘の為だけに生き、仕事しかしてこなかったからだ。だから、そんな予備知識など持っているハズがない。
「娘には寂しい思いをさせている」
それ故にそれだけが唯一の気掛かりであり、そして、願うのは娘の幸せのみだった。しかしながら一方で、母親は娘が何を考えていたのかを知らないし、保護されたと思ったあの川原で、娘が何をしていたのかも知る由がなかった。
そしてアリアも母親を心配にさせまいと、魔術が使えるコトを話していなかった。いや、違う。そうではなくて…、襲われた結果、話す時間が無かった。
「精霊と契約を交わしたと言う事は大変珍しい事なのです。そして、アリアさんはまだ若く、その珍しい「力」を正しい方向に導いて行かなければなりません」
「ちゃんと導いていかなければ、時に力の暴走を巻き起こしたり、良からぬ事を企てる者がその力を悪用するべく近寄って来る事も考えられます」
「えっ?!そんな、アリアが?」
「ですが、水の精霊と契約したアリアさんはこの国の「宝」とも言えます。だから、公安で保護したいとアタシは考えています。事の詳細はこの国の元首と話し合って決めますが、決して悪いようにするつもりはありません」
「そんな、急に!アリアはまだ13歳なんですよ?」
少女の投げる言の葉は母親の事をとても心配させていた。何故ならば、大切な娘が「危険に晒されるのではないか」と考えたからだ。
だがそれは子の事を第一に考える親ならば当然と言えるだろう。だからその想いを否定する事は出来ない。
しかし少女は母親が言った「13歳なんだから」という言葉に自分を重ねてしまい言葉が詰まった。
一方で母親のその意図は理解していた。
「アリアさんは……」
「お母さん、わたしね、ハンターになりたいのッ!お母さんが凄く苦労して一生懸命働いてくれているから、少しでもラクをさせてあげたいのッ!」
「だから、わたしが魔術を使えるなら、その力でお母さんをラクさせてあげたいし、さっきみたいに悪い人が来ても追い払えるようになりたいッ!」
「アリアっ!!うっ」 / 「アリア……」 / 「アリアさん……」
アリアは母親に対して精一杯の想いの丈を一生懸命、言の葉に乗せて紡いだ。
その紡がれた言の葉は母親の心を揺らしていった。
だからこそ母親の口からは娘の名前しか出て来なかった。だが、その目からは物言えぬ口とは裏腹に、大粒の涙を溢していた。
それは言葉にするよりも多くの事を物語っていたのだった。
「娘の事を…宜しくお願いします」
「有難う御座います。そうしたら、元首と話しをして、今後の方針を決めようと思います。後日、話が纏まった段階で公安から使いの者が来る事になると思いますから、それまでは普通に生活を送っていて下さい」
「アルレおねぃちゃん、ありがとう」
少女はどこか「ほっ」とした気持ちになっていた。
これでこの母娘は「今以上に苦しまず少しはラクになるのでは無いか?」と考えたからだ。
だから少女はその為に出来る限りのサポートをしようとも考えたのだった。
「あぁでも、念の為にアタシの使い魔を残していきます。魔獣ですが使い魔なので怖がらなくて平気です」
「だけど、魔獣はやっぱり怖いでしょうから見えないようにして、お2人を守らせるコトにしておきますね」
「「使い魔?」」
「アルレおねぃちゃん、見せて見せて!!」
「じゃあ、直ぐに見えないようにしちゃうから、少しだけね」
「デバイスオン、使い魔・ガルム」
わぉんっ / へっへっへっへっ
「ひっ!」 / 「凄い!凄い凄い凄い!!アルレおねぃちゃん凄い!!」
少女の言葉に従って2匹のガルムが姿を見せていた。
初めてみるガルムの姿に母親は恐怖を顔に浮かべていたが、アリアは恐怖よりも先に好奇心がやって来た様子で、はしゃいでいた。
「アナタ達、この2人を危険や災いから護りなさい。普段は2人の傍でアストラル体でいる事。何か起きた時は速やかに姿を現して対処しなさい。そして、アタシへの報告も忘れない事!」
あぉん / わん
すっ
「これで2人に1匹ずつ「お守り」が付いたから、安心して普通に日々の生活を過ごして下さい」
「ねぇ、アルレおねぃちゃん?」
「なぁに、アリア?」
「使い魔さん達のご飯はどうすればいい?」
「えっ?あははは。あぁ、うん、それは大丈夫よ。アリアは心配しないで」
「ガルム達は魔力がご飯だから、アタシと繋がってる以上、アタシから勝手に魔力を持っていってるの。だから気にしなくて平気よ。ありがとう、アリア」
「だから、お母様も気になさらないで下さいね。ただの「お守り」だと思ってくれていれば大丈夫ですから。でも、何かあった時はちゃんとご利益ありますからッ」
少女はガルムの事を「お守り」だと紹介すると、ウインクを投げていた。
母親は多少困惑していたが、目に見えなくなった事で怯えている様子は伺えなかった。
「それでは、後日、公安から使いが来ると思います。それまではくれぐれも、誰にも話さないで普通に生活をしていて下さいね」
「はい。分かりました」 / 「はーい」
「そうだアリア、いいかしら?」
「なぁに、アルレおねぃちゃん?」
「暫くの間は魔術のお勉強はしたら駄目よ。でも、もし、精霊が現れたら、たくさん「お話し」をして、仲良くなってね」
「うん、分かった。頑張って精霊さんと仲良くなる!」
そして、2人はアリア母娘の家をあとにした。アリア母娘は玄関先で少女達を見送ってくれていた。
「精霊と契約なさるなんて、アリアは凄いですわね」
「それだけ「願い」が強かったって事なんじゃないかな?アリアは一生懸命だったし、願いが強ければ強い程、精霊は応えてくれるものなんでしょ?でも、本当に何とかなって良かったわ!」
「クスっ。えぇ、本当にそうですわね」
「そう言えばルミネの張った魔力糸にあの精霊は引っ掛からなかったの?」
「えぇ、引っ掛かりませんでしたわ。本来人間界にいる精霊種は引っ掛かりますけど、あれは全く違う存在ですわよ?」
「えっ?そうなの?」
「生態系上では、先程のも精霊種になるんでしょうけど、アレは完全にアストラル体の精霊ですわ。ですから種族的には生態系に組み込まれていない種族の可能性がありますわね」
「だから要するに、人間界に居を構えていない上位存在と言った方が伝わるのでわなくて?」
「え、それって、相当ヤバいんじゃないの?」
「やっぱり…。アルレさまでも分かっていらっしゃらなかったのですわね。はぁ」
「人間」と呼ばれる様々な種族が「人間界」で暮らすように、魔族には「魔界」、神族には「神界」がある。そして、精霊族が住む別の「世界」があるとルミネは暗に示していた。
人間界に人間として住む精霊種と精霊族は別モノなので、ルミネはそこを危惧させる言い方をした事になる。
それは完全に少女の落ち度だった。
しかし一方で少女の表情は「安堵」に染まっていた。その表情を見て、ルミネはもう一度だけ「クスっ」微笑っていたのだった。
「きっと大丈夫!うん、大丈夫に決まっている。だからアタシ達が全力でサポートするんだッ!」
少女は翌日、ルミネを伴ってマムの元を訪れていた。
「報告書は読ませて貰ったよ。精霊と契約した13歳の女の子か……」
「だが、まだハンター試験を受けられる年齢じゃあないね。アンタは一体何を考えているんだい?先ずはアンタの考えを聞こうじゃないかッ!」
「公安で保護出来無いかしら?アリアは水属性の精霊族と契約したわ。それは「回復魔術」を行使出来るようになるって事と同義よね?」
「精霊族…か、まぁ、確かにその通りだ。それは認める」
「だが、それでも問題はあるだろう?誰がその「アリア」に力の使い方を教えるって言うんだい?」
「精霊族との契約なんて、神奈川国には前例が無いんだ。そもそも世界中探したって、そんな前例を見付ける方が難しい」
「そして教えられる者がいないだろう?ただでさえ、この国には回復術士ですらいないってのに……」
「仮に教えられたとしても、この世界にいる精霊種とは勝手が違う。下手に力を暴走されれば、それこそ「さざめく災禍」や「空虚な災厄」クラスの被害を齎す可能性だってある」
マムのその表情は非常に険しかった。だがそれは、起こり得るかもしれない危険性を唱えているので、マムの言っている事は正論であり「その通り」と言う以外に言い換えようもない。
「アタシに考えがあるんだけど、いいかしら?」
「アンタがそう言う時は、たいてい良からぬ事を言いそうで気が進まないが…。まぁ良いだろう、聞くだけ聞いてやる!」
少女は口角を上げて何やらお得意の「悪っるい顔」をしていた。マムとしてはそれこそ課題が山積みで、その上危険性すら孕んでいるセンシティブな大問題に覚悟を決めないとならなかった。
だから非常にイヤそうな顔をしていた。
人間界に存在している精霊種は滅多にお目に掛かれる存在では無い。
その為に生態系も謎に包まれている部分が多く、分かっている事は非常に少ない。なので、その上位存在の精霊族ともなれば言わずもがなだ。
だが、それでも幾つかの「分かっている事」はある。
その中の一つに「精霊種は回復魔術を使える」というのがあるのだ。
遠い過去から続く歴史の中に精霊種と契約を結んだ者は存在している。そしてその結果、その者は「治癒魔術師」となって、その身が滅ぶまで国境を越えて人々を助ける「国境無き行脚」を行ったという「伝説」が、テルースの歴史の中に明確に残されている。
故に今回、アリアが精霊種の上位存在である精霊族と契約出来た事は、アリアが回復魔術を使えるようになる可能性が非常に高い事を示している。そしてそれは、回復術士系のハンターがいない神奈川国にとっては朗報となるのだった。
「ルミネをアリアの指導官にすればいいのよ!アリアがハンター試験を受けられる年齢になるまで、ルミネに鍛えて貰えばいいじゃない!ルミネは回復魔術を使えるから指導官にはもってこいでしょ?」
「それにルミネだったら、戦闘能力も高いからアリアを攫おうとする輩が来ても返り討ちに出来るし、精霊族が何か悪さをしようモンならアタシ達が全力でなんとかするわッ!」
「はあぁぁぁぁぁ」
「まぁ、アンタの事だから、そう来ると思っていたよ。だが、そもそもケルミネラはまだ試験が終わってないから正式なハンターじゃあない。よって公安が正式に採用したワケでもないんだ。そこんところは、どう考えているんだい?」
「うん、ルミネの見極めは終了でいいと思うよ?」
「はぁぁぁ。まったく、アンタってヤツは……」
当事者であるルミネは2人の遣り取りに対して、どっち付かずの表情をしていた。
それは本人の意思を無視した「蚊帳の外の状況だったから」と言うのは言うまでもないだろう。
「分かった!」
「それじゃあ、マムは……」
「お黙りッ!あたしゃこれから大事なコトを言う。だからこれから言う内容に、アンタは一切の口を挟むんじゃないよ?」
「ケルミネラ・ミルフォード・ブックビレッジ、いや、ルミナンテ・ウル・ルネサージュ!」
「「ッ!?」」
「アンタは人間界に、いつまでいられるんだい?少なくともアリアの指導が終わるまで人間界にいられるのかい?」
「ちょッ、マム!」
「お黙りッ!アンタは黙ってな!口を挟むなと言っただろッ!あたしゃ、ルミナンテと話してるんだッ!!」
「くっ」
マムが放った言の葉に、その場にいる2人は驚きを通り越し、驚愕の表情に変わっていた。
マムは何かを言い掛けた少女を鋭い眼光と強固な口調で牽制し、ルミネの解答を待つのだった。
「それでは正直に申し上げますわ。わたくしがいつまで人間界にいられるのかは、正直なところ「解かり兼ねます」としか申し上げられませんわね。ですが、1つ言える事は、人間界と「魔界」は今、簡単においそれと行き来出来る関係性では御座いませんの」
「ふんっ。それくらい知っているさ。だが、アンタは現にここにいるじゃないか?」
「えぇ、そうですわね。でもそれは、わたくしだから来れただけですわ」
「それ故に、もしも仮にお父様が、わたくしを連れ戻そうと画策したとしても、それを実行し得るだけの魔力が足りませんの。そして、それだけの魔力を集めるには数年は掛かると思いますわ」
「ふぅん、そぉかいそぉかい。それで、アンタはアリアを育てる気はあるのかい?」
「えぇ、望む所ですわね」
ルミネは真剣な面持ちで言の葉を紡ぎ、マムの眼光は徐々に緩んでいき最終的には完全に綻んでいた。
少女は話の流れからは完全に置いて行かれていたが、流れが自分の望む方向に向かっている事を理解していたので、釘を刺された通りに黙っている事にしたのだった。
アリアを神奈川国で保護する事は、こうして決まった。
少女はアリア母娘の生活の現状をマムに伝え、「何とかならないか?」と打診したが、マムは「調べた上で可能な限り対処する」とだけ話していた。
「「マム」とは一体何者ですの?」
「さぁ?アタシにもサッパリ。ヒト種だとは思うけど、全ッ然分っかんないのよねぇ」
「ルミネはどう思うの?その魂のうんちゃらで分からなかった?」
「まぁ、確かにヒト種に見えなくもありませんわ。でも、なんと言うか霞がかっていてよく見えませんの」
「ルミネでも分からないんじゃ、仕方ないわね。まぁ、マムはマムだから、そーゆーモンだって思うしかないわね。マム種っていう新しい種族だったりして。あはは」
「それ、言ってて怖くなりませんの?じとー」
「うっ、確かに怖過ぎるかも。ぷっ」
「あっはははははは」 / 「ほほほほはほ」
公安からの帰り道、2人の会話は弾んでいた。それはどうしようもなく楽しくて、どうしようもなく滑稽で、どうしようもなく大切なひと時だった。
そんな掛け替えのない友と過ごす、掛け替えのない時間を、少女はこれからも大切にしていきたいと切に願っていた。
「でもなんで、ルミネの本名を正確に言い当てられたのかしら?それだけは凄く気になるけど、聞いても絶対に教えてくれないわよね?だから、ま…、いっか!!」
後日、アリアは無事に公安で保護される事になった。アリアの母親もアリアと共にアラワド市からアニべ市まで一緒に来る事が決まった。そして母娘には公安の宿舎が先ず貸与された。
ハンターではない一般市民に宿舎が貸与されたのだから、それだけでアリアが特別待遇だという事が分かるだろう。
アリアの母親はマムから斡旋された仕事に就く事が決まった。そしてその仕事に夜勤はない。
昼間だけのちゃんとした仕事だ。何故ならば、アリアの父親が作った借金はマムに拠って綿密な調査が実行され、その結果、色々な事が判明したからだった。
父親が作った借金はとっくに完済されていた。だがそれを黙って不当に利益を得ていた悪徳金貸しが、甘い蜜を吸っていただけだったのだ。
拠って、不当に搾取されていた利息は返金される形になった。更にはその利率すらおかしかったコトもあった。
最終的には正確な計算式の元に再計算し直され、悪徳金貸しが本来受け取るべき金額以外は全額返金されることにも繋がった。まぁ、そこら辺は少女が派手に暴れ回ったお陰でもあり、顔をボコボコに腫らした悪徳金貸しが泣いて謝って来たので、母親はかなり狼狽えていたと言うのは余談である。
ルミネは、正式なハンターとして採用されライセンスが授与されたと同時に、アリアの指導官も任ぜらる事になった。そして、公安のハンターが負うノルマも「指導官」という立場上、「不問」となったのだった。
これは、指導の「忙しさ」故にノルマ不達に陥り、ライセンスを剥奪されては「アリアの指導官」としての役職を失う事になり兼ねないと、危惧された結果の特別措置だ。
さらにライセンスを得たルミネにも公安の宿舎が貸与された。そして、その部屋はアリア達の部屋の隣になった。
それはアリア母娘の身に何かが起きた時に、直ぐに駆け付ける事が出来る「距離」を慮った故の措置だったが、ルミネは今後も少女の屋敷に居座る事を考えていたので、大変に不服そうな様子で頬を思いっきり膨らましていた。
アリア達の「お守り」はこうして無事に解放された。アリアは動物好きな女の子なのでよくガルムと遊んでいた。
ガルムはアストラル体化を命令させられていたが、何かの力が干渉するとアストラル体化を維持出来なかった。
なので護衛対象に付き合っていたが、それはそれで悪くなかった。
だから、全ての段取りが終わってガルムとお別れになった時、アリアは凄く寂しそうな顔をしていた。
そしてそれはガルムも同じだった。




