世界の最果てから
「ねぇ?これは何?」
「これは、アガベルの石だよ」
「ねぇ、これは何?」
「これは、ストラテスの種だね」
「凄い凄いッ!なんでも知っているんだね」
「ううん、何でもは知らないよ。知ってる事だけしか知らないさ」
「じゃあ、どんな事を知らないの?」
「そうだね、この世界の未来の事は知らないから話してあげられない」
「えーッ。でもそれって当然の事じゃない?」
「そぉ?でも、神様は未来の事を知っているから、未来の事も話してもらえるよ?」
「神様なんて、いないよ?だって、見た事ないもん」
「神様はね、ちゃんといるんだよ。いつもボクらを見守って下さってるんだ」
「でも、見た事なんてないよ?」
「それじゃあ、話しをしてあげる。神様がちゃんといて、神様がボク達を救ってくれた話しだ」
「へぇ、それってどんな話し?楽しいの?それともワクワクするの?それとも、おっかないの?」
「あはは。レイミスは怖がりだなぁ」
「怖がりじゃないモン!でも、その話し、すっごく気になるから、早く話して話して!!」
ボクの名前は今は教えてあげない。ボクの話しを聞きたがっているのは、ボクの友達のレイミス。
ここはかつて、カナガワって言われた場所。なんか色々あって、今は茶色い大地しか見られない寂しい場所。
そんな寂しい大地にいるのはボクら2人だけ。
だからボクらは話しをしている。今は話しをする事しか出来ないんだ。それしかボクらには赦されていない。
だから、ボクは今日もレイミスと話しをしている。ボクが知っていて、レイミスが知らない事を話していく。
レイミスはどんな事でも知りたがる。そのうちにボクか持ってる引き出しは全て開けられてしまうかもしれない。
それくらいレイミスは貪欲に話しを聞いてくれる。
ボクは話しをするのが上手じゃないけど、それでもボクの話しを面白がって聞いてくれるレイミスは最高の友人だ。
だから、これからボクが紡ぐのはボクが知ってる昔話。
この世界が、こんな茶色になる前の物語。でもボクは忘れっぽくて飽きっぽいから、最後までちゃんと話せるか分からない。
レイミスにその事を話すと「いいよ」って言ってくれた。
だからボクは紡ぐ事にした。
これから始まるお話しは1人の少年と、1匹の龍の物語。
えっ?なんかありきたりだって?うん、そうかもしれない。ありきたりなお話しかもね?
もしかしたら、つまらないかもしれない。でも、レイミスはそんなお話しでも喜んで聞いてくれる。
ボクは誰か1人でもお話しを聞いてくれるなら、喜んで話すから聞いてくれると嬉しいな。