第4章、09(闘い)
「中村とカルロスは先に逃げろ。警察に通報するんだ」
「どうやってですか!? 僕達、携帯電話を持ってませんよ」
「高校まで行けば、電話ボックスがあるはずだ。赤色のボタンがあって、それを押せば、タダで110番に繋がる」
「カルロス、お前は足が速い。1人で行ってくれ。黒木先輩はどうするんですか?」
「俺は、オッサンを連れてくる。中村も出来るだけ遠くに行けよ』
俺は急いで正面玄関へ行く。
「オッサン! どこだ!?」
暗がりに足が見えた。誰か倒れてる。
「オッサン…………?」
「黒木〜、探したよ〜」
「鴨川!? 実君!? 出てきたか!」
2匹はオッサンの脳ミソを吸っていた。
「化け物が! 俺が相手だ!」
「次はお前の母親だ」
「新鮮なのは後に取っておかないとね」
「新鮮なのって俺の事か!?」
俺は金属バットを振り回す。
「ワハハハ。当たらん、当たらん」
ガツン!
「いてえー!」
実君の後ろ足がモロに俺の鳩尾に入る。
「黒木〜、お前を先に食べてやろう」
「やっ、やれるものなら、やってみろ!」
「グー」と鴨川は鳴き、飛び掛かってくる。
その時、パーン! パーン!
「銃声?」
実君と鴨川が踞る。
「黒木先輩、お巡りさんを連れてきましたよ」
「飯田警察署の者だ。怪我はないかい?」
「大丈夫です。それにしても早かったな」
「偶然、巡回中のお巡りさんが通って。中村はもう1人のお巡りさんに保護されましたよ」
「お巡りさん。母が、母がどこかに監禁されてます」
「暴れるペットの処分をしないとな」
「はい?」
パーン! パーン! お巡りさんは実君と鴨川の頭を撃つ。
お巡りさんの体が割れ、そして、グレイ型の宇宙人になる。俺は状況が呑み込めない。
「何がどうなってるの!?」
「脳ミソ猫……鴨川一族は我々のペットなのさ」
「宇宙人と宇宙人のペット!?」
「黒木君、君がいけないんだぞ? 秘密を知ったからには」
「殺すのか……? カルロス、逃げろ!」
「えっ……、あっ…………はい」カルロスは固まっていた。
「逃げられないよ。ここは宇宙船の一部だからね。ヤハウェの裁判所に連れて帰ろう」
グレイに柔道の技が通じるか!? どうするべきだ!? 待てよ? 警察が持ってる、拳銃はニューナンブだったかな。ドラマで観た事ある。装弾数は5発。後1発、弾が……。
パーン! 俺は拳銃を拾ってグレイの頭を撃つ。
「何を!?」
すると、ガタン! ゴゴゴゴゴゴゴゴ――。
「この揺れ、地震じゃない! カルロス! 逃げるぞ! 中村は?」
「分かりません」
「行くぞ!」
俺達は全速力で走り、外に出る。その時、俺は意識を失った。