第7章、13(脱出2)
――俺は気が付くと、次の日の朝だった。ベッドから起きると、家の中に私服警官がやって来た。
「黒木ヒロ君だね? 公務執行妨害、住居侵入、殺人の容疑で逮捕する」
「違います! 正当防衛です! 頭を殴られて!」
「それで人を殺していいと?」
「人間じゃありません! 脳ミソ猫です!」
「そうだよね」
「えっ?」
「私も宇宙人でね。内臓犬って言うんだ」
「臓物が飛び出た犬か、気持ち悪い」
「傷付くな〜。せっかく助けてあげようとしてるのに」
「どうやって?」
「内臓犬はグレイより上位でね。ヤハウェという惑星に連れていってやろう」
「地球を離れる……!? 母さんは!? 母さんは生きてる?」
「生きてるよ、安心しなさい」
「そうか……、ところでヤハウェってどこ?」
「地球と同じ公転軌道の第2の地球だよ。常に太陽の裏にあるから、地球側からは観測されてないけどね」
「地球を知ってるって事は地球より文明が発達している?」
「そうだよ」
「でもロケットで行ったら、地球の人達にバレない?」
「誰がロケットで行くって言った?」
「じゃあ、どうやって?」
「ワープ装置が飯田警察署の地下にあるよ」
「昨日来た警官とはえらい違いですね」
「警視庁から赴任してきたばかりだから仕方ない。我々の事は知られていないよ」
「そうですか……」
「じゃあ行こうか、地球に君の居場所はない。表向きには5人も殺してる、殺人鬼だからね」
俺はパトカーに乗せられる。すると、私服警官は手錠を取り出した。あくまでも、形式的なものだからと言って、俺の手首に手錠をはめる。
――飯田警察署に着くと。私服警官は「やりましたー! 殺人鬼を捕まえましたー!」と叫ぶ。
「お巡りさん!? 何を言ってるんですか!? 大声出したら、ワープ装置がバレますよ?」
「アハハ、そんな物ある訳ないじゃないか」
「騙したのか!?」
「殺人鬼でもやっぱり子供だな!」