第6章、12(闘い2)
その日の夜、俺は6番アイアンを持ち、実君の家に行く。明かりが点いてる……あれ? 表札が【茂木】ではなく【鴨川】になってる。どういう事だ?
俺はこっそり玄関から家に入る。鍵は掛かってない。
音がする方向へ行く。襖をそーっと少し開けて覗く。居間だ。
鴨川!? それと実君! えっ!? グレイ型の宇宙人になったお巡りさん……!? 頭を拳銃で撃ったのに。
すると、後ろから「ヒロ君!?」
「えっ!?」ガツン! 俺は頭を鈍器のような物で殴られた。
――「うっ…………」俺は気が付くと、実君が2人居た。
「ヒロ君、起きたかい。他人の家に勝手に入っちゃダメだよ」
「化け物が!」
「脳ミソ猫の事かい? また、とんでもない事をしてくれたね。インターネット上に拡散されてるよ」
「俺じゃない! パソコンがウィルスに感染して映像が盗まれたんだ」
「それでゴルフクラブを持って家に?」
「化け物退治だ。何故、同じ奴が2人も居る? 双子か?」
「クローンだよ。鴨川一族は無限に増えていく」
「脳ミソ猫が増えても、気持ち悪いだけだ」
「何だと!?」
2匹の実君の頭が割れて四足歩行を始める。
「お巡りさん!」
って! お巡りさんも脳ミソ猫になった!?
「オリジナルは君に殺され、ペットに格下げだ」
「さあ、やっと新鮮な脳ミソが吸えるぞ」
ここまでか…………。あれ? 縛られてない。よし!
俺はお巡りさんのズボンを取り、ホルダーから拳銃を出し、構える。そして、パーン! パーン! パーン!
「やった!」
3匹は手足をピクピク痙攣させながら、口から泡を吹く。
「もうオリジナルがない。クローンが作れない。どうしてくれるんだよ!? 黒木!」
鴨川が来た。
「知るか! 脳ミソ猫……鴨川、お前が最後だ」
俺は拳銃を構える。そして、パーン! 鴨川の頭を撃ち抜いた。
「終わった……全ての闘いが」
「警察だ! 開けなさい!」
玄関の方から声がする。助けが来たか。
俺は撃った脳ミソ猫を見ると、人間の姿に変わっていく。
まずいぞ。これじゃあ、ただの人殺しになってしまう。俺は勝手口から逃げる。捕まったら、死刑は免れない。脳ミソ猫とは言え、人間の姿だ。いや、待てよ? 俺は殴られた……正当防衛に!? しかし、もう逃げてしまった。