11(宇宙人)
――俺は帰り道、カルロスに声をかける。浮かない顔をしていた。
「カルロス、大丈夫か?」
「黒木先輩、昨日変な夢を見ました。信じてもらえないかも知れませんが、脳ミソ猫が」
「そうか、俺ん家に寄っていってくれ。見せたい物がある」
「何ですか?」
「脳ミソ猫だよ」
「黒木先輩!? それって…………」
「同じ夢を見るなんて、偶然はないよな」
俺は家に着き、書斎でカルロスに映像を見せる。
「脳ミソ猫……」
母さんが来た。
「お巡りさんが来たよ。ヒロに話があるって」
「はーい、すぐに行くよ!」
「黒木先輩、大丈夫ですか?」
「グレイとはいえ、警察官を撃ってるからな」
俺は玄関に行くと、背広の男が1人居た。私服警官かな?
「君が、黒木ヒロ君だね?」
「はい、そうですけど」
「阿智村の山奥でピンポイントで地震が観測されてね。調べてみると、少年の遺体が2つ、大人の遺体が1つ、警官の遺体が1つ、発見された。君、何か知らない?」
「えっと……その…………」
「何か知ってるんだな? 言ってごらん」
「信じてもらえないかも知れませんが、脳ミソ猫が宇宙人でお巡りさんも宇宙人です」
「はあ!? ふざけてるのか!?」
「じゃあこれを観て下さい」
俺は携帯電話で脳ミソ猫の映像を警官に見せる。
「この作り物の映像が何だって言うんだ?」
「宇宙人なんですよ!」
「ここに来た私がバカだった」
私服警官は帰って行った。俺は書斎に戻る。
「脳ミソ猫の事を調べてたら、黒木先輩ん家の防犯カメラの映像がネットにアップされてますよ」
「何!? どういう事だ? 俺はそんな事してないぞ」
「パソコンがウィルスに感染してませんか?」
「…………あっ、迷惑メールを開いちゃった」
「何やってるんですか。また、連れ去られるのは嫌ですよ」
「実君が関わってるのは間違いない。取り敢えず、武器を持って帰れ」
俺は書斎にあった父さんのゴルフバッグからカルロスに7番アイアンを渡す。
「黒木先輩はどうするんですか?」
「実君を倒す」
俺は、カルロスを半ば強引に帰らせた。