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ひとつでふたつのおいしい味

作者: 綾鷹茂吉

 筆者が、短い短編を書いたのでご紹介します。

 テーマは料理ですね。すぐに読めて、ちょっとしたメッセージ性もあって、とてもまとまっていると思います。短編なので、あまり前書きでゴチャゴチャ書くのはよくないと思うので、とりあえず暇があったら読んでみてください~!

 薄切りにスライスした玉ねぎをフライパンで炒める。このあとの工程をなにか考えているわけではない。けれど、とりあえずなにか料理をしてみたいと思ったら、まずはこれだけをやってみるといい。玉ねぎを焼いた香ばしい匂いと食欲を誘うキツネ色の焦げ目に、がっかりする人間は少ないと思うから。

 もし君の日常に悲しいことや辛いことがあったりしたら、なにか作業をしながらそのことを考えるといい。うまくいけば夢中になって忘れることができるし、僕のように玉ねぎを炒めていればおいしい香りもしてくる。

 君は、僕の話は長いし、わかりづらい、とよく言うけどそれはちょっと待って欲しい。 

 わかりやすい言葉で、わかりやすい事実というものは極端に少ない。そんなものは自動販売機の広告か、あるいはファーストフードのメニューの中くらいにしかない。僕らの今後の関係や、君の父親の新しい恋人についてわかりやすい言葉やわかりやすい事実で考えることはほぼ不可能に近いことなのだから。

 炒めた玉ねぎに、さらに一口サイズに切ったコマ切れ肉を追加する。一緒になった肉は、玉ねぎの匂いと人類がこれまで美味しいと感じてきた料理に対する期待感とが混じって、どこまでも続いていきそうな食欲が湧いてくる。炒めた玉ねぎだけじゃ物足りないと思ったら、こうやって冷凍しておいた肉を混ぜてみるといい。王道の組み合わせのいいところは、記憶が味方についていることだろう。匂いというのはとりわけ、良かった頃の記憶がくっつきやすい。

 もし君がこの家から出て行きたくなったら、僕は引き止めたりしない。僕は君がたった今、ここから出て行ったとしても変わらずこのまま料理を続ける。わかりやすい事実なんて、このフライパンのなかにすら存在していないのだ。

 そして、バターと顆粒の出汁をさらに加える。日本料理のいいところは、名前のない料理がたくさん存在しているところにあると思う。つまりこの僕だって発見者第一号になれるわけだ。君は人生がものすごいスピードで流れていると思っているかもしれないけど、それは君の人生に対する動体視力のようなものが、どういうわけか発達しすぎているから、周囲の物事が急いで見えてしまっているんだと思う。でもそれは違う。時間はみんなに平等に与えられている。平等に与えられているものってそんなにない。時間と、あとは服にこびりついたシミの広がり具合じゃないかな。

 とくに大きなこだわりがなければ、たいていの料理はフライパンでできると僕は思っている。お米だってフライパンで炊けるし、野菜の切り方を工夫すれば煮物だって作れる。君と一緒に暮らす前は、僕はラーメンだってフライパンで作っていたんだから。

もし君が僕にひどい言葉をかけたかったら、そうするといい。僕に関係ないことでも、僕に感情をぶつけたかったらそうするといい。僕はそれでも料理を続ける。僕は愛を信じていないし、行為や態度も、言葉も信じていない。自動販売機の広告やファーストフードのメニューももちろん信じていない。もし君が何かを信じていないと立っていられないと言うのなら、あるいは何かにすがっていないと生きていけないと言うのなら。

 僕が作るカレーの味を信じればいい。

 「今日もカレーなの?」

 僕が信じているのは、たぶん君のそのひとことなんだろうから。


 わたしはあまり料理をしません。筆者はわりと料理好きみたいですが、わたしは一度も作っているところをお目にかかったことはありません。まぁ、男が男に料理をふるまうというのも変な感じがしますしw

 

 そろそろあたらしい長編作品出来上がるみたいです。あ、わたしは広告担当なのでわたしは書いてませんw「綾鷹」が筆者で「茂吉」が広告担当と思っていてください。なにせ筆者は極度のめんどくさがりやなもんでして。

 目にとまった方がいたら、読んでいただけたら幸いです!よろしくおねがいします~!

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