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06 アイリの場合

*読みにくい(テンションの)文章です。 イライラ回。 毎回、長さがまちまちですいません。

 


 本当、ビックリしちゃたの。



 学校帰りにカラオケ行こうと急いで待ち合わせ場所へ向かっていたら、足元に真っ黒な穴が開いたから、取り敢えず掴まるもの!! って、もう! 無我夢中!

 必死になって、何かに掴んだけど……それが、同級生の山田さんだったみたい。



 折角、イケメンで有名な生徒会のメンバーとアイリ一人の逆ハーレムなカラオケ大会だったのにぃ! って思っていたんだけど、目を開けて吃驚! だって、生徒会メンバーなんて目じゃないくらいの美形ばかりが目の前に揃っていたんだもん。



 偉そうな顔をしている人は、多分…王子様? 金髪(パッキン)に青い目だよ。うわ! 超ウケる。もろテンプレの王子様な造形で超イケメン。ツンデレそう!


 王子様の隣の騎士なのかな? ワイルド風イケメンで兜から見える髪は真っ赤なの! 目つきが鋭くて肉食系っぽいかな。エッチはガツガツしてそー。


 王子と反対側の人は、なんだろう…眼鏡をかけていて、銀髪が超長くて、クールビューティーって感じ。あれで男だっていうんだから、詐欺だよね。髪の毛、三つ編みにさせてくれないかな。


 後、一人、いかにも…って感じの…魔法使い? みたいに全身真っ黒な格好している人がいたんだけど…ちょっと見えた顔は、かわいい系? 残念だけどアイリ……ショタは興味ないのよね。



 アイリがイケメンズに見惚れていると、隣で山田さんが泣き叫んじゃって、やばいって。ほら、イケメンズが苦い顔してるじゃん。騎士も怒って、山田さんを押さえつけようとして! 何これ! 怖いんですけど。アイリまで怒られたらどうするの?! 巻き込まないでよ! って必死になって宥めたの。


 さっきの眼鏡のクールビューティー(宰相って後からわかったけど…宰相って何?)が色々説明してくれて、『ヤバ。マジこれ、異世界トリップじゃん』って内心、ワクワク。なんでも、“神様の花嫁”として、召喚されたみたいなんだけど、殆ど最後には、王様と結婚して終わるんだって。

 今回の召喚では、王子様との結婚みたいで…え? アイリ、パッキン王子と結婚するの? マジで? 元の世界でも、アイリの周りには、ちやほやしてくれる男の子達はいたけれど、王族なんてマジ玉の輿じゃない? マリー・アントワネットみたいな生活ができるの? 映画観たんだけど、ドレスとか超可愛かった。 可愛いお菓子やドレスに囲まれて、女の子の夢よねー。あれ? でも彼女最後はギロチンだっけ? まぁ、アイリは大丈夫なんだろうけど。



(この物語(せかい)で、アイリは主人公なんだし)



 今まで読んだ、どのライトノベルでも異世界トリップした主人公は死ななかった。誰にでも好かれて、あれよあれよと、逆ハーレムを築き上げていくの。ちょっと、天然かまして、カマトトぶって、王子との結婚のまでの間、騎士と宰相、ついでに魔術師(魔法使いじゃなかったの! 違いなんてあるの?)にも、ちやほやしてもらおっと。

 うふふふ。って、アイリが妄想していたら、隣の山田さんの様子が変! もう、山田さん、さっきから“アイリの物語”の邪魔をしないでくれる? 



 アイリが“神殿”に行く事になって、おまけで付いて来た山田さんの処遇について、色々イケメンズが相談しているみたい。なんだか、殺伐とした空気なんだけど。え? ちょっと、ワイルド騎士!! 剣を山田さんに向けないでよー。やるなら、アイリの居ないところでして! 夢見が悪くなっちゃうじゃない。ここは、アイリの十八番の“泣き落とし”で乗り切って見せるんだから!


 アイリの“泣き落とし”のお陰で、山田さんは“下働き”としてお城に住まわせてもらえるみたい。アイリがお后様になったら、山田さんを私付きのメイドとして雇ってあげてもいいから、それまで我慢していてね?


 王子にお姫様抱っこで神殿に連れて行ってもらって、メイドさん達にお風呂に入れられたかと思うと、うっす薄の服を着せられた。 もぉー。王子! アイリを見る目がイヤラシイよ!

 お爺ちゃんみたいな神官長に色々教えてもらって、今日から一年間の苦行。嫌になっちゃう。



 賛美歌みたいな、歌を教えてもらったり、祈りの言葉を唱えたり。礼を始め、色々仕来りがあって、超メンドクサイー。

 叱られる度に嘘泣きして、上目遣いで「やめたい。お家に帰る」って言ったらお爺ちゃんが困った顔しちゃって、すぐにお茶の時間にしてくれるの。でも、王子にはうまいこと言ってくれているみたい。ありがとうお爺ちゃん。


 神殿の生活は、時々王子も顔を出してくれるし、騎士だって仕事帰りに寄ってきてくれて、二人から甘ーーいセリフをいっぱいもらって、もう蕩けちゃいそう。

 宰相はまだ心開いてくれないのよねー。ああいうタイプは落としたら、超甘くなりそう。絶対、アイリの逆ハーレムのメンバーに入ってもらうんだ。

 魔術師は、もういいや。ヤンデレになられたら怖いし。

 一部の神官や貴族の男の子達とも仲良くなれたし、イケメンに囲まれて充実した日々なんだけど……これで、花嫁の稽古さえなければ、完璧なのにね。



 山田さんは、仕事を順調にしているみたい。

 でも、困る。宰相もあの日言ってたけど…もしも、山田さんが“花嫁”だった場合、アイリの場所がなくなるじゃない。

 引き立て役には充分役にたってもらっているけど、念には念をね? って事で、ちょこちょこっと、山田さんがしていた仕事の邪魔をしていたの。

 洗った洗濯物をひっくり返してみたり。剥いた野菜をドブに捨てたり。どんどん、山田さんの評判が下がる度に、アイリがフォローにまわって、アイリの評判はうなぎのぼり。「アイリ様は、女神様のようです」って。

 いやだ。もっと言って?




 そんな中、事件が起こったの!



 山田さんが、神官の人に攫われそうになったんだって! 神官の中でも超イケメンの人! マジビックリ。贔屓にしてあげてた人なのに。なんなの? わけわかんない。ひょっとして、アイリと山田さんを間違えたとか。まさかね。アイリと山田さんとじゃ、月とスッポンだもん。


 みんな騒然としているから、一応アイリも心配している振りをしないと。って事で、やっぱり十八番の“嘘泣き”。子うさぎちゃんの様に、プルプル身体を震わせて王子に抱きついちゃった。 王子は肩を抱いて心配してくれるし、騎士は私の前に膝まづいて「アイリ様は、私が命をかけてお守りします」って。きゃーーーー! やっぱり、この世界、私の為にまわっているんだって確証した瞬間。

 事件は、あの冴えない魔術師が片付けたみたいだけど、人は見かけによらないのね。



 それからしばらくして、山田さんがお城からいなくなったんだって。仕事も勝手に辞めて、お城を出るなんて、無責任だよね。流石の私も呆れて、知らないフリをしちゃった。




 1年が経って、試練の3日間の7日前。


 王子と騎士が、10日間、なんでか知らないけど、お城を離れるんだって。試練が終わる3日目の朝に帰って来るみたいだけど……「4日目に、お前をもらうぞ」って、王子から熱い瞳で見つめられちゃって、ドキドキしちゃた。でも、後ろで騎士が辛そうに顔を歪ませていたから、可哀想って思っちゃって、アイリは、1人しかいないけど、みんなのアイリだから大丈夫だよ? 王子と結婚しても、相手してあげるからね?


 王子と騎士が、いなくなったので、なんだか伸び伸びできちゃった! なんだかんだで、あの2人って嫉妬深いから、面倒だったのよね。仲の良い神官や、遊びに来る貴族の男の子達と色々羽を伸ばして。開・放・的!

 宰相が、時々、こっちを睨んでたけど……嫉妬? もぉ、仲間入りたいならいれてあげるのに。素直じゃないな。



 試練の3日間がきちゃった。


 祭壇の上に居ないといけないみたいだけど、3日間なんて無理無理。学校の授業だって、ジッとしていられなかったんだよ?

 どうせ、神様なんていないんだろうし(流石に、一緒に祭壇には来てくれなかったんだけど)アイリの取り巻きの貴族の男の子たちからの差し入れを、もぐもぐ食べながら待っていたの。 祭壇がお菓子のクズまみれになっちゃったけど、一年間、すごーく頑張ったんだもん。これくらいいいよね?



 やっと、終わったー!!

 超、運動不足。軽い伸びをして祭壇から降りて……やっと、待ちに待った“4日目の朝”が来たの。

 やっぱり、神様なんて降りてこなかった。(アイリだから、もしも? って思ったけど、やっぱりヒロインは王子様と結婚しなきゃね!)


 王子たちが迎えに来る時をずっと待っていたのに、昼過ぎになっても誰も迎えに来ない! もう! 信じられない!

 怒りながらも、王宮へ向かったの。 神官たちが何か言っているけど、私はもうすぐ、お后様になるんだから!! 失礼しちゃう。



 主人公を放って置く酷い人たちに何か言いたくて、人集りができている、森の入口近くまで馬車を走らせて、行ってみたのはいいんだけど…。

 



 かえってきたのは、アイリに対して冷たい目線。


 なんで?

 どうして?

 アイリをそんな目で見るの?




 この物語(せかい)の主人公はアイリなんだよ?











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