始まり
新シーア歴500年
ここは誰かの屋敷だった場所だが今は、2人の人物を除いて他の人間は全て息絶えている。
片方はいかにも金持ちの太った男性で、もう片方は男に銃を突きつけ今にも男を殺そうとしている中性的な人物。
「き、貴様な、何が目的だ!わ、ワシを殺してみろ貴様の……」
男が何かを言い終わる前にもう一人の人物がその引き金を引いた。
「こんなクソッタレな世界で生きてんだ、どっかの誰かから恨みでも買ったんだろ、俺は頼まれたからテメーを殺した……って、もう聞こえてないか」
銃を突きつけていた人物はそう言って部屋から出て行く。
「ご遺体の処理は火葬でよろしかったですね」
先ほどの人物はそう言うと徐々に屋敷から火が発生していく、そして数分で屋敷の全てが炎に包まれる。
その後警備隊が屋敷の騒ぎの通報を受け、駆けつけた時には、もうそこは灰と屋敷の残骸しか残っていなかった。
数日後
ここは階層都市の最下層、一般にはそこはこの世のゴミ溜めと言われ忌み嫌われているがここに自ら住み着くもの達も存在する。
ただ今棺桶を背負い降りてきている青年も望んでこの場所に住む一人である。
「おお!葬儀屋じゃねーか何時最下層<<コッチ>>に帰ってきてたんだ」
白衣を着た男性が、先ほど降りてきた青年に声をかけてきた。
「今帰ってきたんだよ、ドクター」
先ほどの人物は白衣の男にそう返した。その後二人は少し話をした後ふとドクターと呼ばれた男性が思い出したかのように言う。
「あっと、そうだ葬儀屋、お前さん定期検診まだだったよな?早いとこ受けにこいよ」
そう言われた青年は「明日受けに行く」と返し自身の家へと帰宅した。
「ただいま……っと!?」
彼が家の扉を開けた途端何かが飛びつき押し倒した。飛びついて来た何かは小柄な少女で彼に馬乗り状態になっている。
「お帰り!ナナシ、一ヶ月も帰ってこないから心配してたんだよ!」
「……レイナか、俺が仕事で一ヶ月帰ら無い事なんてよく有るだろ、それとさっさと降りろ!」
「だって、寂しかったんだもん…」
レイナと呼ばれた少女はそう言いながらナナシと呼ばれた青年の上から降りる。
「はあ・・・悪かった、改めてただいま、レイナ」
そう言いながら青年は少女の頭をなでる。
「お帰りなさい、ナナシ」
少女はそう言い青年に抱きつく。
とある診療所の中での会話
「で、何か異常でもあるのか?ドクター」
「いや、異常って訳でもないんだが葬儀屋、お前さんに投与した治療用ナノマシンの事覚えているか?」
「そりゃ、覚えてるけど」
「実はそのナノマシンがどうもお前さんの成長を阻害してるみたいでな…」
「つまり老化が遅く進むってことか」
「そう言う事だ。だが何も不老になった訳じゃねーから、安心しな!それにあの子も老化速度が遅いから長く一緒に居れるじゃねーかww」
「な……う、うるせー何でレイナの事が出てくるんだよ!」
「俺は別にレイナちゃんなんて一言も言ってないぜ、ガハハハハハ」