第1話 わたしの病気はきっとずっと治らないんだと思います。
病んでる少女 やみこさんとぼく
わたしの病気はきっとずっと治らないんだと思います。
その少女は看護婦さんの服を着ていた。でもどこか漫画的な不思議なデザインの(うさぎの顔のシールが胸のところに貼ってあったり、背中に小さな天使の翼があったりした)看護婦さんの服だったから、にせものの看護婦さんなのだろうと思った。
それから少女はなぜか(たぶん本当の怪我ではないと思う)手や足に包帯を巻いていて、ところどころに黄色や緑色。青色の絆創膏を貼っていた。
左目には白い眼帯をつけている。
そんな少女は自分を見ている僕に気がついて、じっと顔を動かして、無言のまま、人形のような無表情のままで僕を見つめていた。
少女は小柄で、おさげのツインテールの髪型をしていて、とても綺麗な顔をしていた。
だからなんとなく本物の人形のように見えたし、漫画のキャラクターがそのまま現実の中に抜け出してきたみたいにも思えた。
少女は少女と同じように包帯を巻いている小さなくまのぬいぐるみをぎゅっと抱えるようにして大切そうに持っていた。
その小さなくまは薄紫色をしていた。(あまり健康そうには見えなかった)
「こんばんは」
少しの間、無言のままでいると、小さな声で少女が言った。
「こんばんは」
ぼくは言った。
「あなたはどんな病気でこの病院にやってきたんですか?」
と少女は言った。
少女は裸足で白いサンダルを履いている。一度、その自分の足元を見たあとで、「わたしの病気は、きっとずっと治らないんだと思います。でも、あなたの病気は良くなるといいですね」と新しい水色の絆創膏を一枚、小さな白い肩掛けかばんの中から取り出して、ぼくに手渡しながら、(なんとなく受け取ってしまった)小さく笑ってそう言った。




