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旅立ちの朝

ルーク、セレスティア、そしてアリスの3人は、ついに村を出る日を迎えた。朝の光が村の小道を照らし、静かな雰囲気の中で、村人たちは彼らの出発を見守っている。


アリスは少し緊張した面持ちで、ルークの横に立っていた。彼女の顔には期待と不安が入り混じった表情が浮かんでいる。


「準備はできたか?」ルークはアリスに声をかける。


「うん、ちゃんとできたよ!」アリスは明るく答えたが、その目には少しの不安が見え隠れしている。


セレスティアは、馬車に荷物を積み込みながら、ちらりとルークたちの方を見た。彼女の顔にもどこかしら不安の色が浮かんでいる。だが、彼女はその表情を隠すように笑みを浮かべた。


「ルーク、アリス、無事にグランフェルスにたどり着いたら、まずは王都で必要な手続きを済ませなきゃいけないわ。準備が整ったら、さっそく出発しましょう。」


「了解。」ルークはうなずき、セレスティアに向かって頷くと、アリスと一緒に馬車に乗り込んだ。


馬車はゆっくりと村を後にし、遠くに見える山々に向かって進んでいった。村を出ると、少しだけ空気が違うように感じた。これまでの生活がどんどん遠くなり、これからの冒険に向かって進む実感が湧いてくる。

馬車に揺られながら、最初の目的地であるグランフェルスを目指して進んでいた。村を離れ、周囲の景色がどんどん変わっていく中で、ルークはこれからの冒険に思いを馳せていた。


「セレスティア、グランフェルスに着いたら、まず何をする予定なんだ?」ルークが聞くと、セレスティアは少し考え込み、答えた。


「まず、王都で私が必要としている書類を手に入れなければならないわ。それに、アリスも何か準備があるんでしょう?」


アリスは少し驚いたように目を見開いた。「えっ?私ですか?」


「うん、君も一緒に王都に行くことになるんだし、もし何か用事があればその間に済ませた方がいいよ。」ルークがにっこりと笑うと、アリスは少し恥ずかしそうに頬を染めた。


「うーん、実は…あるんです。」アリスは少し言葉を選ぶように話し始めた。「私、実は王都にある神殿に行きたいんです。」


ルークは驚いた。「神殿?どうして?」


アリスはしばらく黙っていたが、やがて口を開いた。「実は、私の家族にはある秘密があるんです。昔、王都の神殿で何かがあって…それが私の家族に深く関係しているんです。だから、王都に行ったらそのことを調べたくて。」


セレスティアも驚いた顔でアリスを見つめていたが、すぐに理解したようにうなずいた。「そうだったのね。君の家族に何か関わりがあるんだ。それなら、王都で何か手助けできるかもしれない。」


ルークは少し考えた後、アリスに優しく声をかけた。「それなら、一緒に行こう。何か手伝えることがあれば言ってくれ。」


アリスは驚き、そして感謝の気持ちを込めて微笑んだ。「ありがとうございます、ルークさん。なんだか少し安心しました。」


その後、しばらくの間、3人はそれぞれが思いを馳せながら馬車の揺れに身を任せていた。だが、ルークはふと思い出したように口を開いた。


「そういえば、セレスティア。王都に行く前に、あの遺跡の話を聞いたことがあったけど、結局どうするんだ?」


セレスティアは一瞬、言葉に詰まったが、すぐに冷静に答えた。「あの遺跡は、私が調べるために必要な情報がある場所だから、王都に着いてから、私も少し寄ってみたいと思っているの。」


「遺跡って?」アリスが興味津々に尋ねた。


「昔、この王国の歴史と大きく関わっている遺跡があって、それが今でも謎に包まれているの。私もその遺跡に関して調べている最中なのよ。」


ルークはそれを聞いて少し驚いた。「そうなんだ。それなら、王都に着いたら寄ってみようか。」


セレスティアは少し考えてから答えた。「いいえ、まだそれには時期が早いかもしれない。でも、私が調べている遺跡が他にもいくつかあるので、そのうち一緒に行ける時が来るかもね。」


その言葉に、ルークは頷いた。「それなら、後でまた相談しよう。遺跡の調査は簡単なものじゃないだろうし、慎重に進めた方がいい。」


その後、3人はそれぞれ思い思いのことを考えながら、馬車の揺れに身を任せ続けた。村を出た時の興奮と、王都への期待が少しずつ現実となっていく中で、彼らは一歩一歩、未知の冒険へと踏み出していった。



馬車の旅は順調に進んでいた。途中、いくつかの小さな村を通り抜け、町の人々と簡単に言葉を交わしながら、ついにグランフェルス王国の王都に近づいてきた。道のりの長さと、様々な出会いが3人の心に少しずつ余韻を残していた。


王都の門が見えてきた時、ルークは少し身構えるような気持ちになった。これからの冒険には様々な困難が待ち受けているだろうという予感が、彼の心を掴んでいた。


「いよいよだな。」ルークが呟くと、セレスティアは微笑みながら答えた。


「ええ、でも焦らずに進みましょう。王都で何が待っているか、わからないもの。」


アリスも緊張した面持ちで頷いた。「私も、ちょっとドキドキします。」


馬車が王都の門に到着すると、警備兵が近づき、軽く会釈をしてから道を開けてくれた。その様子を見て、ルークは軽く息をついた。


「ようやくだな。」

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