アリスの決意
王都への道を進む準備が整いつつある中、ルークはふと、アリスがどこか遠くを見つめているのに気づいた。彼女は少しだけ躊躇うようにして、ルークに声をかけてきた。
「ルーク、少しだけ話してもいい?」
ルークは振り返り、にっこりと微笑んで答える。
「もちろん、どうした?」
アリスは少し沈黙し、しばらく迷っているようだった。それから、ようやく決意を込めた言葉を口にした。
「私も、一緒に王都に行きたい。」
「え?」
ルークは驚きの表情を浮かべる。アリスが王都に行きたいなんて思ってもみなかった。彼女はいつも控えめで、あまり目立つことは好まない性格だ。だから、王都に向かうことに対しても、何か特別な理由があるのかもしれないと思った。
「でも、アリスには村での役目があるんじゃないのか?」
アリスは一瞬だけ目を伏せ、そして力強く答えた。
「実は、私はルークと一緒に成長したいの。あなたがどんな道を歩んでいくのか、それを見守りたい。そして、少しでも力になりたいと思っている。」
その言葉を聞いて、ルークは驚きながらも心に温かさが広がった。アリスが自分にこんな気持ちを持ってくれていることに、少し恥ずかしさを感じるとともに、胸が高鳴った。
「でも、王都の生活には何が待っているか分からないし、危険なことも多いかもしれない。無理をしなくてもいいんだぞ?」
アリスは真剣な表情で、ルークを見つめ返した。
「私はあなたと一緒に行きたいの。もし何かあったときには、私もルークを助けられるように頑張る。それに、あなたが困っているとき、私はいつでも力になりたい。」
その言葉に、ルークはしばらく黙って考え込んだ。そして、アリスの目をしっかりと見つめた。
「分かった。じゃあ、一緒に行こう。俺も、アリスがいてくれると心強いよ。」
アリスは満面の笑みを浮かべて、頷いた。
「ありがとう、ルーク。」
その後、二人は旅立ちの準備を整えた。セレスティアもやはり、ルークとアリスのやり取りを見守りながら、準備を進めていた。
「アリスも、一緒に行くの?」
セレスティアが少し驚いた表情で、アリスに問いかけた。
アリスは笑顔で答えた。
「はい、一緒に成長したいですから。」
セレスティアはその言葉に頷き、柔らかな笑顔を浮かべた。
「じゃあ、私も安心ね。みんなで一緒に行こう。」
こうして、ルーク、アリス、セレスティアの三人は、王都に向けての旅立ちの準備を整えた。途中での冒険、困難、出会いを乗り越えながら、それぞれの成長を目指して歩んでいくのだろう。
だが、まだその先に待ち受ける試練のことは誰も知らない。それでも、彼らは確かな絆を感じながら、王都への道を歩き始めた。