闇の門、侵略者の目覚め
ゼオルグの死後、静寂が王宮の中に広がっていた。
しかし、その静けさはすぐに破られる。
ゼオルグの身体から溢れ出す黒い粒子が空間に亀裂を生み、
その亀裂から次々と異形の影が現れ始める。
「これが……試練の神の力か……」
ルークが剣を握りしめ、目の前の異形たちを見つめる。
その影たちは、まるで無数の闇の軍勢のように、
不規則にうごめきながら広がっていく。
セレスティアがその場に立ちすくんでいた。
「ゼオルグはただの使徒に過ぎなかったのね……これが本当の脅威なのか。」
アリスは風を操りながら、冷静に状況を分析する。
「この空間自体が歪んでる。異次元の扉が開かれたって感じね……。
もし、このまま放置しておいたら、もっとヤバい事になるかもしれないわ。」
「まずは、こいつらをなんとかしないと!」
ルークが斬撃を放つと、黒い影がひとつ崩れ落ちたが、
次々と新たな影が湧き上がり、広がっていく。
⸻
その時、空間の中央に立つゼオルグの姿が浮かび上がる。
死んだはずの彼の姿は、黒い霧の中に浮かぶ異形の姿となり、
その表情は仮面で隠されているが、彼の内に宿る強大な意志を感じ取ることができた。
「俺が死んでも、試練の神の命令は変わらない……。
この世界の秩序を破壊し、真の支配者を目覚めさせる。」
ゼオルグの声が、空間を震わせる。
その言葉が発せられた瞬間、周囲の影たちが一斉に動き出す。
それらはまるでゼオルグの命令に従うかのように、
恐ろしい速さでルークたちに襲いかかる。
「こんなこと、させるもんか!」
ルークが剣を振り下ろすと、幾つかの影がその斬撃を受けて崩れ落ちた。
しかし、影の数はまだまだ尽きることがなく、次々と増殖していく。
アリスは風の精霊を召喚し、攻撃を支援する。
「風よ、彼らを吹き飛ばせ!」
風の力が影たちを一時的に吹き飛ばすが、すぐにまた形を整えて戻ってくる。
「このままじゃ終わらないな……」
セレスティアが冷静に周囲を見回し、剣を構える。
「ルーク、今のうちにゼオルグの核心を破らないと、全ては無駄になる!」
ルークは頷き、ゼオルグの姿を睨みつける。
「わかった! 行くぞ!」
ルークは再び突進し、ゼオルグを目指して剣を振るう。
その刃が空気を切り裂くが、ゼオルグは一歩も動かず、
その仮面の下から冷徹な笑みを浮かべた。
「力だけでは届かぬ……」
ゼオルグが手を掲げると、
その周囲の空間がさらに歪み、巨大な闇の渦が現れる。
「これが……魂の扉か」
ルークは息を呑む。
セレスティアが叫んだ。
「ルーク! 今のうちに、ゼオルグを止めて!」
その言葉と同時に、アリスが風を操り、
ゼオルグに向けて竜巻のような風を送る。
だが、ゼオルグはその風を手のひらで一撃で打ち消す。
「力では無意味だ。
それに、貴様の力も、もう限界だろう?」
ゼオルグが冷ややかに笑いながら、
ルークをじっと見つめる。
「終わりだ、試練の者よ」
⸻
その時――
ルークの体に、突如として力が湧き上がる。
それは《運命を超える者(EX)》の力、
前世で積み重ねてきた試練の力が、再び覚醒した瞬間だった。
「お前の力など、俺には通用しない!」
ルークは大きく息を吸い込み、その全ての力を剣に込める。
「……運命を超えろ!」
ルークが一気に突進し、ゼオルグの核心を目指して、
その刃を振り下ろした。
その瞬間、ゼオルグの周囲に浮かぶ闇の渦が崩れ、
ゼオルグの身体が激しく震えた。
「何……!?」
ゼオルグは驚愕の表情を浮かべ、
その仮面が砕けて、真の姿が現れる。
そこには、かつて試練の神の使徒として戦った
その者の、かつての姿があった。
⸻
――ゼオルグの姿が、まるで消え失せるかのように崩れ去ると、
その場に広がっていた闇の軍勢も、次々と消えていった。
空間の歪みが修復され、王宮内の静けさが戻る。
「やったか……?」
ルークが息を切らしながら、周囲を見渡す。
セレスティアとアリスが近づいてきて、
三人は無言で顔を見合わせる。
「どうやら、今度は勝ったようね。」
アリスが笑顔を見せると、セレスティアも頷いた。
「でも、これで終わりじゃない。
試練の神が本当に何を狙っているのか、
そしてゼオルグの目的――私たちはまだ、
全てを理解していない。」
ルークがその言葉に答えるように、
「そうだな……まだ終わりじゃない。
俺たちは、この運命を超えるために戦い続ける。」
その言葉を最後に、三人は新たな決意を胸に、
再び前へと歩み出した。




