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流星の泪  作者: 退廃さん
2/22

日常

季節は春へと変わる。


ゆるく春の暖かさが肌で感じられる頃、夏生の生活はいっぺんに変わり始めていた。


仕事もせずアルコールに溺れる父親。


視線が合えば暴言を吐く義理の母親。部屋も片付けもせず、洗濯物なんて自分のもだけ。手料理すら口にしたことがない。


「なによ、このクソガキ、」


「早く私の前から消えなさいよ、あんたのその目が気に食わないのよ!!ああ、もう!!なによ、気分が悪いわ、私はあんたの母親じゃないのよ学校に行けるだけ感謝しなさいよ!」


久しぶりに家へと帰ってきた母親。


2階の自分の部屋から階段を降りる最中、ただ目が合っただけでこの言動である。


家は父親のモノだ。そこまで言われる筋合いはないが夏生は無言で部屋へと戻った。どうやってあの飲んだくれの父親と出会ったのか理解できない。


アルコールに依存し仕事もせず起きている時は殆ど酒を飲んでいる。


起きれば起きればで缶ビールが夏生目掛けて投げつける。






そしてしばらく、ヒステリックな叫び声と呂律のままならない怒鳴り声が聞こえる。


(また始まった、ああ、もううるせえなあ、)


夏生はため息をつく。


学校が休みの日なのに外へ出れない。とゆうか部屋から出たく無いなと夏生は思う。


ベッドから起き上がり図書館の貸し出しの天文学の本を引っ張り出す。


返却はとうに過ぎている。


『天体望遠鏡かあ...、いいなあ、』


読み廃れた天文学の本。見開けば星々の写真が広がる。




玄関が音を立てガタン、と閉まる音に夏生はふと、気が付く。


(やっと終わったか、)


ふう、と息を吐けば伸びた前髪がふわりと舞い上がる。


夏生は伸び放題の髪をかきあげ静かになった一階へと階段を降りる。


キッチンに向かい冷蔵庫を開け、作り置きの麦茶をコップに注ぎ一気に飲み干す。


グワグワとヒキガエルの様にイビキをあげ眠る父親をまたぎ近くに転がるタバコの箱を取り上げる。




リビングに向かい締め切ったカーテンを開き窓を開けた。


夏生は使い慣れた様にタバコを取り出すとシュッと火をつける。




夏生がタバコを覚えたのは中学に上がる頃。


退屈しのぎに父親が吸うタバコに手を出した。最初は勿論煙にむせ返し吸えたモノではなかったが、気が付く頃にはいつの間にか当たり前様に吸う自分がいた。



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